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コルシカ ガイド (Guides de la Corse par KOMORIYA) その7

鉄道の旅:コルテCorteから,ポンテレッチア経由カルビCalvi行き

すがすがしい朝の光の中、美しい庭園を見ながらの戸外の朝食は格別です。ここのジュースは生のしぼりたてですから、絶品です。見ると、今朝は容器の中身が空っぽです。宿のおばさんのお母さん(つまりおばあさん)が今日の係りをしていましたので、そのことを言うと、すみません只今お持ち致します、と返事しながら急いで体の向きを換えようとして、足元のでこぼこした鉄平石の床につまずいて倒れてしまいました。手に持った皿は割れるし、肥った体を抱き起こすと、手のひらを石で切って、出血しています。水道水で洗い、私は医者だと伝えてから、持参したフリーサイズのバンドエイドと化膿止め軟膏で、おばあさんの手の治療をしました。おばあさんの先代がこのオーベルジュの創始者だそうで、ハンサムな写真が飾ってありました。

今日は列車の旅です。顔なじみのMichel Saloiani さんのタクシーを呼んでもらって、カルビ駅に行きました(50F)。

コルテcorte8:59発バステイアBastia行きに乗り,
ポンテレッチアPonte Leccia9:34下車。
乗り換えてポンテレッチアponte Reccia10:00発カルビCalvi行きに乗り,
カルビCalvi11:50着。
カルビcalvi14:30発バステイアBastia行きに乗り、
バスイアBastia17:38着。

という予定で、カルビに行くため、時間がかかるのです。一日中列車を使うので、フランスレールパスを使いました。駅の切符売場の窓口でパスに使用開始日のスタンプを押してもらいました。コルスでは、フランスレールパスを使っても、更に運賃の半額を払い切符を買うのですから、コルスで使うのは損です。

ポンテレッチアは寂しい田舎町です。列車をカルビ行きに乗り換える際、客車に貨物車が連結されているので、旅行カバン、自転車(フランス人は自転車大好き)などの荷物を貨物車に乗せます。客車より幾分屋根の低い貨物車に上がって、プラットホームから荷物を引き上げて、さあ準備完了、出発ということで、客車に戻ってみると、すでに座席は満員、大勢の乗客が立っています。これならまだ貨物車の狭い台の上に腰かけている方がましだ、という訳で、私を含む荷物の積み込みを一緒にしていた男達は、貨物車に戻りました。出発間際に女の駅員がそこは人の座るところでは無いからダメ、と叫ぶから、ハイハイ分かりましたと立ち上がるフリをして、列車が走り出すと男達は元の台に座りました。海抜400メートルの山地を走る列車の暑い事。ましてや、ほとんど窓の開かない、天井の低い貨物車の中の暑さは相当なものです(手持ちの温度計で34度C)。隣に座った2人連れの男性に話しかけると、パリに住んでいて、一人はテレビに日本人の音楽家を斡旋する仕事をしていて、かなり有名な方らしいのですが(赤い帽子の人)、名前を明かしません。連れの人が暑いなーと言って、クーラーボックスからコーラの缶を取り出して飲みながら、私にも1缶下さいました。私は、リュックの奥にしまっておいた日本のお祭りの図柄の手ぬぐいを、おみやげです、と隣の男に手渡すと、早速それをバンダナの様に額に巻きつけました。彼はお返しだよ、と立派なコルシカ土産のナイフをくれました。そんな高価な物を、と恐縮している私に、いいから取っときな、と言う。彼の名はChrisio Simbadさん(手前の人)。

がたがた揺れる貨物車でじっと我慢をしていると、隣の客車から青年が、入って来ました。自転車に付けてある水筒を取り出して水を補給していました。続いて2人若者が入ってきました、積んである荷物をかき分けています、探し物でしょうか。彼らは荷物の間にすき間を作ると、帽子で顔を被ったまま、体を折り曲げて、その狭い空間に寝てしまいました。よほど疲れていたのでしょう。海が見えてくると起き出して、私の持っているミシュランの20万分の1地図をみてコースを確かめると、マウンテンバイクを降ろして、途中の駅で下車していきました。途中のイルルースl'ill-Rousse は美しいビーチのある町です。

カルビCalvi

列車は定刻通り11:50カルビ着。今度は駅のすぐ隣にタクシー乗り場があって、何台か客待ちをしていました。なぜかその付近を警官が警備していました。時間が無いのでタクシーでカルビを一望出来るシッタデル(城塞)に直行しました。城内の道は、頂上まで車を乗り入れる事が出来ます。運転手さんに1時半に降りた所に迎えに来てくれるよう約束して、城塞を見て廻りました。かルビ港をはじめとする、美しい眺望が開けます。コロンブスの住居跡というプレートが有り、崩れた石垣が残っていました。その付近には教会、放送局、喫茶店などがありました。広場の建物の中から30才位の男が掃除のホースを持って出てきました。ここに荷物を置いては邪魔ですか、ときくと、かまわないよとの返事。近ずいてきた男は、こちらの持っているビデオを見て、お前は日本人か、メカに強いか、と質問するので、そうだよ、と答えると、彼は手招きして、扉を開けて、おれの部屋に入って、ビデオを調べてくれないか、と言うのです。何をされるか分からず、少し恐ろしかったのですが、まんざら悪い人でもなさそうなので、暗い階段を彼の背後に付いて上って部屋に入りました。部屋の内部は食べかけの食事、ソファー、それに古びたテレビと、まさに独身の男の住居です。韓国のサムスン製のビデオデッキが動かないので診てくれ、というのです。どこかで拾ってきて様なおんぼろなデッキで電源が入りません。コンセントに電機スタンドを差すと光るので、コンセントには電流が来ています。しかし、とうとうビデオデッキの電源は入りませんでした。彼は手にしたstripteaseのビデオカセットを見たかったのでしょう、本当に残念そうでした。世話になったな、お礼にこの辺を案内しようか、と彼が言ったが、深入りしたくないので、お断りすると、それなら好きにしな、ということで、彼と別れて建物の外に出ました。お昼時なので、おなかが空いてきました。家族が近くの店で栗のピューレが入ったクレープを買って来てくれましたが、これが絶品。タクシーは正確に1:30迎えに来てくれました。7ー8分でカルビ駅に着きました。まだ時間が有るので、交代で荷物を見張って、カルビ港の付近を歩いてきました。こんなきれいな街なのに、ホテルが取れなくて、日帰りとは残念です。土産屋で手書きの貝模様の小皿を買いました。この皿は、今では、家の食卓に毎日のように出て重宝しています。

鉄道の旅:カルビCalviから,ポンテレッチア経由バステイアBastia行き

14:30カルビclvi発バステイアBastia行きは定刻通り発車。これまた満員列車。カルビの海水浴ビーチの連続風景を見ながら、列車は元来たPonte Lecciaボンテレッチアに停車。不思議な事に連結した貨物車を切り離して列車が動き始めました。あれあれー、私の荷物の積んである貨物車がどんどん遠ざかって行く。たまりかねて運転手のところに行き、私の荷物が向こうに置き去りにされてしまうヨー、というと運転手は笑いながら、大丈夫、線路を切り替えして、回り込んで戻り、貨物車を後ろに連結するだから、と答えてくれました。要するに、列車は今までと反対方向に進むため、運転席の前にある貨物車を後ろにつなぎ直すというのです。やれやれ。途中のバステイアまでは、山林の中を走る、単調な景色です(上の車内の写真で白いシャツを着ている人が車掌さんです)。 線路まで伸びてきた木の枝を払うようにして列車は走ります。17:43バステイアBastia着。大都市だから、よもやタクシー乗り場が無い事とはないだろうと思いつつ下車すると。ほんとにタクシーが無い。しかたなくミシュランの地図を頼りにホテルまで荷物を引き引き歩きました。ようやくホテルPosta Vecchiaにたどりつき、受け付けで予約書類を出そうとすると、ハンサムな人が笑顔で、お待ちしておりました、日本の方ですね、書類は見なくても分かりますから、と親切な応対に疲れが消えました。新館の部屋を用意させていただきました。と鍵を渡され、新館に入ると、エレベーターが有りません、そして部屋の番号が682号。もしかして7階まで階段を上がるのか、と思いつつ階段を2階に上がると眼前に682号室が有りました。どうやら旧館と新館は部屋番号が続いているようです。急いでインフォメーションを目指しました。

港の見えるサンニコラ広場Pl. St-Nicolasの一角に有り、幸い午後7時まで開いていました。インフォメーションのすぐ裏手にはバス発着所Gare Routiereと、タクシー乗り場がありました。つまり、この街は鉄道で来る客よりも、海からフェリーで渡ってくる客が圧倒的に多いので、タクシーも、案内も、バスも港寄りの場所にあるというわけです。インフォメーションでバスツアーの一覧表をもらいました。行き先別では、Ajaccio行き毎日(土曜、祝日以外)Rue du Nouveau Port発、Calvi行き毎日(土曜、祝日以外)Gare SNCF発、Canari行き火水Gare Routiere発、Corte行き月水金Gare SNCF発、Moriani毎日Gare Routiere発、Macinaggio月水金Gare Routiere発、Barretali行き月水金Gare Routiere発、Porto-Veccio行き毎日(土曜、祝日以外)Face a la poste発、Saint-Florent行き毎日(土曜、祝日以外)Gare Routiere発、Solenzara行き毎日(土曜、祝日以外)Gare Routiere発,Vescovato Venzolasca行き毎日(土曜以外)Gare Routiere発,La Marana行き毎日(土曜、祝日以外)Gare Routiere発。一日1便で、出発時間は様々です。私達は昨年自動車でコルス全土を周ってこられた高橋真之さんのアドバイスをうかがっていたので、1日がかりのCap Corseコルス岬一周バスを選びました。このバスは1日おきですので、曜日が合わないと乗れません。幸い明日木曜日は出発しますので、Gare Routiereに朝9時までに集合、予約は要りません。夕食は街のまん中にあるOnda Marinaというイタリアンレストラン 33,r.cesar Campinchiをようやく見つけて、入りました。手長海老の入った少し辛いペンネが抜群のおいしさでした。ハンサムなギャルソンでしたので、妻を入れて一緒に写真ををとると、気の良い彼は、思わず鼻歌が出て、なんとウオッツカを食後酒として、サービスしてくれました。なんていい人なのでしょう。