スイス旅行記今回の旅行)(その3)    前回の旅行にジャンプ

あれー氷河急行の指定席が足りないよ

ティラノ午後3時40分発ザンクトモリッツ午後6時着。ホテルに戻って、念のため明日乗車する氷河急行の指定席券を確かめてみると、2人分の座席券しかありません。これは、Furka Oberalp Railwayに2ヶ月前に日本からFAXで予約したもので、代金はすでにカードで前払いして、ホテルBaldhaus Am Seeのフロントに届いていた指定席券をホテルにチェックインする際に封筒ごと受け取っていたものです。同封された予約受付文には、3名分の座席OK,支払い済と書いてありますが、肝心の座席指定券は2人分しか無いのです。長時間乗るのに、これではたまったものではありません。早速、ザンクトモリッツ駅の切符売り場で、状況を説明して、もう一人分の指定席券を発行するように、お願いしました。窓口の係りの人は、持参した指定席券をいったん破棄して、新たに3人分の指定席券を発行してくれました。ところが、2人分の座席は交換したのだから無料だが、残りの1人分は新たに発行したのだから指定席料金を1人分払えといってきました。すでに3人分を前払いしてあるので、それはないよと抗議しましたが、それなら今発行した3人分の指定席券をキャンセルしてしまうぞ、と言うので、しぶしぶ追加料金を払って、券を購入しました。後で冷静に判断しますとと、窓口の係りの言い分はもっともで、前払いの代金は駅ではなくFurka Oberalp Railwayの予約係りに払ったものですから、そちらに代金の精算を請求するしかありません。(後日、帰国してからE-mailでFurka鉄道に抗議しましたところ、それは失礼しました、でもスイスの旅は楽しかったでしょう、という返事がきました。そんな社交辞令なんかどうでもいいから、それより、余分に取った料金を精算しないのですか、と再度メールを送ると、指定席の番号を知らせろと言ってきました。たいした金額では無かったので、ここまでで追求はやめました) 私の反省:それほど、混んでいませんから、氷河急行の指定席は乗る前日にでも最寄りの駅で買えばいい、わざわざ日本から予約する必要はない。(注:氷河急行の指定券は、夏のシーズン中は当日入手は困難です。当日売り分も僅かにのこっていることも多いようですが、団体を中心とした予約で一杯のことが多いです。 一番いい予約方法は宿泊するホテルに依頼して指定券のみ買って貰うことです。乗車券は当日購入でもいいようです。 KOJI YUEN さん、というペンネームのスイス通の日本人の方からのアドバイスのメールをいただきました)

さて、今夜は間違いなくホテルで夕食です。席についてカルテを見ると2種類の定食のどちらかを選ぶようになっています。内容のはっきりしている定食を妻と子供にとり、好奇心の強い私は、よくわからない方の定食を注文しました。スープ、サラダはどちらも同じ、次の料理は生ハムとメロン。私のほうは生ハムを除いたメロンだけ。メイン料理はローストビーフ、私のほうは茹でた太いアスパラガスが5本皿に載っている。これは、すなわちベジタリアン向けの料理でした。今夜は肉無し! 二晩続けて、ついていない私です。

氷河急行Glasier Express

誰がこの名前を考え出してのでしょうね。見るからに魅力的な列車の旅を想像してしまいます。でも考えてみればわかることですが、列車は尾根の上を走るわけがなく、どちらかと言えば谷川に沿って走っていくわけですから、高い峰の氷河が車窓から、そんなにしょっちゅう見えるはずはないのです。しかし、名前とは関係なく、高低の変化、地方の変化と、この列車は7時間乗車していても飽きません。今回の旅はカシオの高度計付きのデジタル腕時計を着けていったのですが、標高が刻々と変わって行くのがわかってとても役に立ちました。この日はやや雨模様の天気でしたので、高いところにいくと、霧がかかってあまり景色が見えませんでしたが、しばしば氷河が溶けた白い濁流が細い滝となって山腹を降下してくる景色に出会いました。それでも、車内放送で、走行中の地域の特徴を解説してくれるのが役に立ちます。途中で、オズワルドという地名が有りました。そう、ケネデイ大統領の射殺犯人の疑いで逮捕され、直後に何者かに殺された男の名前です。彼のルーツはこんなスイスの山奥なのか。車内は結構日本人客が多い。近くの座席では、はしゃぎまわる高校生くらいの娘と息子とを連れた男性が、何度も携帯電話で会社の部下と連絡をとっています。お仕事と家族旅行とかけもちでは大変だろうなと思いました。長旅にしては、大して疲れもせず、ザンクトモリッツ9時30分発、ツエルマットZermatt午後時6時着。

ツエルマットZermatt

雨模様のツエルマット駅を出て最初に目にしたものは、セントバーナード犬を連れた男の人と、電気自動車、鈴の音をひびかせる馬車でした。濡れた道を(当然歩道、車道の区別は無い)少し歩くとそこが、ホテルPolluxです。ツエルマット案内はインターネットで調べるとすごく良く出来ていて、街のホテル地図の好きなところをクリックすれば、そのホテルの情報が詳しく載っていて、そのまま予約できます。そうして、選んだのがこのホテルでした。始めドイツ語で返事が来たので、ここは珍しく日本人相手ではないホテルだなと感じました。せっかく行くのですから、こういうホテルが私の好みです。一泊271SFで部屋は通りに面して、次の間付き、バストイレも2ヶ所というデラックス。こうもり傘をさしながら、街に出ました。木工細工の店でかわいい形の羊を買う。今夜はチーズフォンデューを食べることに決めています。通りの突き当たりのRestaurant Cafe du Pontに入りました。二手に分かれていて、隣の部屋では、日本人のおばさん達の団体が借り切って、大声をはりあげています、かなり出来上がっている様子でした。私たち個人客はカフェ側の部屋でチーズフォンデューを頼みました。パンの角切りと、茹でたじゃがいもが出てきました。店のおやじさんが食べ方を伝授します。パンを串にさして、鍋に入れ溶かしたチーズをそれにからめてから、鍋の上の空中に持ち上げたまま、くるくる10回まわしてから、食べるのだそうです。なるほど、その間に冷めるし、余分なチーズは鍋に戻るし、理にかなっています。今まで、家でチーズフォンデューをすると、すぐにチーズが足りなくなってしまうのは、上で10回くるくる回さなかったからなのか。利口になりました。ただ、この店も観光客ズレしていて、キャラフで、ただの水道水を出しておきながら、会計のときはちゃっかりミネラルウオーターとして計算してきました。これから訪れる方に申し上げますが、この中心街通りのレストランは混んでいるし、値段も高めです。それより、地図で見るよりずっと近いですから、面倒がらずに、少し横道に折れて、奥の川沿いの方が、安くて良いレストランが有りますよ。つい通り越してしまう駅の真っ正面のお店に入ると、以外や以外、中にスーパーや食堂、お土産屋が有り、品揃えも豊富です。それから中心街のホテルの裏通りにある、スポーツ専門店Peakで自転車用の帽子を買ったのですが、普段に使っても軽くて暖かく、格好もよく、重宝しています。

ゴルナグラート展望台行きGornergrat

私たちが泊まったホテルPolluxは街の中心街にあり、3階の通りに面した部屋のゼラニウムの植え込みのあるテラスからは道行く人々が手に取るように見えます。朝7時頃から人通りが激しくなり、8時頃がピークです。通勤時間帯とおなじですね。全体のおよそ半分位が日本人のようです。がやがやと大勢で駅のほうに向かって歩いて行きます。この辺の天気は、どうやら夕方雨が降って、朝晴れるようです。快晴の朝を迎えました。9時出発、ツエルマット駅近くの登山列車乗り場からゴルナグラート行きの登山電車に乗ります。電車は次々と来ますから、切符を買うとすぐに乗れます。

走り出して間もなく、街の後方に目指すマッターホルンの雄姿が見えてきました。雲一つありません。早速、写真を撮りました。山は時間が経つにつれて雲に覆われてしまうことがあるからです。40分少々で終点のゴルナグラート着。天気に恵まれました。見渡すかぎり360度の銀嶺が遥かにそびえています。ホテルの名前はその一つPollux(4091m)からとったのでしょう。マッターホルン(4477m)の美しい姿を何度も何度も見ました。ゴルナグラートは3100m位の高さですが、それほど寒くありませんでした。電車の切符はカード状で、自動改札に差し込んで乗り降りします。

ゴルナグート展望台の男子トイレの注意書ワッペンにいたずら書きを見つけました。それにしても、こんなところまで来て、よくサインペンを持ち歩いていますね。

ゴルナグラートから一つ下の駅ローテンボーデンに行き、そこで下車。少し歩くと、リッフェルゼーという小さな(直径200m位)湖に出ます。

湖の辺まで近付き過ぎると、湖面のさざ波でよく見えませんから、湖面から50メートル位離れて見れば、見事な逆さマッターホルンが見えます。湖を過ぎて歩いて行くと、遠くに野生の山羊が見えました。途中で道が2手に分かれます。私達は上の道を歩くことにしました。どの道もなだらかで、歩きやすい。途中でお昼になったので、道から少し離れてお昼のおにぎりを食べていると、後から来た人に声をかけられました。なんと、氷河急行の同じ車両で、電話をかけていらっしゃった、欧州キャノン販売支配人の下田さんという方でした。偉い人と行き合ったものです。リュッフェルアルプ駅の食堂で本日のスープ(魚のタラ)を飲んで満腹。

シュワルツゼーSchwarzsee

ツエルマットに戻ってみると、まだ陽は高い。今度は裏通りの川沿いを歩いてその先にある、ロープウエイ乗り場に行きました。途中で雄大な氷河が見えます。それを乗り継いで今度はケーブルカー、それを降りてから更にケーブルカーに乗り継ぐと、目的地のシュワルツゼー(黒い湖)に着きます。本当に風の強いところで,帽子は飛ばされてしまいます。高度の割にはすごく寒くて、ヤッケは絶対必要。マッターホルンの真下にあるものですから、とても近くに見えます。

吹きつける風の寒さにふるえながら、小屋の側面でマッターホルンを30分スケッチして早々に街に戻りました。ホテルに戻って、宿泊客用の特別料金の夕食を食べようとしたら、朝予約しなければだめです、と言われました。そう言われればそのような気もします。困っていると、いったん引っ込んだ係りの人が出てきて、今から出来るかどうかシェフに聞いてみるから、と言い、結局OKとなりました。出てきたものは、周囲のドイツ人客たちの物よりもはるかにゴウカなもので、大満足。大人一人49SF,しかも16才以下の子供は大人と同じ物を食べているのに25SFなのですから採算は合わないでしょう。Polluxさん本当にありがとうございました。

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