ペリゴールPERIGORD地方周辺紀行(その4 レゼジーLes Eyzies)
8月12日
19:03分ペリグー出発。列車は午前中通った線路をを引き返し、19:35 Les Eyzies レゼジー駅に到着。駅を下りると、駅員さんもだれも居ません。一緒に下りた赤い旅行鞄の女性は迎えのタクシーに乗り込みました。私達が、どうしようかと思 案にくれて いると、その女性がタクシーの窓から、どちらにお出でですか、よろしければこのタクシーに相乗りしてもいいですよ、と親切に呼びかけて下さいました。運転 手さんにホテル レグリシンLes Glycineですが、と答えると。それなら乗るまでもない、線路を横切って駅の反対側の道路に出ればすぐですよといいます。何も見えないし、線路を横切 るなんて、と私達がぐずぐずしているのを見かねた運転手さんが、わざわざ車から降りてきて線路の一角を指さして、ここを行けば良いんだよといってから、再 び車に戻り、走り去っていきました。
大丈夫かなと思いながら、駅構内の線路を反対側まで渡って、垣根の切れ端から線路脇の道に出てみると、駅の倉庫で隠れていて、それまで見えなかったホテル がすぐそ ばに在りました。個人旅行はスリル満点です。
ホテルは、表からはそうは見えませんが、中にはいると素晴らしい花いっぱいの広い庭園が開けています。プールや太いポプラの木を使ったブランコまでありま す。私達の 部屋は離れで、専用庭付き、パラソルの付いたテーブル、椅子まであり美しい。


夏のシーズンは朝食、夕食込みでないと泊まれません。それだけに、料金もほか のホテルの2倍はします。早速、本館2階のレストランに行くと、テーブルも決められていました。美しい庭園、森、落日の山をながめながら、いかにも上流 階級と思われる姿の人たちがゆったりと夕食を楽しんでいます。料理はというと、全員同じメニューで選択の余地はありません。飾り付け は、繊細で美しいのですが、味は普通、量も上品に少ない。パンを食べないとお腹が収まらないような夕食を久しぶりにいだきました。アジア人は私達だけで す。


8月13日
今日はLes Eyzies観光です。村の中心まで徒歩7分。この付近は石灰岩の山に古代遺跡の洞窟が点在しています。有名なラスコーLascaux
はここから離れているし、この季節,見学者であふれて時間がかかりそうなので行くのをやめて、インフォメーションで近くのキャップブランCap Blancへの行き方を教わりました。タクシーしか交通手段が無いというので、呼んでもらうことにしましたが、今から1時間30分後になるというので、タ クシーが到着する前に、インフォメーション前の国立先史博物館Musee National Prehistoriqueを見学することにしました。見応え十分。古代人(クロマニヨン人)は付近の山腹の洞窟に居住し、川に下りていって魚を捕り、山 に出かけて狩猟をしていた。博物館は2階建てで、当時の石器類をはじめ骨格、壁画など豊富に展示してあり、解説のビデオもあり、内容がとても充実していま す。


広場の駐車場で待っていると、気のよさそうなおじさんが運転するタクシーが予定より15分遅れて到着(フランスなら普通ですね)。タクシーは本道から離れ て山道をぐんぐんスピードを上げて進みます。ガイドブックにキャップ ブランCap Blancはここから8kmとかかれていますが、もっと長い距離を乗ったような気がします。片道料金12 ユーロ(チップは取りません)。駐車場で1時間30分後に迎えにきてくださいと約束してタクシーを降りました。駐車場から雑木林を少し下ってキャップブラ ンCap Blanc洞窟の入り口です。入場券を買っても、ガイドが来るまで30分くらい待たされます。いよいよガイドさん(学生アルバイトの肥ったお嬢さん)が 鉄製の扉を開けて洞穴に案内してくれます。中は暗く、ガイドさんがライトを部分的につけたり消したりして説明していきます。早口のフランス語ですから、 言っていることの2割くらいしか理解できませんでした。洞穴の岩壁には有史前の人類の彫った馬の絵が重なってあり、だんだんその数が見えてくると大小10 頭以上ありま した。ここは山歩きの好きな人が偶然発見したということです。洞窟の外に、岩に描くときの絵の具の素材(黒は木炭またはマンガン、赤色は赤粘土オークル ルージュ、黄色はGoethiteゲーサイト針鉄鋼)が説明され、他の 洞窟で発見されたものの写真が展示されていて勉強になりました。古代人も吸ったであろう澄み切った雑木林のおいしい空気を胸一杯吸いながら駐車場に戻り 待っていると、 予定通りタクシー が迎えにきてくれたのでほっとしました。


(写真上左キャップブラン、上右絵の具の素材、下左岩に彫られた馬の絵、離れた別の洞窟で見つかったビーナス 像。)
村に戻ると、お昼時で人がごった返しています。インフォメーションの向かい側のバーレストランで食事。私の見込み通り、安くて美味しい。この地方の特徴で どのレストランでもペリゴール風ポテトと云う独特な付け合わせが出てきますが、ニンニクの風味がきいてボリューム満点です。(その作り方はSarlatの 朝市で買った料理本によると)ジャガイモを3mmに薄切り、それを水につけ、あく抜きして、布巾でよく乾かす。フライパンに鴨の脂を熱し、ジャガイモを加 え、休まずにかき混 ぜる。調理の中程で塩を振る、調理の最後にニンニク薄切りとみじん切りパセリを加えかき混ぜて、出来上がり。(写真のポテト)


ホテルに歩いて帰り、暑い昼下がりは花と緑が美しい庭のプールで泳ぎ、ブランコに乗り、景色をスケッチして過ごしました。フランス人の客達は涼しい木陰の 長いすに寝そべって読書。ゆったりとした時間が過ぎていきます。夕方、村のおみやげ屋をのぞきましたが、ラスコーマークのTシャツ、現代人が作った石器な どで、つまらない。唯一、木綿布を自家染色し、手製のバッグに仕立てて売っているお店が面白かった。子供は4ユーロと格安の象をデザインしたポーチを買っ て大喜びでした。
それこそ、正真正銘、明日は朝食抜きで出発しないと列車がない。今夜、宿代を精算しなければならないが、朝食抜きでも宿代は引いてくれない。翌朝レセプ ションは8時から しか始まらないので、鍵はどこに返すのですか、と聞くと、あなたの部屋の机上に置いて置けばいいですよの答え。フランス人の勤務時間は徹底していますね。
ペリゴールPERIGORD地方周辺紀行(その5 アルカションArcachon)に続く