ペリゴールPERIGORD地方周辺紀行(その2 サルラSarlat)

8月10日(金)トウルーズ駅Toulouse Matabiau 11:29発パリオステルリッツ行きの上り列車に乗りました。車窓からは線路に並行して走るトウルーズの風物、ミディ運河のゆったりと した風景が見られます。やがて列車は平野から山地へと上っていきます、美しい渓流が広がります、景色に見とれていてカメラで記録するのを忘れました。短い トンネ ルを幾つかくぐり抜け、岩肌の見える山地の駅スイヤックSouillacで13:21下車。飲み物の自動販売機1台があるだけの、辺鄙なところですが切 符売りの駅員はいます。ここで一時間半近くバスがくるのを待たなければなりません。待合室で、手持ちのパン片と今朝買ったサラダ、水だけの簡単な昼食で す。予定より早くバスが着いて、乗客が全員降りてきました。折り返しのバスだと思って近づくと、運転手が、乗れないよ、隣に来るから待ちな、という。そし て、やはり時刻表通り別のバスがこのバスの横に停まる。行き先を見ると確かにLascaux Sarlat サルラ経由ラスコー行きと表示されています。丁度そのとき、パリ方面からの下り列車が駅に着いて、列車の乗客がバスに向かってきます。(ト ウルーズから来ると、1時間半待たされ、パリから来ると待ち時間ゼロ、まさにフランス国鉄の時刻表はパリ中心に組まれています) バスに乗り込み、15: 01Souillac出発。バスは山村を抜けて走り15:39 国鉄Sarlatサルラ駅前に到着。そこでバスを降り、荷物ケースを引っ張りながらサルラ の街を目指します。駅前から道はすぐに二手に分かれます。一方は急な下り坂なので、他方の緩やかな山の手側の道路を行くことにしました。15分も歩くと大 通りに出ました。ここからは街らしい家並みが続いています、暑い昼下がりをしばらく歩くと、もう、うんざりして、小さな駐車場を兼ねた公園のベンチで一休 み。汗を拭きながら、ホテルはまだかいな?疲れたね、といいながらふと見上げると,何とそこが目指すホテルモンテーニュMontaigneのまん前でし た。(ちなみに、このホテル名は地元出身の16世紀ルネサンス期のフランスを代表する哲学者名で、表壁には彼の肖像)。駅 から徒歩20分です。ガイドブックにも書いてありますが、Sarlatは古い整備された家並みと、土曜に開かれる朝市が有名です。当然、前日の金曜日はホ テル が 混み合うはずです。インターネットでホテルを予約しようとしても、日本、フランスのどちらの旅行業者のサイトで申し込んでも、空き室なし、の返事ばかり で、金曜日の予約はとれませんでした。そこで、旅行社の取り扱わない中小のホテルをインターネットで探し回り、個人交渉(メール)で、直接申し込んでとれ たのが、このホテルです。管理人さんは、夕方8時で家に帰ってしまうので、それまでに到着しなければ受け付けないという、条件です。そのあと、夜、宿泊客 は、玄関の鍵ボタン番号を教えてもらって出入りするシステムです。旧市街入り口そばの絶好の立地条件で、とても快適な宿でした。それにしても、金曜日の Sarlatは、まるでフランス中から押し寄せてきたような車、車で、道路は至る所で渋滞しています。ホテルでシャワーを浴びてさっぱりし、旧市街に行っ て みました。絵のような美しい中世の家並み、フォアグラの店、クルミを使ったお菓子、沢山のレストラン。はるばる訪れた、かいがありました。明日の朝市が楽 しみです。それにしても市庁舎前の広場はあまり大きくないようですが、どうするのでしょう?
コンクールで賞を取ったというチョコレートケーキ屋さんでプチケーキを買って、人混みを避けて隣の路地で食べました。クルミをふんだんに使った直径 10cm位のチョコレー トケーキは、今までに出会ったことのない最高においしいものでした。(だから、実は翌日も買ってしまいました)

 
Le Gatellou Chocolat noir mix というもので一個2ユーロ(320円位)。左の色の濃い方が断然おいしく、右の薄茶色のほうは幾分安いのですがお薦めできません。お店の名前は Salrat旧市 街メインストリートにあるL'ATRIER DU GOURMAND B. Decaixです。

夕食は教会近くのレストランで、 (写真左から)地元産フォアグラ、カスレ,鴨肉ベルジュラック赤ワインソースなどの郷土料理を食べました。もちろんフォアグラには地元のBergerac ワインがよく合います。Salratでは、どのレストランのメニューを見ても、 ほとんど同じような郷土料理が中心です。

8月11日(土)朝市
今日は、週1度開催される名物朝市です。一夜明けたら、その変貌ぶりには驚きました。昨日まで車がびっしり停まっていた公園の駐車場に、車 の陰形もなく、変わって、テントを張ったお店が幾筋にも並んで、活気にあふれています。一応、そこを通り抜けて、旧市街に入ると、各商店前の道路にも、ず らーとテントを張ったお店が軒を連ね、街全体が一大朝市会場と化しています。人出も最高で、浅草の観音様参道をも上回る混み具合で、私は市場の古本屋でペ リ ゴール地方の料理書を見つけて買っている間に、家族達とはぐれてしまい、しばらく別行動、やっと市庁舎広場の市場で再会することが出来ました。近くの農家 の人が焼いた直径25センチくらいのお手製クルミ入りケーキを買い、今すぐ食べるからといって、朝市の人に選んでもらったメロン(選び方のコツですが、メ ロンの付け根の軸が古くしなびてきたものが今食べ頃だと、教わりました)、みずみずしい枝付きの真っ赤なトマト、太い緑色のキュウリ、これら調達したばか りのものを持ち、教会の裏の小高い芝生の丘で、喧噪を離れて豪華なお昼。隣ではフランス人家族もサンドイッチ、フライドポテトのピクニック。家族3人で、 芝生に座り、古い 木組みの家並みを2時間かけてスケッチ。太陽が移動し、刺すような暑い日差しが迫ってきたので、その場を退散。道路沿いの日陰のベンチで、昨日のおいしい ケーキ屋さんに行って今日も買った、あのクルミ入りチョコレートタルトを食べていると、すれ違う人、すれ違う人がボンナペテイと声をかけて通り過ぎてい くので、その都度メルシーと答えなくてはならず、じっくり味わえない。市場に戻り、なぜかドイツ製の金属製クルミ割り器、マルセイユのせっけん、むきクル ミ、しぼりたてクルミ油、料理用ブレンドスパイス、地元きのこ セップSepの乾燥品、バスク地方の布、それから、アヒルの絵が面白い地元作家の皿(割れないようにリュックで帰国まで運びます)も買いました。市場で は、フォアグラをはじめ、白い粉の吹いた乾燥サラミ類、山羊のチーズ、ニンニク、クルミなどが沢山売られてました。衣類、鮮魚や野菜類もあります。ホテル に戻って買い物品を 置いてベッドで一休み。
夜になるとレセプションのおじさんが帰ってしまうので、その前に、宿代の精算をしました、明日の朝おじさんが出勤してくる前に、朝食もとらずにホテルを出 発しないと、列車に間に合わないからです。もちろんその事情をフランス語で説明していると、おじさんが、あなたはフランス語で上手に話せますね、といって くれました。素直にうれしい。これで初めに機内でずっこけたフランス語の不出来が帳消しになりました。宿代もトウロウーズの半額と安い。
元気が出たら、再び旧市街へ。今度は商店街から離れた、静かな中世の住宅街を散歩。泉も2カ所あります(この水は飲めませんNon Potable)。インフォメーションで散歩コースの入った地図をもらえます。街の大きさがそれほど大きくないので、30分くらいで端までいけます。つい でに 今夜のレストラン候補を探します。結局、教会近くのRESTAURANT BRASSERIE (terrass exterlieur中庭でお食事)というクルミのマークのレストランで、セップSep茸入りオムレツなど、とても良い雰囲気で美味しい食事ができまし た。飲み物は当然、無料の水道水(カラフ ドロー)で、この地方の水道水は大変美味しい。レストランを出ると、道に人垣が出来ていて、男女2人の歌手が演奏をしています。初めて聞くシャンソンの曲 ですが、なじみやすいリズムと心地よい響き。演奏後、早速CDを買い求めました。Bruno Vatys氏と Sophie Readさんです。Paris-LondresというタイトルのCDです。これぞ、旅の醍醐味です。

(左上)セップのオムレツ、(中上)クルミとむきクルミ、(右上)木骨組の家、(左中)名産フォアグラ、(中中)鴨肉のドライハム(鴨の ささみを干したものMagret de canard secheなど),(中右)駐車場に出来た朝市では極彩色の食器花瓶などを売っていた、(左下)趣のある中世の建物、(中下)街頭の音楽家、(右下)花が 美しい市庁舎。
8月12日(日)
朝ホテルの従業員が部屋を見に来ます。まだいるの?また見に来ます。まだいるじゃない。朝8時、レセプションのおじさんに、実は列車を間違 えて、今日は早立ちではなかったのです。朝食代追加料金をこの場で払いますから、もう少し居させて下さい、とお願いしました。連れの者が、日程の日にちを 読み間違えて、今日が早立ちだというものですから、計画した本人の私まで、時刻表を改めて確認もしないでそのまま信じて、昨日宿代精算手続きをしてしまっ たというわけです。
Sarlat市街は泉が湧くくらいで、言ってみれば谷間のところに位置しているわけで、鉄道駅はもっと高いところにあり、駅まで行くには、登り道を荷物を 引 いて歩いていくことになります。急な坂道を避けて、来るときに選んだ山側の道を再び歩いて戻りました。25分くらいかかりました。

ペリゴールPERIGORD地方周辺紀行(その3 ペリグーPerigueux) に続く