酷暑の 南仏プロバンス紀行 

(その5 フォンテーヌ・ド・ボークリューズ 1)

いよいよ、旅のハイライト、フォンテーヌ・ド・ボークリューズ行きです。アビニヨン1のページに書きましたように、本日は8月11日月曜日ですので、平日のバス時刻表を使い10 :45分アビニヨンバスターミナル(gar routier)発→11:40フォンテーヌ・ド・ボークリューズ着で、小1時間かかります。宿を30分早めに出発したのですが、肝心のgare routiereの場所が分からず、市バスの運転手さんにお聞きしたりして、駅の左手のガードをくぐっていくと、道路の向こう側にビルディングが見えるのですが、停留所は見えません。掃除しているおじさんに停留所はどこですか、と聞いてみると、この扉から入って、その奥だよ、と教えてくれたので、変だなと思いつつも、その通り進んでいくと、確かにビルの1階は太い柱の間に沢山の停留所が有って、それぞれ番号が付いています。切符売り場で一人4ユーロ(560円です、安すぎます)の乗車券を買い,13番線でバスを待つ頃には出発10分前です。時間に余裕を持ってホテルを出てきて正解です。座席の半分ほどの客を乗せたバスは、市街から西に向かって人家もまばらなド田舎の道を軽快に走っていきます。途中、きれいな街路を通り過ぎましたが、リルシュルラソルグL'Isle sur la Sorgeという町です。たちまち終点に着いて、全員バスを降りました。泉はどこ、流れはどこ。何も見えないので、運転手さんに聞くと、道路の下手を指して、あっちだよとの返事。泉も、川も低いところを流れるのだから、坂道の低い方に向かうのが当然です。バス停から、100メートルも歩くと、もうそこは清流が見え、そのあたりはお店も建ち並び、急ににぎやかな風景が開けてきました。先ず川にかかった橋の上から水中で緑色に草が揺れている清流を眺め、それから川沿いの左手の道路を上流へと歩いていきました。沿道には、蝉の声を流しているお土産屋などが軒を連ねています。私には、プロバンス名物の木彫りの蝉型箸置きが、妙に虫を想像させて気味悪く、買い求める気がしません。行程の中ほどにインフォメーションがあり、地図などをもらえます。さらに歩いていくと、山が接近し、道は石灰状の白い粉で覆われてきて、清流が音を立てて湧き出て、川に注いでいます。正面の大きな切り立った山の足下に、目指す泉が静かに青い色をたたえていました。今年は、例年になく降水量が少なかったためか、岩壁に付いている水位計から考えてもずいぶん泉が小さくなっているようです。泉はすり鉢の底のように位置して、周辺を岩に囲まれ、水流は見えません。それなのに、来る途中まで川には豊かな清流が音を立てて流れていました。つまり、現在この泉の水は周囲の岩盤のはるか下を通過して、途中の川底から湧き出してくるのです。(勿論水位が上がれば、泉の表面から直接川に水は流れ出ます)

泉の底はなんと308メートルもの深さだということです。

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