酷暑の 南仏プロバンス紀行  (その3 アビニヨン 2)

Fondation Angladon-ubrujeaud美術館は街の中心部にあり、ここを出て急いで歩けば15分以内にアビニヨン駅に行けます。規模の小さい美術館ですから40分あれば十分見て回れます。印象深かったのはゴッホが描いたアルルの蒸気機関車の絵、そしてモジリアニの描いた赤いブラウスという題名の大きな婦人像です。モジリアニの絵の中の人物は普通、銀色に塗りつぶされた眼をしていますが、この絵は、白目黒目がくっきり描かれているのです。帰国後早速、銀座飯田画廊の飯田哲さんにお伺いしましたところ、モジリアニの絵としては少ない部類に属するとの事でした。

絵はがきの写真です。

アビニヨン駅14:05発の列車でオランジュ14:19分到着。昼下がりの人通りの絶えた道を中心街にあるアレーナを目指して黙々とあるいて行きます。日曜日なので、ほとんどのお店が閉まっていて、閑散としています。あまりの暑さに耐えきれず、アレーナの前の街角にあるBrasserie du Theatreというお店で冷たいミネラルウォーター1.5リットルとアイスクリームを買い、やっと人心地つきました。アレーナは世界遺産に登録された立派な物ですが、解説の映画を見ると、今までに何度も破壊、再建が繰り返され、数百年前に昔の設計図を忠実に守り再建された物が、現在あるもので、ローマ時代の構造物はごく少し残存しているということでした。16:33オランジュ発の列車でアビニヨンに戻りました。列車はすべて2等車で、乗り込んだ扉の内部はトイレの前、旧式なコンパートメント車ですから、せまい通路に人がひしめいて、身動きすら出来ません。窓は開かず、無風の車内は、40度近いでしょうか、西日を浴びながら我慢の20分間でした。列車を降りたとき、あの暑いアビニヨン駅のホームが涼しく感じられるほどでした。

すぐにホテルに戻ると、西日を浴びたベッドの布団が熱々で、エアコンは無く、唯一扇風機が回っています。まあ宿泊代が安すぎたのだから、しょうがないか。シャワーを浴びて、急いでホテルを出て街に向かいました。

8月に旅行をすると、お店の人もバカンスに出かけて、レストランのお休みが目立ち、不利です。こんな中、すばらしいレストランに出会いました。名前はレストランHIELYです。アビニヨンの大通りに面していますが、2階にありますので、うっかりすると見過ごしてしまいます。予約していないのですが、と声をかけると、メートルドテル(ボーイ長)氏は、お待ち下さいと言いながら予約簿をみていましたが、よろしいでしょうとテーブルを用意してくれました。それも極上の場所にです。30分後には満席になってしまいましたが、皆予約者ばかりでした。(レストランには早く入るべし)

前菜は冷たいガスパッチョ、イワシの香草風味、メインは魚、ほろほろ鳥そして、デザートは写真の左下2品。これは2人前ではありません、2皿で1人ぶんです。1皿は厚さ2センチ、幅15x8センチの冷たいチョコレートムースにほろ苦いコーヒーシロップがかかっている。もう一皿はシャーベットの盛り合わせ。初めて見た、ラベンダーのソルベが絶品。感激して体が動かなくなりました(食べ過ぎ?)。雰囲気良し、サービス良し、そしてお値段が3人で83ユーロ(11620円)。さらに感激したのは、お店を出るとき、階段の降り口で品の良い60歳位のシェフが挨拶にお出でになり、握手でお見送りして下さったことでした。すっかり良い気分で街に出ると、ギャルソンが追いかけてきました、お客さんGEM(小型仏和辞典)をお忘れですよ。

(このレストランの隣奥にベトナム料理屋がありましたので、次の晩トライしましたが、大はずれ!どの料理も同じ味付けで、まずい、付け合わせ野菜まで同じ型でくり抜いただけの手抜き。今回の旅で最低の店)

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