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気候の変化の兆候(フランスの新聞ルモンド2003年8月9日(土)版)

国連の気候部門専門家会(IPCC)のRajendra Pachauri会長はAFPとの会見で、ヨーロッパの気温上昇は、単に「自然気候のバラツキ」によるものではないと私は考えると述べた。このインド人の専門家によれば、「これは、我々が将来到達する、極めて危険な出来事の前兆である」という。空気中に蓄積されるガスが温室効果をもたらし、炭酸ガス濃度がそれを増強すると説明している。「現在、私たちは炭酸ガスを減らすよう発信しているが、ここ10年間気候の変化に追いかけられている。ずっと早くから我々は環境改善を問題にしてきたにもかかわらずだ」。国連の気候部門専門家会(IPCC)は2100年には、今より1.4度C気温が世界中で上昇するであろうと予測している。そしてPachauri氏によれば、「ある地域、例えば北半球の熱帯地域、あるいは亜熱帯地域では、恐らく3〜4度も気温が上昇する、それの意味する重要なことは、気候変化のバラツキが増加し、それも突然気候が変化し、重大な災害が起こる可能性が増すことである」という。

死者:ヨーロッパの酷暑の結果、少なくとも30人以上が死亡した。フランスではVAR県で7月末に火事があり余計に死亡した。ポルトガルではCamuscaという小さな村で死亡した4人が発見された。スペインではアンダルシアとその隣接区で、11人が死亡した。

猛暑:おそらく9月まで続くであろう。フィレンツエの生物気象学研究所長のGiampiero Maracchi氏によれば、アフリカのサハラ周辺の6月末からの異例の長雨が、ヨーロッパの地中海地区の降水減少と、猛暑をもたらしたと。

火事:ルッツエルンの火事は金曜の朝まで続いた。この大災害は2日間続き、カナダ航空の協力を得て消火に当たった。イタリアではサボア地方で森林火災8月7日木曜日には300人が強制立ち退きを強いられた。トスカーナ地方では5件の森林火災。スペインでは、カタロニア地方で2500人が森林火災のため立ち退いた。

補償:55の部門で農業災害資金の恩恵に浴することを願っている。農業大臣によれば、干ばつの承認の要求を予測し、8月29日に国家農業災害委員会集で承認要求書類を預かると予告した。

牧畜:ブルターニュ地区、ロアール地区の鶏の死亡数は普段の2倍に達したと農業大臣が語った。消防車が倉庫の水かけに呼ばれたり、一連の県で死亡した鶏を土に埋めることを許可した。

水:水制限が増加した。ピレネー大西洋岸のCharente、ビエンヌ高地やロット川、ガロンヌ川、では、知事が水の使用を制限し、夜間断水、水まき禁止、洗車禁止、個人プール使用禁止などを施行した。その水計画では水浴も禁止された。

山:熱波はアルプスの氷河を多量に溶かし始めた。この現象は特にスイスで顕著で、山岳事故が沢山起きている。氷の溶解は4000メートルの高さまで及び、「この状況は全く本当だ」とチューリッヒ国立工科大学の氷学教授Martin Funk氏は語った。

交通:パリの地下鉄やバスは少しずつ冷房化されてきている。地下鉄、RATPでは、「強制換気」計画が推進されている。これは、換気の増加で涼しさを取り入れようとするもので、冷房は高コストだからというもの。そうはいっても、窓の開放がしにくい、バスでは4000台のうち、その1/3が冷房化されている。

エネルギー:電気の消費増加はは記録破りだ。スペインでは、8月初めから昨年の16.6%増し。ポルトガルでは、7月に消費が増加、というのは経済活動がその月ピークに達したからである。フランスでは2002年に比して10%の増加。基本的には冷気の生産と環流機構によるわけである。

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