EUGENIE-LES-BAINS ユージェニー・レバン  

今までの、三つの温泉町は、フランスの東側でスイスに近いサボア地方にありますが、今年訪れたユージェニー・レバンという村はフランスの西側でボルドーとピレネーの間のランデ地方の内陸部にあります。 鉄道で旅をしている私には、とても行きずらい所で、乗り換え駅で何時間も待たされる接続の悪いローカル線の終点で下車、さらにタクシーに乗らなくてはなりません。ST.JEAN DE RUZ 8:00発→DAX→MORCENXモルサンス10:44着 なぜかこの辺の地名は最後がXで終わります。そういえばBORDEAUXもXで終わっています。西部劇の舞台セットよりも小さい様な、うら寂しいMORCENXで2時間以上駅のベンチで待って、ローカル線の12:57発MONT DE MARSAN行きに乗り変え30分ほどで終点。幸い、駅前にタクシーが数台待機していたので、EUGENIE-LES-BAINS ユージェニー・レバン、ミッシェルゲラールと告げて乗り込む。約25分で到着。タクシー代約200フラン。ホテルLes Pres d’Eugenieレプレドユージェニーは塀に囲まれ、入り口で、ハンサムな守衛さんが予約の名前を聞き、無線で確認してから、車止めのチエーンを遠隔操作で降ろして、入れてくれるという物々しさです。こんな田舎の村まで、人は何故訪れるのでしょう。

実はこのホテルの中に、あの有名な毎年ミシュランの三ツ星に輝くシェフ、Michel Guerard ミッシェルゲラールのレストランがあるからです。ミッシェルゲラールはパリで、すでに三ツ星をとりましたが、それに飽きたらず、この地に移り、自家製の野菜ハーブにこだわり、グルメ料理はもちろん、最近では、やせる料理まで追求しています。彼の奥さんChristineクリスチーヌはハーブと温泉を使って、リラックスする施設を担当しています。先ずは、広い美しい庭にあるプールで一泳ぎしました。植木は、いちじく、西洋なし、りんごと、実のなる木ばかりで、さすがにグルメのホテルです。涼んでから、庭にある別棟の温泉に行きました。全体が19世紀の木造建築そのままで、見るからにほっとします。

先ずは、スチームバスです。白い木綿の重たいガウンを着て待合い室にいると、名前を呼ばれ、家族3人は、男が左側の浴室、女が右側と分けられてしまいました。脱衣所でガウンを脱いで裸になり、扉を開けて浴室に入りました。白い大理石の床と棚がああるので、暖まった棚の上に寝そべり、40数度という室内にたった10分間居て終わり。香りの良いハーブの蒸気で、リラックスしますが、温度が低く、短時間なので、汗が出るほどではありませんでした(これで、一人3、000円)。翌日は、バラの花などのハーブ湯に入りました。名前を呼ばれていくと、10畳くらいの広さの木造の室内は、立派な椅子、暖炉、絨毯のある普通の居間。天井が高く、窓にはレースのカーテン、部屋の片隅には大きめのバスタブがあり、緑茶色の薬湯がはってあり、強力なジェットバス3本が足の方から噴出しています。バラの花びらのたっぷり詰まった布袋で体をこすったりして、香りを楽しみ、15分間入浴しますが、これは、体が充分暖まり、帰りにはハーブテイーが出て、堪能しました。

木立の中に立つ白色のホテルは、下が地元の人が使う、歴史のある温泉設備(やはり、医師の診断書が必要で、私達宿泊客は使えません)。上の階がホテルの部屋で、12室しかありません。

室内外は白、家具は淡い緑で統一、広いベランダでは、長椅子で寝そべることが出来ます。部屋も、室外もバラをはじめ、きれいな花がいっぱいで、本当に居心地の良いホテルです。最後に、三ツ星レストランのことです。ギャルソンが燕尾服を着ているのには驚きました。みんな選りすぐったハンサムです。夏場の客は、どんな服装をしていけば良いのかが、関心どころです。私は、背広にネクタイで臨みましたが、他の客を見ると、きちっと決めた服装の人が半数、残り半数は、ノーネクタイで背広、あるいは開襟シャツだけの人でした。さすがに、Tシャツや、半ズボンの客は皆無でした。ミッシェルゲラールのレストランでは、当地名産のアヒル(ガチョウではありません)のフォアグラを堪能し、DORADE 鯛を使ったメイン料理ではあまりのおいしさに、これが三ツ星というものか、と感激してしまいました(言葉では表せません)。

翌日、早朝、敷地の片隅にあるミッシェルゲラールのハーブ、野菜園 Le Jardin du Cureを見学しました。無用の者入るべからず、と書いてありましたが、水やり係りの女性に断って、見せていただきました。バラもここで栽培しています。全て、自家製というのだから立派な心がけです。沢山の種類のハーブ類、かぼちゃ、なす、トマト、バラ、そして冬用の温室までありました。

初めて三ツ星レストランに宿泊したので、試しに朝食をとりました。朝食は、レストランを通り抜けて、その先の南の部屋で、食堂と言うより普通の立派なリビングのようなところです。不思議なことに、お客さんは1組の夫婦しかいません。それもそのはず、黒人のメイドさんが大きなトレーで持ってきた朝食は、おびただしい数の小さなパンがかごに盛ってあるだけで、他に、バター、ジャム、小さなヨーグルト、大人用にコーヒー、子供用にオレンジジュース1杯です。

味も、取り立てて言うほどのことはありませんし、いわゆるコンチネンタルスタイルです。これで一人3000円です。一歩外に出ると、通りのビストロでは、昼食に800円でサラダ、フリット付きステーキが食べられるのですから、ホテルの朝食はいかにも割高です。

通りの食料品店で地元産アヒルのフォアグラのガラス容器詰めを買いました。200グラム入り(大体4人前)で210フランと、格安です(しかもレストランで見たものと容器まで全く同じものです!)。割れないようにリュックに入れて持ち帰りました。これは、絶対おすすめのおみやげです。花屋さんではイタリアンパセリの種を買いました。

帰りの朝、発車までに40分の余裕を持って、フロントに行ったのですが、電話が頻繁にかかってきて、その度にミッシェルゲラール・ボンジュールと受けていますので、会計がなかなか終わらず、タクシーを呼んでもらうと、やっと15分後に到着、いらいらしながら、駅まで行く途中、道路工事で停車、結局2分遅れて、10時の列車に乗り遅れ、また駅で2時間待つはめになってしまいました。しかし、その後の列車の接続は、スムーズで、BORDEAUX14:05発→LA ROCHELLE16:16着

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