5.Train des Merveilles ニースからタンドまで鉄道の旅
8月14日(月)
朝食は部屋で、崩れなようにわらの芯が入った円筒形のやぎのチーズ(春、夏、秋限定で私の好物)Saint Maure de
ToulaineロアールLoir産 
メロンの残り、OASISという飲料、残念ながらメロンパンだと思ったものは、砂糖とメレンゲで出来た干菓子で、パ
ンではなかったので、主食に不向き。7時半にホ
テルを出て、Cagnes-sur-mer鉄道駅に向かいホームに出ようとすると入口を囲って狭めて、2人の係員が旅行カバン、手荷物、そして鍵は身に着
けていないだろうな、といって確認し、乗客を金属探知のゲートをくぐらせ、その後乗客は、やっとホームに出ることが出来るのです。ところが、NICE
VILL駅に着くと、大勢の乗客が自由に行きかい検問などはしていません。(じゃ一体Cagnes-sur-mer駅では何故やってるのか、単なる失業対
策事業としか思えません)
ニース駅の近くのBest Western Plus Nice Cosy hotel
に行き、荷物を預けて(にもつ引換券を渡されます)再びNICE VILL駅に戻ります。
ここで、これから使うDAYPASSというものをご紹介します。インターネットからフランス国鉄SNCFのページに入ると、DAY PASS
1DEPARTMENTという1日乗車券が購入できて、選んだ地方(DEPARTMENT)内の普通列車(TER)に一日乗り放題、乗り降り自由のパスを
買うことが出来ます、利用者名と日付が入ったものがメールで送られてくるので、それをA4紙にプリントアウトして、使用します。ネット購入の途中ページ
で、「私
はロボットでは有りません」というところをチエックしないと先に進めなかったりして、一瞬驚かされます。Map of France
Departmentsというインターネットサイトを開いて検索するとNiceを含む区域は06 - Alpes
Maritimes - Niceですので、06を選び、
パスの名前はDAY PASS 06
TITULAIREと印刷され、一人目は16€二人目は10€に割引され、2人分26€で一日乗り放題の切符が買えます。(今朝Cagnes sur
merからNiceに移動した時が、この切符の使い始めでした)

今日の予定はNICEからイタリア国境の山岳地を目指して、山の景色を見ながら、終点の国境の町Tendeタンドまで行き、Tendeから戻って、途中駅
Breil-
sur-Royaからイタリアの鉄道に入りVentimille(Ventimiglia)まで海に向かって山岳地帯を下りていきます。
Ventimilleからは再びDAY
PAS有効地域でフランス国鉄terを使って、美しいリビエラ海岸、コートダジュールをMenton,Monacoなどを通って美しい海の景色を見ながら
NIceまで帰るコースで
す。
9:23NiceVill発Temde行き、ter22945に乗りました。ほぼ満席です。列車はたちまち平地を離れ山岳地帯に入っていきます。この列車
には女性の観光ガイドが乗っていて、マイクを使いながら、車窓風景の見どころを解説してくれます。車両を歩きながら話します。ニースを出発して、山間部に
入って間もなく、白い岩と工場の跡が現れました。この付近の山から石灰岩が発見され、製造されたセメントはニース港からフランス全土に送られ、国の発展の
ために大いに貢献したと解説してくれました。

この路線は高い岩山を貫いて走るので、トンネルが多く、長いものは5km以上もあり、景色、トンネル、景色を見ながら写真を撮るのが忙しい。
途中のBreil-sur-Royaブレイユシュルロワイアで下車。駅でVentimigliaヴエンティミリア(イタリア読み)行きの切符(イタリア鉄
道なので、DAY
PASSの範囲外です)を買い、2枚で10€。駅員さんに、今度のVentimilleヴアンティミル(フランス読み)行は15時過ぎだけれども、それで
もいいのか?と聞かれましたの
で、ウイと応えました。
次のTende行き列車まで、時間があるので、ブレイルシュルロワイヤの街まで行くことにしました。
昼近くの日差しは暑い。駅から町までは坂道を15分位下りていき、清流の橋を渡れば、Royaロワイヤ川沿いに街があります。川下りが有名で、ラフテイン
グの事
務所があり、ゴムボートやウエットスーツをトラックが運んでいきます。街の中心の小さい教会の鐘が11時を打ちました。朝ろくなもを食べてこなかったの
で、お腹が空きました。教会の裏手に小さなカフェバー Cafe des
Alpinsを見つけました。暇そうな地元民がたむろしています。店主にパンありますかと聞くと、奥からマダムがこちらにあるから、サン
ドウイッチを作ってあげるよ、と声をかけてくれました。コーヒーを飲みながら待っていましたが、なかなか持ってこないので、こちらから取りに行くと、待
ちなよ、そっちへ持って行くから、といわれ、私達、急いでいるのですが、というと、長いバゲット(フランスパン)を2つに割り、その中へ、厚切りのトマ
ト、厚切
りのチーズ、ハム、レタスを挟み、その上にオリーブオイルを2往復もかけて(大丈夫かいな?
)中身が多くてパンの蓋が閉まらないのでは、と心配になりま
したが、マダムはそれを力任せにぎゅうぎゅう押すと、見事にパンは塞がってサンドウイッチになりました。それはそれは、今まで食べた中で最高に美味しいサ
ン
ドウイッチでした。サンドイッチを手に持ったまま、写真を取ろうとしたのが失敗で、手の中でバゲットが縦になり、あのたっぷりなオリーブ油がぽたぽたと私
の半ズボンに流れ落ちました。油のシミは乾きませんから、夜ホテルに戻るまではずっとシミ付き半ズボンで過ごさなければなりません。涼し気な川岸を歩いて
行くと、タオルの上に25cm大のマスを載せた4歳位な可愛い女の子が、話しかけてきます。「お魚が寝ているの、おうちに帰ってお魚を食べるの」お父
さんとお兄ちゃんはマスtruiteを狙って長い釣り糸を川に投げ込んでいます。Roya川はTendeから山峡の谷を下って、この街に到達し、一旦ここ
で堰き止めら
れるので、街の中心部でまるで湖のように広がり、透明な水はゆったりと流れ、白鳥が泳ぎ、底に泳いでいるマスの群れがはっきり見えます。背景にそそり立つ
高い岩山、静かな透明な川面、古い家並み、絵のような美しさです。イタリア鉄道の区間切符を買うために降りたRoya駅。おかげで、こんな美しい風景に出
会えてよかった。

かえりの時間が来るまでぼんやりと川辺のベンチで過ごす空虚な時間、これぞまさにヴァカンスです。再び暑い坂道を登って、駅に向かいます。途中、
駅手前のベンチで中年の女性が所在なさそうにタバコをぷかりと吸っています。私より遅れて登ってきた連れ合いが、ベンチの女性見た?あの人立ち上がった
ら、スカートのゴムが緩かったみたいで、ズリ落ちてしまったの、しかもノーパンだったわよ。と私に話しかけてきました。私は急いで先に登ってきたので残念
でし
た。
13:44Roya発→14:39Tendeタンド着。 岩山と谷が構成する途中の景色は見応えがありましたが、写真を撮ろうとすると列車はすぐトンネル
に入って
しまいます。高い岩山に取り囲まれた国境の町Tende。昨日まではお祭りだったようですが、祭りのあとの寂しさで、街は閑散としています。これといった
見るべきものも無く、旗で飾られた庁舎をみて、土産店で木の枝で作った小さな笛を記念に買いました(Tende Fabrication
Francaise Depuis
1898)。ポーという800Hz位の音が出ます。

再びTendeからVentimiglia行きの列車に乗ります。途中のBreil-sur-Royaで、イタリア鉄道に分
かれます、乗客はと見ると、流石に車内はイタリア語ばかり飛び交い、ほとんどイタリア人です。途中で車掌さんが早口のイタリア語でなにか言いながら車内を
通り過ぎました。連れ合いが「10分間臨時停車」と言っていたよと教えてくれました。彼女は毎朝ラジオイタリア語を聞いているから、分かるのです。帰りの
ニース行きのフランス鉄道terと乗り換え時間が10分位なのに、と少し不安になりました。Ventimigliaに近づくと背景に白い岩山が屏風のよう
に立っていて、Roya川が流れています。Tendeの峠に発した川はBreil-sur-Royaでイタリア側に曲がり南下、Ventimigliaま
で60Kmの旅を終えて地中海に注いでいるのです。
Ventimiglia17:20着。降りたホーム(7番線)の駅員さんに、Nice行きは何番線ですか、と聞いたら、2番か3番との返事。地
下道を急いで行って、3番線ホームに出て一安心。まだ列車が入ってこないね、なんて言いながら、ホームの後ろ端を見ると、短い列車が停まっています。あれ
だろうが、と急いで飛び乗ると、17:32ter86048Nice行きは間もなく発車しました。

夏の夕暮れは遅く、まだ太陽に輝いているフラ
ンスリ
ビエラFrench
RivieraのMenton,Monaco、Ezu等、有名リゾート海岸に沿って列車は走り、海水浴場やヨットハーバーなどの美しい風景を見ながら
Nice Ville駅に18:27着
ホテルで長ズボンに着替えて、駅前からトラムのGare Thiers停留所から乗って、Massenaで下車(一人1.5€)
今夜はインターネットのミッシュランサイトで19時半に予約した一つ星Bistrot Gourmandに行きました。MENU ENVIE
を選び2人前110€、グラスワイン(St JEAN
BLC)10€。コース料理の内容は、いちじくの好きな私ですが、料理全部、デザートにまでいちじくが出てきたので、さすがに当分いちじくは食べたくない
気分です。

印象に残ったのは分厚いフォアグラソテーが甘いソースで最高で、これぞ星1つです。合計で120€。さすがにビストロです、ワインの濃くて香りの良いこ
と。私は例によっ
てカラフドロー(冷水)です。夜風に吹かれながら歩いて駅前ホテルに戻りました。
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