その5  ルピュイ・アン・ブレイ Le puy en velay

7月18日(日)
フランスでは特に日曜日の列車の本数が少ない。乗り遅れないように早めに駅に行って、窓口で確認すると、出発までにまだ1時間以上あります。クレルモン・ フェラン駅の売店で例 のフランス人観光客が使うガイドブックPetit futeという本のAubergne版を買いました。9.95ユーロ。駅の待合室に座っていて、私のお気に入りの帽子がない事に気づきました。まだ1時間 あり ますので、駅から急いで夕べのレストランを目指しました。前を一人の青年が走って行くので、私も続いて走り出したら、後ろの人から腕をぎゅーとつかまれ、 危ない!と止められました。目の前で車が急ブレーキをかけて止まりました。何と、私は赤信号の横断歩道を駆け出そうとしていたのでした。ありがとうござい ます。もう少しで、帽子一つのために命を落とすところでした。そんな思いをしながら、昨夜のレストランを走って往復しましたが、閉まっていて、無駄骨でし た。気に入っていた帽子だからくやしい!そうこうするうち、もう1時間経過、列車が到着します。向のプラットホームに渡る通路が分かりません、駅員さんに 聞いたら、改札の外側からだって、ややこしい作りです。Clermont Ferrand10;30発→11;23ARVANT駅着ここで列車は終点。列車を降りて、駅前に出ると、そこには2方向に行く2台のバスが待っていて、 Le puy en vlelayルピュイ・アン・ブレイ行きの国鉄バスに乗車、バスは各鉄道駅に止まりながら進んでいきます。(乗客が少ない時間帯は、列車でなくバスで代替 走行をしているというわけです)。
バスは美しいなだらかな丘陵地帯を走ります。田舎なのにCASINOがあったりします。変だなと思ったら、後で分かったのですが、 CASINOとはこの地方のスパーマーケットチエーン店の名称でした。終点のLe puy en vlelayの風景がみえてきました。丘の上にそびえる赤い聖母像と小高い岩山にはサンミッシェルの礼拝堂を峠の上から見下ろしたときは、感激しました。 バスは徐々に峠をおりて市街に入り、12;31
Le puy en vlelay国鉄駅に到着しました。バスから降りると、昼下がりの白い道は暑い。幸い駅に近いHotel Bristolまでは歩いて7分くらい。すぐ部屋に入れてくれましたので荷物をホテルに置いて、直ちに市街地へ出発。日曜日なのでお店は閉まっているの で、と りあえずインフォメーション向かいました。
市街地図をもらって、あすの予定LaChaiseDieuのバスの時刻を教えていただく担当者は金髪の若い娘さん。彼女は新人のようで、一々上司の人に聞 い てから、私たちに返事をくれます。大丈夫でしょうか。ようやく明朝9時国鉄駅前からバスが出るということが分かりました。今日は、Le puy en vlelayの街を観ることにします。街全体が丘のようになっていますから、そのてっぺんにあるノートルダム・デュ・ピュイ大聖堂Catedral Notre-Dame du puyを目指すには、坂道を登らなくてはなりません。暑い、空腹だ、でへとへと。入り口まで行ったが、レストランは無い。門前のお土産屋が開いていたの で、アイスキャンデーを買って飢えと渇きを癒す。大聖堂は涼しいし、厳かで、ホタテ貝をリュックサックに付けた、まさにこれから巡礼に出発する人などがお 祈りしている。聖堂の一隅にベッドのような石の台があり、その石に寝れば病気が治るという(石が冷やしてくれるから熱は下がると思いますよ)。


写真上左国鉄バス、上右赤い建物ホテルブリストル、中左巡礼の印ホタテ貝が門につるしてある、その下リュックにホタテ貝を付けた巡礼者、 中右ノートルダム大聖堂の入り口Porche saint Jean12世紀のもの、下左大聖堂内部マリア像をはさんで天井から長いリボンが下がっている、下右寝ると病が治るという岩盤)
大聖堂には 回廊があり、3ユーロで入れる。一人でぼやっと観ていると直ぐに見終わってしまいますが、解説のガイドさんが細かく見所を説明してくれるので、柱の彫刻の 意味など興味深く鑑賞することができます。


写真左上 大聖堂の回廊、右上 回廊側室のフレスコ画、左中 回廊の梁にめぐらされた奇妙な浮き彫り像、右中 柱の彫刻の意味を解説する ガイドさん、下 回廊から見えた岩山の赤い聖母子像)
フランス語の全部は聞き取れないのですがシャ・ノアールという言葉が頻繁に出てきます。くろねこがどうしたっ て?あまり気になるので、ガイドさんにすみません、スペルを書いてください、とお願いすると、Chanoineと書いてくれました。辞書で調べると、聖堂 参事会員とでています。私はシャノアンですか、ずっとシャ・ノアール黒猫と思って聞いていました、とガイドさんに云うと、それを聞いていた周りのフ ランス人見学者は皆大笑いしました。私はフランス人を笑わせたのは、これが初めてです。教会の売店でLES BONNES SOUPES DE MONASTRE「修道士のスープ献立」という本を見つけて買いました。1月から12月まで月別に沢山の献立が書いてあり今後楽しみです。回廊を見終わ り、今 度は赤いマリア様目指して登ります。ここでも入場料。回廊の入場券売り場で説明してくれないので、4カ所巡りの共通入場券が8.5ユーロで買えることを知 りませんでした。ですから、私たちは、その都度3ユーロを払って入ることになります。マリヤ様に登って、展望して降りて、再び大聖堂に戻って、大聖堂の西 に 廻って、今度はサンミッシェルの礼拝堂を目指します。大聖堂西側の通りにはレストランが開いていて、ようやく昼食のサンドウイッチにありつけ、人心地が付 きました。元気を出して道を上ります。入り口で3ユーロ払って岩山のサンミッシェルの礼拝堂に向かって登ります。礼拝堂の建っている岩は、昔火山で隆起し たものだ と案内板に書かれています。(参考までに述べますと、Le Puy en velayVray,Pyui deDome などのPuyとはこの地方の山のことをそう呼び、La chaine des Puysとは山々が鎖状に連なっている様を表します。火山の噴火で出来た山ですから、今でも噴火口の跡が山頂に見られるものも数多くあります。)


(写真左上赤いマリア像の体内の窓から見たサンミッシェルの礼拝堂右上赤いマリア様側から見たノートルダ ム大聖堂、左中サンミッシェルの礼拝堂の外観、右中礼拝堂内部壁側の青緑の像がサンミッシェル左 下登り道、右下全体像)
頂上から 向こう側に見える赤いマリア様と、街並みを眺望した後、道なりに丘の街の周辺を下りて、麓のホテルに帰ってきました。もう脚が棒のようです。宿泊ホテル Bristolの中庭の食堂で夕食です。酒の飲める妻は、料理皿の変わる毎に地元の珍しい酒が品を買えて少量ずつ出てくるデギュスタシオンコースを選ん で、楽しんでいました。緑色をした地酒まであります。私は地元の食材を使った、とびきり美味しい料理を堪能しました。この地方特産のレンズ豆のうまさにも 開眼しました。日本のアズキのようなうまさがあります。ムニューはそれぞれ30ユーロと、25ユーロですから安いものです。飲み物は水道水、この地方は水 が美味しいので、ミネラルウオーターは不要です。


(写真はホテルブリストルの夕食、中左のココット内にあるのがこの地方名産レンズ豆、右の緑色の酒がここの地酒)
翌日も、楽ちんだから、このホテルで夕食。朝食、夕食費も込みで267ユーロ、二人2泊で3万円強は、破 格の安さです。
7月19日(月)
昨日教えられた通り、ルピュイ・アン・ブレイ国鉄駅の窓口で、9時発のLa Chaise Dieu行きのバス車券を買おうとすると、窓口のおばさんが夕方発が一本あるだけだから、今日は向こうに着いたら一泊するしかないよ、との返事。昨日イン フォメーションで教えてくれた新人さんは、時刻表を正しく読んでいなかったのです。朝9時発のバスは火曜日で、今日は月曜日だから無いということでした。 タクシー乗り場は街の広場にあるというので、街に戻り、La Chaise Dieuまでの料金を聞くと、75ユーロ、ということは往復で15.000円くらいかかる、バスが走らないというのは、施設が休日閉館の可能性もあり、 せっかくタクシーで行っても、何も観られない可能性もあろう、ということで、その地の教会で「死のダンスのフレスコ」を観る計画はあきらめました。突然出 来た自由時間。どうしようというので、再びインフォメーションに出向き、直ぐ近くの村に岩の上にお城があり、霧の立ちこめた日は、雲の上の天空の城みたい で、おすすめです、でも月曜日は休みでお城の中に入れないかもしれません、との情報を得て、LE PUY-EN-VELEY et sa regionという案内書をいただき、14世紀に建てられたというChateau Polignacポリニャック城という所に出かけることにしました。街の中心街にあるPlace Micheletという大通りに面した大広場には、様々な方面行きののバス停があります。奥の方のバス停から11;15発Polignac行きに乗り、 11;30で終点到着。5Km北にあるお城で、バス代片道1.15ユーロと、安い。


(岩の上に立つPlignacポリニャック城)
バス停から上に登っていくと小学校があり、その先がお城。案の定、月曜 休日で、お城に入れない。引き返して、持っているパンのかけらと、リンゴで簡単な昼食。急いでスケッチをして、次のバスでルピュイ・アン・ブレイに引き返 しました。丁度、広場から市内観光のミニトレインが2;00に出発するところなので、それに乗車。一人7ユーロ。透明な屋根の席で、昼下がりの強烈な日差 しの下、乗っているだけでも汗が出てしまう。14世紀のパンサック門などの遺跡を観て、3時にホテルに戻りましたが、私は、すぐに外出して、裏側からのサ ンミッシェルの礼拝堂をスケッチしました。裏側からは登り道が見え、岩山を登っている人が見えるからです。スケッチ1時間、ホテル往復で一時間かかると、 もう夕方になりました。てきぱきと運んでくれるBlistolホテルで短時間で夕食をすまして、ホテルからほど近い街中のPlace Cadeladeカデラーデ広場で、フォークダンスの夕べが開かれる、というので見に行きました。


赤いベレー帽をかぶったピレネー地方のバスク人達が、バ スクの踊りを披露し、それを会場のフランス人達が見よう見まねで即席のフォークダンスを踊るのです。指導者はスペイン語で教えていますが、フランス人達は 苦もなく理解して振り付けをまねています。上を見ると、広場の周りの建物には、夜間照明の設備が備え付けてありました。夜風に吹かれて日本ではめったに見 られない澄み切った空の満天の星を仰いでホテルに帰りました。

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