カンペール
川の流れに沿って街並みが続く、日本でいえば城崎温泉の様な景色です。黒い頭巾の民族衣装を着た娘さんが歩いて行くのでその後をついて行くと、街の中心にある教会の塀の内側の庭に入っていきました。今日は夏祭で、その庭ではバグパイプのコンクールがあるのです。軽食堂の準備(ゆでた海老など)をしていたり、バグパイプ演奏の練習に余念のないグループなどでごったがえしています。まだ始まらないようなので、街に出て名物のクレープを食べました。私はシンプルなバターだけの、家族はアイスクリームがたっぷりのったものにしました。教会前の広場の一角に、地元の陶器をあつかう大きな店がありました。沢山あるのでいくら時間があっても足りません。ここで買った小皿は今でも食卓で愛用しています。教会の庭に戻って見ると、残念、すでにコンクールは終了していて、表彰式の最中でした。バグパイプといえばスコットランドを思いうかべますので、フランスとはいえ、この地ブルターニュはケルト人の血でイギリスのスコットランドとつながっているのだなと実感しました。
カルナック
大学のとき人類学で習ったドルメン、メンヒルなどと呼ぶ謎の巨石群を見ることが30年来の私の夢でした。バンヌの駅前から出るキブロン行きのバスに乗ると田舎の風景をみながら一時間ほどで、海岸に出ます。そのあたりに巨石群のある場所が散在しているはずです。ホテルのおじさんに聞いたとうり、カルナック駅よりは手前のバス停で下りて、約一キロメートル位歩くと巨石群のある所に出ます。展望台にあがれば一望できます。巨石一個の大きさは人の背丈の2、3倍あり苔むしています。それが列をなして遠くまで続いています。歩ききれないので、ミニ.トレインに乗って一帯を30分位かけて見て回ります。ちゃんとアイスクリーム屋さんも店をだしていますし、小さい博物館もあります。バンヌへの帰りは鉄道に乗りましたが窓の外は沼地かシダ類の繁っている荒れ地ばかりです。ですからそば粉を使ったクレープがこの地の主食なのだと理解でき、気の毒に思いました。クレープは、おしゃれでもファッッションでもなく、生活の糧なのです。
バンヌ
駅を出ると、夏だというのに冷たい曇り空でこれがブルターニュなのかと思わせます。街の中心部に地名の由来になったバンヌ夫妻のにこやかな像が軒先に見えました。銀行で日本円を出しますと、簡単にフランに両替してくれました。こんな遠い町でも今や円は通用するのです。少し進むと道は下り坂になりそのまま湾の奥に出ます。そこからバスに乗り半島の先端が終点です。静かな入り江では子供達がお母さんと水浴びをしています。一日目の夕食は、レストランに入ると中で子供がでんぐりかえしをしているのでいやな予感がしましたが、いつになっても料理は出来ず、やっと来たものはまずくて、おおはずれでした。翌日はきちんとガイドブックを調べて、駅前にある星付きのレストランRegisMaheに入りました。あいにく満席だったのですが、親切なウエイトレスさんが待合室のテーブルでもよろしければ、と席を作ってくださいました。眠そうな私の子供には、自家製プリンのサービスまでしてくれました。妻はいろいろな魚料理のデギュスタシオン(沢山の料理を少しずつ味見する)を、私はミシュランの本に載っているスペシャリテをたのみましたが、くらべると妻の方が良かったようです。ホテルはそこから歩いてすぐのAnne de Bretagne 便利で安くて親切でしたよ。
ラボール
パリ発ナント経由または、カンペール発バンヌ経由のルクロアジック行き列車に乗り、終点のひとつ手前のラボール.エスクビアック駅で下車する。駅から南におよそ一キロメートルほど歩くと海岸に出ます。その何キロにも延びているビーチの長さに驚きの声をあげるでしょう。そして数え切れないほどのホテル、リゾートマンション、海水浴客、それでいて騒がしくはない。そうです、ここがフランス人の作ったフランス人のための海水浴場なのです。まず日本人を含む外国人には会いません。目の前をトップレスのマドモアゼルが平然と横切って海に入っていきます。一緒に海で泳ぐことだって出来ますよ。すこし水が冷たいけれど、素晴しいところです。ウインドサーフインの競争をしている若者、砂をほじって遊んでいる子供(私の娘はもう一緒に遊んでいます)、背中を焼いている男女。泳げない子供は料金をはらって浜辺にあるクラブという遊び場でブランコ、トランポリンなどで一日中遊んでいます。ほかの所で安いホテルに泊まったので、ここでは豪華に最高級ホテルにしました。名前はCastel Marie-Louiseというこじんまりしたお城の形をした一番美しいホテルです。きれいな庭があり、すぐ前が海水浴場で、ラボールで唯一の星のついたレストランを持っています。花柄のお部屋には、お化粧用の洗面台が二つも付いています。テニス、ゴルフの無料プレー券がもらえます。泳ぐのが楽しくて、どちらも利用しませんでした。ディスコの券ももらったので、行って見ると、夜の11時から始まるというので、私は子供がいるからあきらめました。フランス人は夜が遅いのです。近くのエルミタージュホテルのプールもパスを見せて無料で使えます。温水海水プールです。その一角で、ホテルのお兄さんがスキューバダイビングを教えてくれるので、私の娘はおお喜びでした。夜はジャズコンサートも開かれていて最高のバカンスがすごせます。ぜひお出かけください。
ル.クロアジック
ラボールから鉄道で一駅10分で着きます。そこから市街にバスで行きます。水族館が楽しい。ムール貝の養殖法が展示されています。お昼はもちろんフリュイ.ド.メール(生の貝、カキ、ボイル海老の皿)です。水族館近くの魚屋の隣のレストランで食べましたが、中心街よりも新鮮で安いようでした。おみやげには地元産の天然塩がおすすめです。列車の窓から、いくつも塩田が見えます。
ボルドー
駅から中心街まで遠いのでバスに乗ります。大きな町なのに、空いているホテルが意外に少ないのです。結局どこかには泊まれますが、希望のホテルが満室で、何軒かで断わられました。私が泊まったホテルは6000円位の安ホテルです。ハイライトは中心街から出ているワインシャトーめぐりバスツアーでしょう。濁り水の急流が流れる大きなガロンヌ川を渡って、郊外のブドー畑を目指しました。よく質問しているのはアメリカ人観光客でした。おすすめのレストランはガロンヌ川の橋のたもとにある店で(名前は忘れました)、パエリヤ、サングリヤなどのスペイン料理で、ボリューム満点、味最高、地元の人でにぎわっていました。星付きのレストランでは、Le Chapon Finのアヒルのフォアグラ(ガチョウのではありませんよ)。このガスコーニュ地方の特産で小ぶりの物を軽くソテーした料理はここでしか味わえない逸品です。
バイヨンヌ
駅から出て大きな川を渡れば町の中心に出ます。橋を渡ってすぐ二つの川を見ることが出来る格好の場所にレストランが在り、つい入ってしまいましたが、店のおばさんが不親切でいくら頼んでも知らん顔で水を持ってこないのです。水なしではピザがのどにつかえてしまいます。外を通る人を見ていると、もうここはバスク地方に属しているので黒いベレー帽をかぶった老人が目につきました。早速私もベレー帽を買って使ってみました。軽くて、暖かく、しかも頭がむれることがありません。フェルトで出来ているので、少しくらいの雨でも平気です。このように、山岳地帯の男に好都合な帽子なのです。私は日本に帰ってからも、茸狩りに山に行くときはこれを愛用しています。ボナ美術館は素晴しい作品に出会えます。夏ですので、アレーナ(円形競技場)で闘牛が行われていました。観客は赤や緑のベレー帽でとても華やかです。レストランCheval blancでバイヨンヌハムを食べました。かたくて塩味の強い大きなハムです。ホテルはなんとかなりますが、結構混んでいます。はじめLe Grand ホテルに泊まったのですが、車の騒音がひどいので翌日から駅前の小さなホテルに変えました。ここを基点にして、付近の海岸や町を見て回ることにしました。というのは、有名な海岸は、長期滞在客でどこも満室なのです。
ビアリッツ
駅から離れているので、バスかタクシーで海岸へ行きます。さすがに高級リゾート地の雰囲気があり、おめかしした女性や外国人も沢山訪れています。少し前まで人が歩いていた海岸が今は潮で満ちています。干満の差が大きい海です。イカやイワシを油を引いた鉄板で焼いて、ビネガーをかけたものが屋台で売っています。お昼は海岸のレストランCher Albertで生カキを食べました。海水のほどよい香りの素晴しい物です。ひげずらのバスクのおじさんが、これはうまいよ、と網焼きパンを投げてくれました。生きのいい店です。海水パンツを買って、海で泳いだり、マリア様や鯨の記念碑などを眺めて、夜バイヨンヌの宿に戻りました。お昼時は公衆トイレに鍵がかかって、使えなくなりますから気をつけましょう。
サンジャン.ド.リュツ
ビアリッツから、さらにスペインの方に行った所にあります。設備の整った海水浴場で海もホテルも満員です。スペイン人もかなり来ています。日帰りで泳ぐには絶好です。サンジャン.ド.リュツから国境のアンダーイエまでの列車から見える海岸の景色はおそらく、フランスで一番だと私は思います。景色の美しさにひかれて2往復してしまいました。