パリ、ロワール、ブルターニュ巡り(瀬尾祐子さんの報告)

前半の4日間はイタリア旅行で、フィレンツェから飛行機でパリのCDGへ戻り、レンタカーをチェックアウト。

夕方のパリの高速道路の渋滞をなんとか抜け、一路ロワール地方へ。

この時期、日暮れは早くなっていくばかり。夕陽が沈むのを見ながら今晩の宿、ブロワ近郊のChiteneyへ到着。しかし街はひっそり静まりかえっています。

チェックインをしていて周りを見まわすとレストランに明かりがついていません。

その日は月曜日。なんとレストランはお休みだったのです。しかもここはロジ・ド・フランスでかまど3つのレストランホテルです。飛行機で移動し、車でもかなり移動してかなり疲れていたのに、さらにレストランが開いていない。しかもすごく田舎町で近隣の町も月曜日に開いているレストランはなく(レストランはもちろん、食べ物など雑貨を売っているような商店がまったくないか開いていない)、車で15分ほどいったブロワの街にはあるとのこと。

ためいきをつきつつ、またブロワ方面へ。とりあえずブロワの街に入り、

駐車スペースを見つけてようやく停めて、街の商店街がありそうな通りに出たが、お店が開いていない。まだ20時前で普通のフランス国内であればレストランはこれからという時間。ブロワってそこまで小さな街ではないと思っていたが、月曜日はお店が全く開いていない(レストランが)のかと思うくらい。

あまり歩いても疲れが増すばかりなのでとうとう妥協し、バイパス沿いの

ドライブインレストランへ。ホテルもついたレストランで日替りの夜定食を夫は肉、私は魚とかえて頼み、ロワールのシノンの赤を1本。お腹が空いていたこともあったし、何日もその土地の郷土料理を食べた胃には、そのちょっとそっけないアメリカンタイプの(フライドポテト添えなんかが)定食が、すごくおいしくすっかり平らげてしまいました。

ホテルは古いプチホテル。部屋数も10〜15部屋くらいですが、もちろんエレベーターなしの3階建て。素朴な椅子やテーブル、ベット、壁紙が薄いブルーとベージュと小花模様でまとめてあり、やわらかな温かみのあるランプの光が疲れを癒してくれます。

翌日は古城めぐりをしつつ、日本から予約していたシノンのワイナリーに

行く予定だったが、8時ごろ起きてみるとまだ夜明け前の外は霧。朝食をとりに食堂へ入るとランチのためのテーブルセッティング中。朝食のパンやチーズもおいしく、前日の夕食が食べられなかったが非常に残念。レストランは季節がよいとオープンテラスにもなる明るい開放的な部屋。ジビエのおいしい料理が出ると期待していたのですが・・・。これからはレストランの休日も気をつけないと。

その後、雨がとりあえずやんだので10時半ごろ宿を出発。

ブロワ近くのシャンボール城へいってみることに。レンタカーで周っているとわかるのですが、このあたりはあまり起伏の少ない平野が広がり、何キロもつづくまっすぐの道がたくさんあります。この近くのル・マンの24時間耐久カーレースコースにも直線の長い道路があります。

なんとなくすっきりしない空模様の中、シャンボール城の裏手に駐車し、お城へ。

しかし寒いのと雨が降り出したので、正面を見て周りを歩いただけで、中までは入りませんでした。この時期(2000年11月)は正面が修復工事中で半分覆いがしてありました。この後、ロワール川沿いの土手を通る道をブロワ〜トゥールあたりまで様々な古城を右に左に見ながらドライブしました。

そうこうしているうちに予約を入れていたシノンのワイナリーの時間がせまってきました。雨がずいぶん強く降ってきてあまりスピードは出せません。「シャトー・ラ・グリーユ」はシノンからほど近い判り易い場所にありました。ボルドーへはいったことないですが、ボルドーっぽいシャトーが入り口から長く延びた道の正面に見えていてなかなか威厳があります。しかし御当主のゴッセ氏は気さくな方で簡単な英語でおもしろく判り易い説明をしてくださいました。シノンはいままであまり日本でも飲んだことがなく(というか程度のよいものはあまり見かけないですね)どんな感じかなと思っていましたが、試飲してみるととてもおいしいですね。長く熟成させられるものもあるようです。ゴッセ氏のいうところによるとシノンも他のシノンはライトなものが多いけど、このシャトー・ラ・グリーユは別だということです。しかしちょうど、雨が降っていて残念でした。ゴッセ氏もシノンはいいとこだよ。晴れていれば、としきりにゼスチャー付きで残念がっていました。ここでは2本購入。

ワイナリーを出て、車で10分ほどのシノンの街に寄りました。

銀行へ寄ったり、中規模のスーパーに寄ってみたり、雑貨屋さんのショーウインドウをながめて、カフェで一息。あとはゆっくりドライブしながら、今夜の宿、ソーミュールの郊外のあるスモール・ラグジュアリー・ホテルズの「ラ・プリウール」へ。この日の宿泊客は私たち二人だけのようです。部屋は広く、ロワール川が目の前に広がる大きなテラスが付いています。インテリアは古いバロック調の家具だし、カーテンやベットカバーも厚手のゴブラン織り風のもので、お城ライフが満喫できます。バスルームは広くて窓付き。トイレは別になっています。バスローブもあって設備、備品も新しく機能的です。多少早く着いたこともあったのと雨がようやく上がったので、お庭を散歩しました。ロワール川を望める高台にあるので川が眼下に広がります。夕食はホテル内のレストランへ。お昼もあまり食べず、昨晩が簡単な夕食だったこともあり、かなりお腹がすいていました。このあたりの特産の川魚料理やマッシュルームが使ってあるもの、ジビエ(シカでした)と、アラカルトでいくつかと今日のお勧めムニュのコースを1つとっておいしくいただきました。食前酒は地元の発泡性白ワインをグラスで。食事中のワインもお勧めの地元のワインです。翌朝、9時ごろ起きて朝食を食堂で食べましたが、この時でたヨーグルトがなんともいえないくらい新鮮でおいしく地元のメーカーでつくっているらしい、大量生産っぽくないラベルが印象的でした。

この日は午前中にフランス政府観光局のパンフなどにものっているソーミュールにある「ヴュベ・ラデュベ」へ見学にいきました。ここは発泡性のワインを作っている大手で直売所も大きく、盛況にしていました。見学予約していることを申し出ると始めに10分ほどソーミュールの街の案内からこのワイナリーの案内の概略を英語のナレーション付きでスライドショーを見て(これがなかなか濃くていかに偉大かというのを繰り返し聞かされました)その後、製造工程を見せてもらって最後に販売所で試飲をさせてもらうという内容でした。団体だと有料のようですが、個人だったので無料です。

その後、ソーミュールの街を通り、一路高速道路をブルターニュへ。

フランスの地図を見ているとロワール地方からブルターニュのレンヌあたりまでなんてことない距離のような気がします。しかし延々高速道路を走って(途中、昼食のためや気分転換のために休憩をいれつつ)ル・マンやレンヌを通過し、今夜の宿のあるブルターニュの東の端のサン・マロ近くのカンカルへ17時ごろ到着。高速道路で走っていると、外の風景が地方が違ってくると建物や地形などが変わっていくのがわかります。ブルターニュはイギリスに近いせいか、なんとなく街の色合いがくすんで暗い色が多くなってきます。

カンカルは牡蠣で有名な海辺の街です。モン・サン・ミシェル湾に面していて遥か

遠くには水平線の向こうにかすかにMSMが見えます。小さな入り江の漁港で港のまわりには牡蠣などの海の幸を食べさせてくれるレストランやガレット(やクレープ)の専門店が軒を並べています。ここの牡蠣は日本の牡蠣のように細長くて、開く側が幅広になっているのもありますが、貝殻が丸くて小さいけど味は凝縮したようなものがあり、これがとてもおいしかったです。普通のより多少値段ははります。しかし、海の幸の盛り合わせを1人分頼んでも山盛りの貝類、かに、えびでほかにスープ・ド・ポワソンや魚のグリルを頼んだら2人でおなかいっぱいになりました。カンカルには2泊しましたが、ホテルはロジ・ド・フランス加盟でレストランは2日目の晩にいきましたが、洗練されていてなかなかよかったです。

ブルターニュの2日目に地方としてはノルマンディーに入るモン・サン・ミシェル

(MSM)に行きました。ブルターニュの牧歌的(海近くにもかかわらず、牧場が多い)風景の中をMSMへ。高速で走っていると灰色の曇り空の中に、MSMの尖塔が見えてきたときには結構、感動ものでした。MSMの駐車場に車を停めていると、雲一つない真っ青な青空になり尖塔の金色の飾りが輝いています。駐車場のアスファルトに所々水溜りができていて、その水溜りに映りこんだ真っ青な空と黒いシルエットのMSMの対比は、逆さ富士ならぬ、逆さMSMでとても偉大でした。

MSMは中の商店街の真中を通る道と周りを囲む城壁の上を通る道とあります。

行きは城壁の上にある道を通り、遠く広がる干潟を眺めつつ聖堂の入り口へ。お昼は城下町内のオムレツのレストランへ。オムレツ自体はおいしくないわけじゃないですが、大きいと大味なので飽きそうです。しかしここも観光地値段で今回の食事関連では一番、量、質、味と値段のバランスが値段のほうが高い感じでした。ワインもよいワインでしたが、ハーフでフルボトルの値段くらいしたし。

14時半ごろMSMを出ましたが、このまま宿に戻るには早いので

カンカルに近い街へ行くことに。サン・マロが有名な街ですが、見るのに時間がかかりそうなので、それより西にある高級リゾート地のディナール(Dinard)へ。ここはタラソテラピーなどスパがあるようですが、11月はオフシーズン。人気のない海岸で犬の散歩をさせている人がちらほらいるだけでした。ここは小さな街でしたが、夏のシーズンは海の家のようなのがオープンしてにぎやかになりそうです。

午後に入り、晴れてきた空を夕日が傾く中、カンカルへ。カンカルの港で落日を見ていると東の水平線の彼方にあのMSMのシルエットが薄く小さく見えています。前日は雲がかかっていて見えませんでしたが、この日は晴れてきていたのと風が強く、塵がとばされたから見えたのかもしれません。ホテルの窓からも見えました。

旅行最終日は15時50分レンヌ空港発でCDG経由で日本に帰ります。

午前中、時間があるのでカンカルからレンヌの間の街、ディナン(Dinan)へ。ここは中世に建った木造の建物が町並みに残っていて、古き良き街です。石畳の街路も落ち着いていてパリとかフランスというよりイギリスの古い街のような感じです。しかもここはガレットの専門店が多く、最後の昼食としては大変おいしくて満足できるハムとチーズと卵のガレットときのこのオムレツをシードルでいただきました。

今回、初めてフランスの北西部に行ってみて、やはりフランス国内は

広いと感じたこと、人種も文化もどことなく南部とは違うと思いました。