初めてのパリ・美術館と庶民的なお食事の旅(森延恵さんの報告)

2000年9月下旬、両親と私の3人は初めてのパリに出かけました。

フランス語は全くできず、英語も片言の3人なので、旅行会社のフリープランを利用しました。ホテルはニッコー・ド・パリ。団体客ばかりで、いまいち風情はないですが、日本語の通じるホテルは精神的に楽でした。今回の旅はパリの大きな美術館を巡るのが目的でした。ルーブル、オルセー、国立現代美術館(ポンピドー)、そして、私達が食した超庶民的なお食事を紹介したいと思います。

《カルト・ミュゼについて》

どのガイドブックにも紹介されていますが、カルト・ミュゼとは美術館などのフリーパス券です。ノートルダムの塔、凱旋門の展望台などにも使えます。入口や窓口の列に並ばなくてよいので、便利です。ルーブルのピラミッドの入口では並ぶ必要があると思いますが(それでもチケット売り場で並ぶ手間が省けます)、他の美術館では、行列ができているのとは別の入口にトライしてみてください。あっさり入れることがあります。日本でも買うことができますが、現地よりも結構割高です。メトロの窓口で売ってたので、パリでも簡単に手に入るでしょう。

《美術館をまわるための準備》

大きな美術館は所蔵品が大変多いです。うわさには聞いていましたが、実際行ってみて納得でした。そこで私達は旅行に発つ前にあらかじめ見たい作品をピックアップして、それ以外は見ないようにしました。その際、参考にしたものは、講談社「週刊世界の美術館」です。主要な作品がカラーで出ており、美術館内の地図には、作品がどこにあるのかも書きこまれていて、素人美術ファンには最適の雑誌です。

《ルーブル美術館》

でかいです。迷います。インフォメーションには日本語ガイドがあるので、展示部屋の番号を確認しつつ、進むといいと思います。そして混雑!午前中に回りたいのであれば、開館30分前に行くことを勧めます。ちょうど30分前くらいから人が並び始め、開館時間には長蛇の列になっています。入ってから、またチケット売り場に並ばなければなりません。しかし、30分前に並んでいればスムーズに入れるし、館内も空いています。ドラクロワやダヴィットの大型絵画を誰にも邪魔されずに見られる!感動モノでした。(モナリザはいつでも人だかりです、はい)作品は貸し出されている場合もあって、お目当てのものが見つからないこともありますが、奥まった部屋にも有名な作品がひっそりと置いてあります。あきらめないで隅々までのぞいてみるといいと思います。ギフトショップのポストカードは1枚5F、10枚なら40Fと少しお得です。

《オルセー美術館》

カルト・ミュゼを持っていれば、セーヌ河に面したブックショップの入口から入るといいでしょう。オルセーはルーブルよりも並び方が直線的で分かりやすいです。一番上の階が印象派、一番下の階には印象派以前の絵画があります。上階への階段は結構きついので、エスカレーターを探したほうが無難です。天気がよければ、上階のテラスに出てみましょう。カフェの横をすり抜けて行くと、モンマルトルの丘が望めるテラスに出ます。カフェでゆっくりする時間のない人はテラスの出店でオレンジジュースをどうぞ。ギフトショップは外から入ります。工事中だったのでしょうか、品揃えがちょっと薄いような印象でした。

《ポンピドーセンター》

前2つの美術館と比べて開放的な雰囲気。子供の団体も多く、作品も笑っちゃうような面白いものが多いです。ここも開館時間にはかなりの列ができていましたが、広い展示スペースのおかげで、入ってしまえばゆっくり鑑賞できます。(カルト・ミュゼなら並んでない隣の入口から入れます)常設展は4階 ( 5階へは階段 ) 、特別展は6階までエスカレーターで上ります。4階は1960年以降のいわゆる現代美術の作品、5階は1960年までの絵画が中心です。

《超庶民的なお食事》

食べ物にお金をかける気があまりない私達は ( 全然グルメじゃないんです ) 、大変カジュアルな食生活を送りました。気軽な食事をしたいときの参考にしてください。

〈オペラ・ルーブル界隈〉

★カルーゼル広場のセルフサービスレストラン

ルーブル見学のあと昼食を取ったのが、ここ。ルーブルの地下の入口を出ると逆さピラミッドがあるカルーゼル広場に出ますが、そこのエスカレーターで2階に上ると、屋台村みたいなところに着きます。パスタ、キッシュ、ハンバーガーなどチープなお店が8軒くらいでしょうか。昼時は席が埋まるほどの大盛況。地元の人が多いようです。☆キッシュ、タルト、サラダのセット→54F(ボリューム!) パスタ2種類のプレート→35F、ピザ1/4→24F

* 国虎屋(うどんやさん)

お昼のキッシュで早くもぐっときてしまった私達は、日本食に手を出しました。ここは讃岐うどんのお店で、あっさりしてておいしい。MFピラミッド駅近くのサン・タンヌ通り(東京三菱銀行がある)は日本食のお店がズラリ。うどんやラーメンなどは、コースでなく一品ですませられるので、おなかが空いてないときなどに重宝します。日本食もあなどれません。

* てんぷらうどん→48F(エビのてんぷらが1つのってます)

* ロティスリーモンシーニLa Rotisserie Monsigny

ミシュラン星付きレストラン「ジャック・カーニャ」のセカンドメゾン。日本語メニューがあり、初心者には大変ありがたい。本当にカジュアルな雰囲気で、普段着でOK。ギャルソンもフレンドリーです。土曜日の夜はピアノの生演奏があります。お客さんは各国の観光客が多そう。満員にはなる様子はなかったですが、一応予約を入れておけば安心ですね。私はホテルのコンシェルジュに頼んで予約してもらいました。

* 前菜、メイン、デザートのコース→165F(安い!)ボリュームあります。味付けは,ちょっと大味かな? ( でも満足 )。ワイン1本頼んで1人あたり4000円くらいの予算でしょうか。* 1,Rue Monsigny, Paris2区 рO1 42 96 16 61 オペラ駅から歩けます。ブフ・パリジャン劇場の向かい側です。* 姉妹店あります。こちらはコース230F。日本語メニューもあるらしいです。

La Rotisserie d’en face(サンジェルマン界隈)

2, Rue   Christine,   Paris 6区 рO1 43 26 40 98

La Rotisserie d’Armaille(凱旋門付近)

6, Rue  d’ Armaille , Paris 7区 рO1 42 27 19 20

* アンジェリーナ(サロン・ド・テ)

実は本店ではなく、ギャルリーラファイエット4階(3e)の支店に行ってきまし

た。下着売り場の奥にあって、雰囲気はそんなによろしくない。でも買物の合間に名物モンブランを食べることができて、満足でした。モンブランは中のメレンゲが軽さを出していて、確かにおいしかったです。 モンブラン→37F アイスティー→32F

〈サンジェルマン・デ・プレ界隈〉

* レオン・ド・ブリュッセルLeon de Bruxelles(ムール貝専門チェーン店)

ムール貝専門のチェーンレストランで市内に13店舗ある。(シャンゼリゼ大通りにもありました。凱旋門に向かって左側。青い外観が目印)鉄鍋にどっさり入ったムール貝は見物。日本ではこんなに気軽に食べられない食材なので、おすすめです!ムール貝は臭みもなく、どんどん食べてしまいます。メニュー書きはムール貝の形をしててとってもキュート(写真入りで分かりやすい)。ノンストップ営業なので、夕方ふらっと入ることもできます。* ムール貝とポテトのセット(ベーシックなもの)→59F(かなりお値打ち)グラスビールがついたセット→69F* サンジェルマン大通り沿いにある。MCサンジェルマン・デ・プレ駅からオデオン駅に向かう途中の右側。ここは緑の外観が目印。

* ミラマ(中華料理)

どのガイドブックにも載っている有名どころ。うわさのエビ入りワンタンメンは確かに美味でした。きっと、コースの最後に食べることを想定しているのでしょう、量は多くありません。1品で終わらせるとあとでおなかが空いてしまうかも。日本の「ラーメン」とは違ってもっと繊細な感じです。また食べに行きたいと思わせる味です。* エビ入りワンタンメン→42F* 最寄はMIクリュニュー・ラ・ソルボンヌ駅。サンジェルマン大通りから、サンジャック St.Jacques 通りをセーヌ河方面に曲がると右側にあります。 

* カフェ・ド・フロールFlore

これまた、どのガイドブックにも載っている有名どころ。サンジェルマン・デ・プレ駅前の交差点に、レ・ドゥ・マゴと並んでいる。レ・ドゥ・マゴに入ろうとしたら、テラス席に日本人観光客が並んでいて、何となく気恥ずかしくなってフロールにしました。フロールは2階席がおすすめです。2階席のお客さんは本を読んだり、書き物をしたりと、いかにも「文学カフェ」という雰囲気です。* カフェクレーム→28F 紅茶→32F カフェはカップ2杯分、紅茶にいたっては3杯分以上ありました。

〈マレ界隈〉

* ラス・デュ・ファラフェル(ユダヤ料理のテイクアウト)ピタパンに、にんじん、きゅうりなどのみじん切りを詰め、ミートボールみたいなエジプト豆のコロッケと揚げナスをのせてある、ファラフェルというユダヤ料理。独特な面白い味がする。一度お試しになることを勧めます。量は多いです!女性だと1個食べるのもきついかも。「行列のできる店」ですが、私が行ったときはお姉さんが1人で店を切り盛りしてて、ただ回転が悪かっただけのような…。でも待ってる間にコロッケを揚げる様子などが観察できて、退屈しませんよ。店内のテーブルでは食べられないので、近くの公園に行きましょう。* ファラフェル・スペシャル→25F 他にお肉がのるメニューもありますが、少々くどいです。* 最寄はM@サン・ポール駅。フランブルジョワ通りのセーヌ河よりの裏手、ロジェRosiers通り沿いにある。看板はないが、お昼時は人がいるのですぐ分かる。ポンピドーセンターからも歩けます。

《パリを旅して思ったこと》

メトロのラッシュは貴重な体験でした。スリに気をつけなければならなかったけど、みんな無言で目を合わさないようにしている様子は、東京の地下鉄と同じ光景で、なんだか面白かったです。しかもパリジャンは戸口付近の人が一旦ホームに降りて、後ろの人を通すということをしない。私は一度後ろの人のために一旦ホームに降りたら、再び乗れなくなりそうになりました ( 無理に乗ったらかばんをドアに挟まれた ) 。乗降時間が短いんですよね。人がいてもいなくてもお構いなしに閉めちゃうし。ドアが手動ということに象徴されるように、フランス人は合理的だと思いました。あとは、パリジェンヌのきれいなことが印象的でした。とってもおしゃれで、しかも実用的なスタイル。靴はワンストラップのバレエシューズか、スニーカーで、かばんもシンプルな皮のものか、ななめ掛けできるリュックが多いです。日本の女の子は個性がないと言われて悔しいけど、うなずけるところがあります。パリでヴィトンのバックを見かけると、持ち主は99%日本人女性です。有名ブランドの袋を抱えているのもそう。ブランド品を買っている人たちだって、パリでの買物のために一生懸命お金をためてきたんだろうけど、買物リストをのぞきながら、走りまわってる姿は、あまりかっこいいものではないですね。小森谷さんがあまりパリが好きではないというのは、こんなこととも関係しているのでしょうか?でも、私は今回の旅行でパリが大好きになりました。1回行ったくらいではまだ本当のパリの魅力はわかりませんが、繰り返し行ってみたい街であることには変わりません。パリ行き初心者の方の御参考になれば幸いです。

以上