レンタカーで巡るオーベルニュ地方(スワンさんの報告)

 今回の旅は、何を目的にと考えるとき、やはり日本で言うお寺とお城巡りに当たる、教会とシャトーかなと思う。しかしそれは形に見えるものであり、見えない部分として人々とのチョットした触れ合いで感じる親切。村の景観を大事にしている村人の誇りを感じることなども大事な要素です。こうした体験を通じて自分たち日本人を客観的に見ることが出来ると思う。日本人の多くの人が先進国仲間と思っていても、自分を含め日本はやはりアジア的だと痛感しました。

 リオンで1泊した後、西に走りクレルモンフェランのミナミにあるフランスの美しい村に選ばれたイゾワールに4日宿泊して近辺を廻りました。いつものことで運転で疲れたら公園やカフェでノンビリ時間をつぶしたりしました。その後ルピュイアンヴァレーで2泊して、最後はリオンで2泊しました。

 効率だけで考えればまったく悪いし、何でも見てやろうなどとは思わない、のが個人ドライブ旅行の良いところです。無理は事故の基だし、忙しくて何のための休養か分からなくなってしまいます。名所旧跡を全部見ようなどと欲張ると、結局雰囲気を楽しむ余裕が無くなります。 

今回も迷って入った山道の村でカフェに入ったら、村人が朝からワインを飲んで騒いでしました。しかも俺が俺がで、がなり立てるような話し方でした。昔の村にタイムスリップしたような錯覚を受けました。その村で開かれていたセルティックの展示会にも触れました。その後少し走った山間のレストランで食事を取っていたら、有志の楽団が演奏を始めました。初めて目にする昔からの楽器も使っており、その地方独特の音楽を演奏してくれました。こんな事があるから、間違いも捨てがたいのです。

今回のホテルはロジドフランスを使いました。三椅子以外は余りお薦めできません。オーベルニュは田舎ですから、ホテルのフロントでさえ英語を話す人が少ないです。簡単なフランス語は覚えていないとトンチンカンになります。マァそれも旅の思い出でしょうが!道を聞いたり、商店で買い物をするのも、レストランでも兎に角英語は誰も話しません。これは手強いことですから注意してください。プロヴァンスでは結構英語を理解する方が田舎でもいた方でした。 

レンタカーについては安全運転が基本です。フランスはフロアシフトですから慣れていない方は止めた方が良いかも知れません。私も久しぶりだったので最初は随分エンストしました。事故は多いと思います。大して移動しませんでしたが、高速道路での事故を4回目にしました。事故は起きるときは起きますから覚悟さえ出来ていれば良いのです。もし事故ったらカード会社の駐在員が頼りになります。大使館とか領事館にすがっても政治家以外はケンモホロロです。駐在員はマメに対応してくれます。おまけにフランスの場合は年中無休で連絡が付くようです。以前車が田舎で故障したとき、修理工場に着いたら間に入って代わりに説明すると言ってくれました。それが気の動転していた私を冷静にしてくれて、結果はジェスチャーと数少ないフランス語彙で何とか通じました。

 見学についてですが、教会とレストラン以外は12:00〜14:00ないし14:30の間、昼休みは厳格に守られている地方です。当方もランチはムニュを頼めば丁度上手い具合に2時間半かかります。それと城など個人所有の公開されているものは、曜日による休みが多い。土曜日曜がその時だけ休みか開いている。夏休みの季節だけしか開けない等々ありました。折角行っても閉まっている例が大分ありました。ミシュランのグリーンガイドブックだけが頼りの旅ですから、そんなところまで調べてないって言うの。

 さて今回の旅ですがリヨンのサンティグジュペリー空港を降りたのが午後9:00頃でした。まだ明るいので安心してレンタカーで出発したのですが、ホテルに行く高速道路の出口が分からない!表示の仕方がまったく違う。適当なところで出たら何処にいるかも分からない。その内暗くなってくるし不安が募って来た。若者が集まっていたので場所を聞いてみることにした。なんと誰も英語を話さない。知っている単語と地図で説明するとオートバイの若者が先導してくれると言ってるみたいだった。ユックリ走るようにお願いして、結果無事着きました。さい先が不安視されました。 

翌日、道路標識の表示の認識不足とナビゲーターの方向感覚の悪さで、目的の主要道に出るまでリヨンの街を2時間近くうろつきました。しかしこの時の無駄がナビの訓練になり、私にもナビへの指示の方法が分かりました。この無駄が標識の見方、道路の探し方を習得する機会でした。と落ち着いて書きましたが、実際はお見せできない修羅場でした。

 リヨンの街を脱出する道は田舎のカフェで一服して教えて貰いました。それは細い山間の村をたどる道でした。そこは路傍一杯に花が咲き乱れ、遠くに小さな村々を見渡せるスカイラインそのものでした。苦労したご褒美を貰った感じでした。

 途中のサービスエリアで食べたソーセージは強烈な腐った臭いのする吐き気を催すような物でした。しかし詰められている肉は綺麗な色をしていましたから痛んでいなく大丈夫と食べました。結構大きくて半分しか食べられませんでした。後にフランス料理のシェフに聞くと、血とか内蔵を入れて、わざと強い臭いにとのことでした。随分グルメですね、と言われましたが、また今度と言われてももう結構です。後で思えば強烈な臭いの食べ物は何処の国でもあるようで、万国共通かなとも思いました。 

イゾワールの街は、フランスの美しい村に選ばれているのと、有名なロマネスク教会があるので泊まりを決めました。早速、村探検に出かけました。

 旧の村自体は5分も歩けば村はずれに来てしまいます。

公園から眺めた聖オストルモアンヌ教会です。

内部の柱も派手な感じですが柱の彩色が珍しい物です。先日テレビを見ていたら、イタリアの教会でこんな感じの装飾が見られました。

ロダンのピエタを思い出しました。

 次の日はルピュイアンドームからの景観を見に行きました。何処か大船山の感じのする風景です。

花が乱れ咲き、日射しは強いのですが気持ちの良い風が吹いていました。咲く花もイブキトラノオに似ていました。この山には古い教会跡がありました。高い山は信仰の対象というのは古今東西変わらないことだと痛感しました。

 教会ばかりでは嫌だという要望に従い近くの貴石を産出して儲けたというシャトーに出かけました。ここでは例の12:00〜14:00まではランチタイムが守られていると同時に日曜しか内部に入れないと言われました。それでも塔などを見て回りましたが何語が良いのか聞くので日本語というと、初めて日本人が来たというのにそれはないと言われた。

その後ヴォルヴィックの村で腹痛のためカフェに入りノンビリ。驚いたのは、カフェでコーヒーを飲むために平気で狭い道に駐車しちゃう。大きな車は苦労して通っていました。

 リオムの街を訪れました。教会などの色が黒いのはこの地方独特の火山岩を使っているからだそうです。

聖ノートルダム教会。後で知りましたが入口の聖母子像が貴重な像のコピーだそうです。

この近くにある写真のタワーには登れるのですが、最上部は先の教会と同じような造りです。柱の基礎に立ち持たれたらなんと、揺れ動いているのです。電柱のてっぺんに登ると揺れているのと同じでした。

車のナビと旅の疲れが出てきたのか、ディナーを食べに行ったが気分が優れず部屋に戻り、スーパーで買った簡単な食べ物で食事を済ませた。

翌日は朝から雨が降っていた。

山の日でなくて良かった。

オーシバルのノートルダム教会を見に行く。

村の入口から10軒も無いくらいで中心の教会に着く、本当に小さな村である。

昔は巡礼路の宿場として、現在は観光収入として成り立っているのだなと感じた。

観音様のようなマリア像である。

この後、近くにシャトーがあるというので出かける。

シャトーコルデには全部大理石で出来た祭壇があった。井戸があり、底近くの横穴はオーシバルの村まで通じていたらしい。何処のシャトーも同じ事だが、邸内は写真が撮れないので、せめて門からの眺めでこのお屋敷のスケールを感じていただきたい。

聖ネクタールを訪れる予定で山道を走っていると、突然目の前が開け城が見えた。地図で調べるとムロル城のようだった。早速行ってみることにした。

 

スゴイ威容です。城門も狭く戦争用だと感じさせます。城の最上段に立つと、眼下にはムロル村が見えます。何処か整然とした静かな村でした。

聖ネクタール教会は改修工事で写真が撮れませんでした。

下の地図は今日一日廻った部分をスキャンしました。右すぐ上がクレルモンフェランです。

ここまでで半ばの4日が過ぎました。明日は移動を止めて村をブラブラするつもりでした。前半の部を送りましたが、後半はその内また送ります。