もりたのりこさんの報告(ナンシー、リヨン、コートダジュールの旅)

この夏(99年8月 )、フランスに行ってまいりました。ナンシー、リヨン、コートダジュールを列車で巡り、その後イタリアに抜けました。

ナンシー 〜世紀末アールヌーボー〜

とにかくガレに傾倒している私にとっては、憧れの地でした。ナンシーは今年アール・ヌーボー誕生100年に当たり、美術館では特別展が行われ、街には代表的建造物に説明のカードが貼られ、また道端は当時ガレたちが愛した花々で飾られていました。

夢にまで見た?ナンシー派美術館にたどり着いた時、ちょうどあたりは真っ暗になり・・・そう、皆既日食だったのです。“Woo Laa!!”を連発する幾人ものフランス人とともに、この世紀の大イベントを楽しみました。(因みにフランスでは”Soleil Noir“と言うそうですね。目を傷めた人が通院するシーンが毎日TVで報道されました。)あいにく美術館は日食のため閉館。明日出直すことにし、かわりにガレたちが世界中から収集した植物があるナンシーの植物公園にいきました。アール・ヌーボーのデザインに採り入れられた植物には、その旨が表示されていて、彼らの発想の軌跡をたどる思いでした。

翌日いよいよナンシー派美術館を訪れ、ガレたちの作品と謎めいた魅惑の庭園を満喫し、カタログもどっさり買い込みました。ナンシー市立美術館も圧巻でした。

リヨン 〜美食と絹の街〜

ローヌ川とソーヌ川の流れるリヨンの町は、格式ある伝統都市と活気ある産業都市としての顔を同時に併せ持つ、美しい街です。ケーブルカーに乗って旧市街のフルヴィエール教会にたどり着くと、そこから美しいリヨンの景色を一望することができます。グルメの街として名高いことはもちろん、リヨンは絹織物の街としても有名です。染織に以前から興味を持っている私は、リヨン織物美術館と装飾美術館、カニュ博物館など、あらゆる場所を見て回りました。絹織物の実演も見ましたが、仏語が苦手な私にはほとんど理解できず。しかしパリモード界を支えるリヨンテキスタイルの世界にほんの少しでも触れることが出来、心踊る思いでした。またコンテポラリーミュージアムでは各国の若手アーティストの意欲的な現代美術が展示されており、伝統だけでなく現代性も追求する街リヨンの懐の深さを感じました。

コートダジュール 〜海と太陽と色彩と〜

まずアンティーブへ。数時間の列車の移動も、見慣れぬ景色の展開と車中の人間模様を楽しんでいればあっという間。コートダジュールの海はまるで映画のごとく青くキラキラと輝いていました。しかし列車を降りホテルに向かうまでに、既に暑さでバテバテ。それに観光シーズンなので、ホテルの目の前の広場で夜3時ごろまで若者がライブをやってくれるから、もう死にそうでした。それでも頑張って、陶芸の村ビオット、ニースのマチス美術館、アンティーブのピカソ美術館ヘ行きました。雨の降り続くナンシーとは好対照の、光溢れるこの地で、ピカソやマチスなどの色鮮やかな作品が生まれるのは、至極当然のことだと感じました。また香水の町グラースも訪れ、世界の女性達を魅了してきた香りの歴史と生産現場を垣間見ることができました。

最後にイタリアとの国境の町マントンでジャン・コクトー美術館を訪ねようとしましたが、それどころかその日宿が全くとれないことに気付き、芸術鑑賞など優雅なことを言っていられなくなりました。泣く泣く国境を越えてイタリアのジャノバまで行ってようやく空き部屋を見つけ、私の8日間のフランス旅行は終わりました。

以上簡単にお伝えしましたが、旅行前の情報収集などのために詳細をご希望の方がいらっしゃいましたら、追記いたします。(E-mail :VYQ02170@nifty.ne.jpまでご連絡下さっても結構です。もちろん御感想などもWelcomeです。)

…もりたのりこ 広島在住

追記

もりたさんから「私は写真が好きで、東京にいた頃はずいぶん撮り歩いていたのですが、3年前広島に戻ってからはさっぱりでした。この度、久しぶりに重いカメラを持って出かけましたが、荷物の重さと夏の暑さでヘトヘトになってしまいました。」ーーーーというお便りをいただきました。もりたさんから送られてきた写真の原画はパソコンの画面に入りきれないくらいの大画面、大容量の繊細で美しい画面なのですが、HPの容量に合わせて、縮小、減色加工している関係で、画像がかなり劣化してしまいました。おわび申し上げます。小森谷