レバンLES BAINS とは、温泉のこと。今年はトノンレバン、エビアンレバン、そしてエクスレバンの順に廻ってきました。いずれもスイスに近いサボア地方にあります。

                                

7月19日成田11:40発日本航空405便

久しぶりに日本航空機に乗りました。今年はなぜかエールフランスよりも日航の方が安かったからです。日航では落語のテープを聴くことが出来るのがありがたい。

エコノミークラスだからしょうがないけれど、普段、誰も食べていないような、堅くて乳牛臭いステーキが出ました。食事費用を削るしか運賃を安くするてだてがないのでしょうから、我慢我慢。それにしても、私達は禁煙席に座ったのですが、行きも帰りも隣の人達が喫煙しているのには、参りました。とくに子供にとっては苦痛のようでした。ルールを守らない人がいても、その人が客なるが故に、乗務員が遠慮して注意できないというのが現代日本の現状なのかもしれません。

というわけで、11時間後シャルルドゴール空港着。タクシーでパリのホテルまで200フラン(約5000円)。早速、駅に行って明日のTGVの指定席をとる。インターネットの夜更かしで鍛えてある私は元気ですが、他の家族は、家を早朝出てきて体調不良。近くの中華料理店で私はやきそば、家族はスープ一杯だけで夕食を終わり、就寝。今年のホテルは HACHETTE のガイドブックから探し出して初めて宿泊した、hotel Zephyr (ゼフィール)で一泊740フラン、朝食65フランと少々高いのですが、パリ・リヨン駅に近く、分かりやすい道筋で、設備、地の利を考えると値段相応です。結構日本人の宿泊客もいるし、ほかにはイギリス人が多いようでした。応対は家庭的で、鍵は磁気式です。

THONON LES BAINS トノン・レバン
朝ゆっくり起床したので、飛行機の疲れはとれました。パリ・リヨン駅まで歩いて5分。10時18分発ジュネーブ行きTGVに乗る。列車は広大な農業地帯を走り抜け、山岳地帯に入っていきます。右手に川がせき止められた人造湖が見えてきました。その上流にあるBELLEGARDE という駅で、乗り換えのため下車。山岳地のはずなのに、ホームは強烈な熱風と日差しとでとても暑い。駅舎でこの町の絵はがきを買いましたが、この町はベルガルデという名前からして、景色の美しいところのようです。

30分後にEVIAN 行きの列車に乗りました。座席の尻が汗ばんで来たので、立ち上がってみるのですが、開いている窓からは熱風が吹き込み少しも涼しくありません。トンネルを抜けてもまだ暑い。そのまま立っていると、私の前の席の地元の人らしい紳士もたまりかねて立ち上がりました・・・かなと思ったら、深い谷底を白い濁流が流れ、絶壁の向こうには、岩をくりぬいた古い僧院が車窓から見え、それは一瞬の間の絶景でした。彼はそれを見とどけるとすぐに座てしまい、その後は単調な森林が続くだけです。列車はどんどん山地を登って行きますが一向に涼しくなりません。-----山をかけ登った風が山を越えて反対側に吹き降りるときには、そこの空気を圧縮するため熱を生じ、その地の気温を上昇させる、これをフエーン現象という。-----そのまっただ中にいるのだからしょうがないのです。山に行くのだから今年の旅行は涼しいだろう、と考えていた私が甘かったのです。

14時56分TONON LES BAINS 着。あいにく、ホテルは駅の反対側。町並みを右に少し回り込みますと、今度は長い歩道橋。暑い昼下がりに、この長い階段を荷物を持って登るには覚悟が要りますが、この関門を通り抜ければ虹の世界が待っているのです。スイス様式の花で飾られた美しいhotel L’ARC EN CIEL に汗をかきながら 到着。部屋の水道水がおいしい。ホテルの中庭にはプールがあり、暑さしのぎに最適です。
山岳がレマン湖をすり鉢状に取り巻いています。山はそのまま湖に接しているので、沿岸の町は、どうしても坂の多い市街になってしまうのです。ここ、トノンもその一画にあり、平坦な市街を湖の方に進んでいくと見晴らしの良い展望台に出ますが、そこからは急勾配で湖の船着き場へと下っています。湖まで行くには、歩道もありますが、ケーブルカーを利用した方が楽に昇降出来ます。アルプスの氷が溶けて地下に潜り、この地トノン、そして隣のエビアンに湧き出し、それを瓶詰めしたものがミネラルウオーターなのです。トノン印のミネラルウオーターは規模が小さくて地元で販売しているだけですが、世界のエビアンの弟分というわけです。
広場の角で、クレデイ・リヨネ銀行を見つけたので、両替を申し込みましたら、向こう側にソシエテ・ジェネラル銀行があるから、そちらに行って下さい、と断られてしまいました。以前にこんなことはありませんでした。今年は円安傾向が加速しているので、円が嫌われているみたいです。ソシエテ・ジェネラル銀行は、フランスのたいていの町に支店を持つ大手銀行ですが、日本の銀行とちがって、小さな看板しか出していないので、特に木立の陰などに遮られると、見つけにくい(グルノーブルでもそうでした)。両替完了。
トノン・レバンのレバンとは温泉のこと。駅から左手に15分位歩くと、町の中のTherumes (温泉療養所)に着きます。窓から妊産婦の水泳教室が見えましたが、案内を見ると、医師の診断書を添えて申し込むこと、となっており、突然訪れても温泉に入ることは出来ませんでした。
トノン市街は歩いて回れるくらい小じんまりしています。下におりて湖畔の公園で涼んでいると、近くに人々が立ち寄っている水道栓がありました。その水は、冷たくておいしく、まさにミネラルウオーターそのものでした。もちろん空き瓶一杯、その水を詰めました。湖畔の公園のところに数件あるレストランのなかで,おすすめはレストランBeau Rivageです。公園の大きなプラタナスの緑の木陰のテーブルで、地元のハムが入った、大盛りのサラダ。そしてメインの皿は、カリッと上がった湖の魚の上身で、おいしい白ソースと抜群に合う(表面は白身で美しい、しかし裏側は皮が付いていて黒いから、裏返ししないで食べること)。この店のシェフの腕はたいしたものだ。地元名産シャルドネの白ワイン。水は、だまっていてもおいしい水道水の入ったキャラフをどんとテーブルに置いていきます。美しいレマン湖の落日を見ながらの夕食。それでいて、市街のレストランより、ずっと安い。子供は、逃げたりしないすずめが珍しくて、パンくずを投げてやっています。

オレンジ色の落日がレマン湖の波にきらきら輝いています。そして、かすかに楽器の音や歌声まで聞こえてきて、まるで夢のなかのように心地よい気分。食事の後、音のする方に歩いていくと、落日のかなたに、野外ステージが浮かび上がってきました。そこでは、赤い服を着たかわいらしい女の子の一団が、英語の歌や、弦楽の演奏を披露しています。イギリスかアメリカの中学生のようでした。夕日が沈む頃、演奏も終わりました。
もう一つ、レマン湖の夕日を見ながら手軽な料金で入れるレストランは、市街地から続く展望台の、右手(北側)端にある Le Scanpi です。今年は円安で財布の中もスカンピンだ、などといいながら、黄色いオーニングのこのレストランに入りました。魚の漫画調イラストが画かれたユーモラスなメニュー表がはってあります。一皿目、私はガスパッチョ、妻は魚スープ、途中で交換して両方味わう。さすが、魚のイラストに偽りはなく、どちらも絶品。今まで食べた中でもトップクラス。満足して、レマン湖と公園の噴水をながめていると、別のボーイさんがテーブルに来て、デザートは何にしましょうと言うのです。まだ二皿目を頂いて居ませんよ、というと、あわてて引っ込んで、今度は始めに注文を取りに来たマダムが出てきました。妻は湖の魚料理、私は肉にしようと思い、トノン・ソーセージというのを注文すると、マダムがけげんそうな顔をして、これは、地元の者が食べる物ですがそれでいいんですか、という。そういわれると、好奇心で、なおさら食べてみたくなり、ソセージをお願いしました。太さ5cm,長さ18cm 位の大きなソーセージが皿の真ん中に一本載って出てきました。

うまそうです。

さて、中身は何かなと、ナイフを入れると、以外にすぱっと切れて、中をみると、きしめんの様に白くて薄っぺらな幅1cm 位の長い物がぎっしりつまっていて、他には何も入っていません。どうやら、中身は羊の腸らしい。腸の腸詰めなんて、こんな物初めてみました。皮をむくと、また皮がでてきて、はてな?なんて、これじゃ、まるで、お猿にらっきょうだ。味はどうかですって?おいしいわけがありません。このとき、やっとマダムのけげんそうな表情の謎が解けました。でも、それも、おいしいデザートで帳消しです。

旅をしていると、生野菜不足になるので、私達はスーパーなどで刻んだ生野菜のパックを買ってきて、ホテルで機内食のときため込んだ塩を振りかけて食べるようにしています。今回もそうしようと、パックを開けると、中にパセリバターが入っていました。私は、当地はこれを付けて食べるのか、なんていいなががら、刻み野菜を食べ、娘に体にいいからこれを食べなさい、といっても、いつもは、喜んでたべるのに、この野菜はネギの刻んだ物が入っていてまずいからいやだ、と言って食べない。とうとう、ほとんど全部を自分一人で、バターをからめて食べてしまいました。空パックをくずかごに捨てようとして、何気なく見ると、フライパンの絵が見えました、注意書きを読んでみると、フライパンで炒めてお召し上がり下さいと書いて有ります。それを、生で食べてしまった私は、ドジ。変な物を、二度にわたって食べてしまいましたが、体調は至って元気です。

MORZINE モルジーヌ

トノンも三日目。相変わらず暑い。山に行って涼んでこようと思い、ホテルの人に教えていただいたのが、Morzine です。

トノンの駅近くのバス停11時出発の定期バスに乗ると、バスは、たちまち山に分け入り約1時間でモルジーヌに到着しました。スイス調の美しい小さなホテルが沢山あり、プールを備えていて夏の対策も万全ですが、どちらかというと、冬のスキーシーズンににぎわいそうな街並みです。

それほど涼しくないので、もっと高いところに行けば、涼しいだろうと考え、ロープウエイでPLENEY 山まで昇ることにしました。空(から)のロープウエイのゴンドラが走っているだけで、切符売り場が閉っています。仕方がないので、その場で待つこと30分。ここはフランスです、ゆっくり昼食をとった係員が、ようやく切符売り場に戻ってきました。四人乗りの透明なゴンドラはぐんぐん山を昇っていきます、街があんなに遠くなりました。もうすぐ上の駅に着くはずです。そのとき、ぴたっとロープウエイが止まってしまいました。下を見ると、結構空中高く宙吊りで、飛び降りるには地面が遠すぎます。持ち物は、水とおかきと、おにぎりだけ。助けはいつ来るのだろうか、こんなことなら乗るんじゃなかった、などという考えが、頭をよぎります。4-5分後に、何事もなかったようにロープウエイは動きだし、無事上の駅に到着。

山の上は、さすがに涼しく、さわやか。緑一面のクローバーに、黄色の高山植物が鮮やかなコントラストで咲き乱れています。ピンク、紫の花も点在しています。絶景、360度のパノラマ。この山よりもっと高い山々が遠くに連なっています。フランスアルプスです。南にモンブランが見えるはずですが、雲にかくれています。木陰でおにぎりを食べていると、近くの山道をマウンテンバイクの若者達が、次々と走り抜けていきます。、ゴンドラは小さくて自転車が入らないのに、どうやってこんな高いところまで自転車で来たのでしょう。帰りに、その秘密がわかりました。自転車を外に引っかけたゴンドラが、昇ってきました。ちゃんとゴンドラの外側に固定装置が付いているのです。切符売り場で確かめると、4往復分の料金で一日中乗り放題のパスがあるのです。彼らはそれを利用して、一日中、自転車によるダウンヒルを楽しんでいるわけです。フランスの若者はいいなあと思いました。

EVIAN-LES-BAINS エビアン・レ・バン

トノンから列車で9分乗ればもうエビアンです。レ・バンというとおり、トノンと同様に、Therumes (温泉療養所)があります。駅を出て、右手の道路を歩いていくと、徐々に道は下りになり、15分程で湖畔に出られます。湖畔に沿って大きい自動車道路が走っていて、それに沿って先に進むと街の中心部になり、そこにインフォーメーションがあります。地図をもらい、エビアンの案内所をめざします。

エビアンの案内所はインフォーメーションから、数十メートル街の方に坂道を登って、横に走る繁華街を左手に進んでいくと、アーチ状のガラス窓を持った歴史の有りそうな立派な建物(上の写真)の中にあり、2人の受け付け嬢がいます。エビアンの工場見学をたずねたら、毎週月、水曜日、予約制。最低5人以上のグループで、との返事でした。世界中から、見学に訪れるので、いつも非常に混むそうです。そういうわけで、私達は、工場見学をあきらめました。案内所では、工場の模様をソニーの美しいビデオで紹介しているので、工程はよくわかります。アルプスから解け出した水が、地下に潜りこのエビアンの山中に湧き出している。それの水質をチェックした後、瓶詰めにして、世界各国に出荷している。展示品を見たり、おみやげ品を買ったりしました。エビアングッズのなかでは、きれいなピンク色の、エビアンボトルケースがおすすめです。ベルトにつるすためのフックが付いているので、エビアンを腰に下げて歩くことが出来て便利です。エビアンのネーム入り帽子は子供のお気に入りです。

外に出て昼時の繁華街を歩いていくと、直径1メートル位の大鍋でパエリヤが展示されていて、思わずそのレストランに入りました。味は普通でした。帰りにレストランの手洗いの水道水を、エビアンの空き瓶に詰めてきましたが、予想通り、冷たくてとてもおいしい水でした。

湖畔に出て、ミニトラン(列車状の連結ミニ自動車)で周辺の景色を楽しみ、その後、暑さしのぎに、湖畔のプールに行きました。料金は家族3人で1000円足らず。ロッカー設備は清潔で最高。大きな美しいプール、プールの隣は、レマン湖そのものの遊泳場があり、水はそれほど冷たくなく、小魚が見えます。周りは芝生とクローバーが植えて有り、裸足で歩いても少しも痛くなく、もちろん、ごみなどは皆無。なんと云っても、日本のような音楽騒音がないのが良い。泳ぎ疲れたら、タオルをしいて寝ころぶ。澄み切った青い空に、白い雲が浮かんで、豊かな時間が過ぎていきます。

たっぷり涼んで、夕方、エビアンからトノンへ船で帰る。料金は鉄道の5倍くらいしますが、湖上からの眺めは格別です。青い水辺の向こうには陸からは見えなかった、アルプスの白い雄姿が連山の彼方にに輝いています。40分の航海でトノン着。

AIX-LES-BAINS エクスレバン

また、あの独特な形をした、猫の歯岩がBourget ブルジェ湖の向こうに見えてきました(左のスケッチ)。エクスレバンに着いたのです。

私が最初にフランスに行ったとき、シャモニーからニース行きの夜行列車に乗り、夢うつつのころ列車が停まり、駅員が大声でエクスレバンと言った声にびっくりして目を覚ますと窓の外は真っ暗、以来この名前が頭に残りました。

昨年、ついにこの町を訪れ、hotel Agora に宿泊(温水プール有り)。美しく、落ちついたこの温泉町がとても気に入りました。この町にも国立Therumes (温泉療養所)があり、治療に来る老人を多く見かけます。横断歩道も老人向けに完備しています。

去年、一度立ち寄って食事したhotel Palais des Fleursのレストランの羊肉の煮込み料理が、あまりにおいしかったので、忘れられず、今年は、2日間、3食付きで宿泊することにしました。hotel Palais des Fleursは町の中心部にある美しい緑の一番大きな公園(右のスケッチ)のすぐそばですから、駅から簡単に歩いていくことが出来ます。しかも公園をはさんでメインストリートとは反対側ですからとても静かです。受け付けで、どうして、ここがわかったのか?ときかれましたので、ゴーミョーから調べました、と答えました。なにしろ、ゴーミョーのにわとりマークが貼って有るレストランでこれから食事するのですから、わくわくしてしまいます。ここは知る人ぞ知る安くておいしい宿ですので申し込みが多く、部屋数に限りがありますので、予約の時点で500フランまたはVISA カードの番号を届けなければなりません。

お客の大半は、退職したような老人達で、食事を楽しみ、温泉治療、散歩などをしながら、長期滞在しているようです。私達は午前7時半朝食、その後、公園でのんびりスケッチ(日本からスケッチブックと絵の具を持参)、散歩、12時半昼食、昼寝、プール、7時半夕食。というゆったりしたスケジュールを組みました。思った通り、食事は味、サービス、栄養ともに満点。毎回違った食材であきが来なく、しかもとびきりおいしい。兎肉の煮込みも最高。アーテイショーもでるし、魚のマリネや、たっぷりの野菜。デザートのアイスクリームは、粒チョコ、本物のバニラビーンズが、たっぷり入っている本格派。翌日は、ブルジェ湖に行き、私はスケッチ、子供は淡水魚水族館を見学、ミジンコを顕微鏡で見せてもらったと大喜び。サッカーの日本チームが合宿した町なので、日の丸が、今でもあちこちに掲揚されていて、人々は日本人に親しみを感じているようです。この町の最高級ホテルであるPark Hotel du Casino の玄関には、歓迎日本サッカーチームというステッッカーが今でもそのまま付いていました。

午後、郊外にあるもう一つのTherumes (温泉療養所)を見てきました。併設されているプールは誰でも入れるのでにぎわっていますが、温泉はやはり医師の診断書がなければ入れません。温泉の建物からは硫黄のにおいがしました。隣は広い競馬場です。帰ってホテルのプールで泳ぐ。

ホテルでは、食事のテーブルが決まっています。最初にボーイさんが、プールサイドの席にしますか?と聞いてきたので、喜んでその席に決めてもらいました。プールサイドの壁は石組みで、ホテルの名にふさわしく、きれいな花が咲き乱れています。最高の席のはずですが、そのうち頭が暑くなってきました。屋根のオーニングを通して強い日差しがふりそそいでくるので、昼食時は暑すぎます。翌日は、頭痛がするので席を室内に変えて下さいとボーイさんに頼みましたが、あいにく満席でだめですといわれ、我慢することにしました。そのうちボーイさんが、別の席をご用意できましたと私達を案内してくれました。そこは、食堂二階にある特別席。調度品も別挌で、エアコンまで付いています。VIP用なのでしょうか。一介の泊まり客ですのに、料理の皿が変わる度にわざわざボーイさんが二階まで上がって来て下さるので、申し訳ないような気持ちでした。

宿の若主人に私のインターネットのアドレスを渡すと、早速見てくれました。日本語のページが多いし、エクスレバンが載っていないよ、と言われましたので、帰国したら書きますから、また見て下さいと答えました。

このホテルでコーヒー(別料金)を頼むと、72%カカオマスという超高級板チョコが付いてきます。街でチョコレート店を見て廻りました。グランドホテルの中にある店はリヨンのコンクールで優勝した腕前なのですが、純度の高いチョコレートは溶けやすいから砂糖でくるんだ白い物にしたらいかがですと云い、今年から日本人の店員を雇って、いかにも日本人客を目標にしているようで気に入りません。私のおすすめは、別の通り、つまりこの町一番の繁華街の入り口に近い、チーズ専門店の隣にある、La Royale Chocolatier というチョコレート店です。ここの、その名もAIX les bains という薄い板チョコレートは、72%カカオを使っているので最高の味です。値段も1000円くらいからの詰め合わせがあり、良心的です。お店のマダムは親切な人で、冷蔵庫は有りますか?と聞くので、有りませんと答えると、純度が高いので、溶けるといけないからといって、奥に引き返し新聞紙を持ってくると、丁寧に幾重にも包装して下さいました。そして、これを旅行鞄の中心部に入れておけば大丈夫ですと教えて下さいました。その上、包装を待っている間に、私たち3人に各自好きなチョコレートを一個ずつ陳列棚からとっていいですよ、と高級チョコレートを下さいました。マダム本当にありがとうございます。おかげで、帰国後、現地と同じ状態のおいしいチョコレートを頂くことが出来ました。

というわけで、今年のエクスレバンでは、計画通り、夢のようなゆったりした滞在が出来、記念すべきスケッチも完成し100点満点。

LYON リヨン

lyon Part-Dieu 駅で乗り換えのため途中下車。手荷物預かり所がわかりずらくて、右往左往。空港並に、預かる荷物を危険物探知機に通すのには驚きました。爆弾テロ防止のためでしょう。適当なレストランで昼食をと思っても、今年はばかに円安で、どの店も高く感じてしまう。結局、手頃なQUICK という名のハンバーガー店に入りました。これが、日本のそれとは違って、おいしいこと。フランスのバーガーはおすすめです。この店で娘が黄色い風船をもらいましたが、それは、帰国するまで、ずっと彼女のそばにありました。

DIJON ディジヨン

15年前に、この町を訪れたときには、あいにく美術館が工事のために閉まっていて入れませんでした。ですから、名物のマスタードを買い、Chapeau Rouge で食事をし,駅裏の大きな公園で午後の暑さをしのいだ位しか覚えて居ません。

BEAUNE ボーヌから列車でディジヨンに向かう。途中のNUITS-ST-GEORGESはぶどう畑の真っ直中にある小さな駅です。ところが、一歩、町中に踏み入れると、ワインレストラン、カーブという地下貯蔵庫を持つ本格的なワイン屋さんが軒を連ねています。ワイン愛好家には大きな駅に見えるかもしれませんね。

幸い、今回はディジヨン美術館に入ることが出来ました、しかも日曜日に訪れたので、無料です。買い求めた美術館案内書に書いてあるとおり、中身はもちろん、美術館の建物自体がかつての宮殿ですので素晴らしい。展示されている美術絵画の質の高さと、数に圧倒されます。かなり時間をかけないと見切れません。入館すると、まずはルイ14世の大理石の胸像とご対面です。広い宮殿を廻っているうち、うっかりすると、あとから付け足した新しい階段を登ることに気付かず、最上階にある、ミレー、マネ、モネなどの近代絵画を見落としてしまうかもしれませんので、ご注意を。圧巻はブルゴーニュ公の棺です。Philippe le Hardi duc de Bourgogne様(1342-1404)。少し離れてJean sans peur duc de Bourgogne 様(1371-1419)と、そのお后Marguerite de Baviere様 が並んで眠っています。その豪華さ、側面の泣き人達の大理石彫刻の精巧さ見事さには、声も出ません。

これを見るだけでもディジヨン美術館を訪れる価値があると云ってもいいでしょう。そして、いかなる偉人であろうとも、結局、生きる者はだれでも死ぬ、と見る者誰しもが無常観にひたる一室です。人生は短い。だからこそ私はこうして好きなフランス旅行に出かけるのです。


美術館を後にして、昼食のためにレストラン探しです。日曜日なので閉店している所もあります。ワイン好きのためのブルゴーニュ情報(村上祐二さんの平成10年最新報告)で村上祐二 さんおすすめの“Hotel Sofitel Dijon la Cloche”の中にある“Les Caves de la Cloches”をめざしていきましたが、午後7時から開店ということで、とても魅力的なレストランでしたが、お昼はだめでした。 暑い中を歩き回り、そのかいがあって、とても良い店を見つけました。それは美術館の裏手にあるノートルダム教会に近い食品市場を取り囲んだ一角にある、Bistrot des Halles です。その日の日替わり定食は黒板に書いてあり、97フランで前菜、メインの二皿。どちらもたっぷりの量でしかもとびきりおいしい。デザートの盛りつけだって、本格的ですごいんだから。その手前に、木骨組みのきれいなレストランがありますが、そこではありませんから、おまちがえなさいませんように。

おなかが膨れたので、駅裏の大きな公園JARDIN DE L’ARQUEBUSE の涼しい木陰で昼寝。浅いプールでは、子供達がボールではなく、水を蹴り上げて相手を濡らして遊んでいる。池のカルガモが涼しそうに泳いでいる。バラ園もありましたが、暑いので省略。ひたすら木陰のベンチで昼寝。夕方ボーヌのホテルに帰りました。ーーーーー

その2日後の朝、ボーヌからパリ・リヨン駅に行く途中、接続待ちのため再びディジヨン駅で下車。妻は銀行での両替と、先日、日曜日で閉まっていた文房具店に水彩絵の具を買うために出かけました。私は駅のベンチに座って、技師がはしごを掛けてモニターテレビを修理しているのを見ていました。かれこれ2時間はすぎたでしょうか、私の隣に座った少年は依然として熱心に漢字の書き取り(いや、フランス語の文章の書取)を続けています。やはり、誰かを待っているのでしょうか。目が合ったので、私はフランス個人旅行のホームページを書いているのだよ、と話しかけると。ぼくはまだ子供だからしないけど、おとうさんはインターネットを使っているよ、との答えなので、URLの書いてある名刺をその子に渡しました。彼はコートダジュールのモンペリエのそばに住んでいて、名前はNicolas VUILLEMIN 君。良く勉強してえらいので、ピーナッツ入り柿の種を一袋あげました。