アルザス紀行(平成15年12月)(柏田恵子さんの報告)

(ストラスブール、コルマール、リックウィール、リボーヴィレ)

今年のフランスは暖かいにもかかわらず晴天続きで、お天気に恵まれた旅でした。この数年、曇り空のフランスばかりだったので、アルザスで青空に巡り会えるのは諦めていたので、とても嬉しいでした。

パリ〜ストラスブールの車中も、移り行く景色にみとれて、4時間半の時間も案外と苦にならなく過ごせました。特に往きは貸切状態で(1車両に3人の乗客)、テーブルのある席に座ることができたので、東駅で買ったカストーネと車内販売の飲み物で、すっかりくつろぐことができました。

ストラスブールのホテル、Monopole Metropoleは本当に便利でした。宿の方もファミリー的でとても親切にして頂きました。

ストラスブールは意外と小ぢんまりした街ですね。ほとんど徒歩で観光できるのが嬉しいです。パリのサンジェルマン界隈の小さな店が並んでいるような町並みで、ちょっと脇道に入ると、アルザス特有の木組みの家が並んでいて、とても可愛いです。

やはり国際都市ですので、ギャラリーラファイエットもありますし、ブランド店の直営店もあります。パリで買い物をするよりも空いていますし、免税手続きもしてもらえますので、こちらで買い物をするほうが便利でした。

広場にはクリスマスマーケットがたち、イリュミネーションが綺麗です。旧市街を一回りするボートトリップを楽しんだり、プティット・フランス界隈を散策したりと、見ていて飽きることがありませんでした。

プティット・フランスの一角にある手芸屋さんには、特にクリスマスシーズンですので、サンタやツリーなどをかたどった可愛いボタンがいっぱいあって、思わずたくさん買ってしまいました。ボタンとしてだけでなくピンを刺せばピンブローチとしても使えそうなので、良いお土産になりました。夜はプティット・フランスにあるレストランで夜景を楽しみながら、キッシュロレーヌとシュークルートの食事をしました。美味しかったのですが、シュークルートの量の多さには驚きました。地元の方は華奢な女の方でも、平気で平らげるのが不思議です。

反対にコルマールは思っていたよりも大きな街で驚きました。駅前にはホテルも並び

タクシーも停まっていました。ホテルは駅前でなく観光に便利なウンターリンデン美術館の近くにしたので、タクシーでホテルまで行きました。チェックイン時間の前でしたが、すぐに部屋に入れてもらえました。駅前から中心部まで徒歩で15分くらいですし、バスも通っていますので、駅前のホテルのほうが便利だったように思いました。

バスの路線図はとても分りやすく、安心して利用できました。

コルマールのタクシー事情ですが、スタンドがあるのは駅前だけで、あとは呼び出しシステムです。料金はコルマール市内、一律5ユーロとなっているようです。

コルマールは昔から来てみたかった街ですが、旧市街に一歩足を踏み入れると、ほん

とうに凄いですね。まるでおとぎの国に迷い込んだみたいです。昔の家並がずーと続く迷路のような石畳の道を歩くのは、少々疲れましたが、楽しくて、楽しくて・・・・・・

いくつもの広場には季節柄、大きなツリーと日本のお祭の出店のようなクリスマスマーケットがたち、見て廻るだけでとても楽しかったです。このマーケット目当てに大勢の人出で賑わっていました。

次の日はバスを利用して、ワイン造りの村を訪れました。

インフォメーションで貰ったバスの時刻表では、約2時間間隔でバスがありました。

小森谷さんの記述にバスの乗り場が分りづらかったとあったので、事前にインフォメーションでしっかりとバスの乗り場を教えて頂いたので、助かりました。本当に分りづらいですね。

まずは、リックウィールへ行きました。

お目当ては、ゲヴュルツトラミネールのワインを造っているワイナリーです。白ワインの中で最も強い芳香をもち、味わいも豊かでヴォリューム感のあるワインです。コルマールの駅前から30分くらいで村の入り口に到着しました。そこから延びる坂道の両側には、ルネッサンス様式やゴシック様式の建物の土産物屋やレストラン、カーヴなどが建ち並び、まるで中世の街にタイムスリップしたような気分に思わず感嘆の声が出てしまいました。

城壁の外側にはブドウ畑が広がっています。季節柄、ヴァン・ショ(ホットワイン)の屋台がところどころに出ています。クローブやシナモンで香り付けした砂糖入りのワインで、とても美味しくて体が温まりました。こちらの人は風邪気味の時などにも飲むようで、日本でいうと甘酒にあたるようなものなのでしょうね。

レストランで、キッシュとタルト・フランベ、ワインはもちろんゲヴュルツトラミネールで昼食をとりました。この地方のチーズ、マンステールはやはり匂いが強くて食べ辛いのですが、キッシュにすると匂いも気にならなくて美味しいですね。

タルト・フランベというアルザス風極薄ピザは、とても美味しいです。トマトソースを使ってなく、上にのせるチーズがフロマージュ・ブランだからでしょうか、あっさりしていて大きさは直径40cmくらいもあるのに、1人でぺろりと食べられます。お皿ではなく木の板にのってくるのが面白いですね。

ここからバスで20分くらいでリボーヴィレに着きました。

ここは、特級クラスの畑が多く、上質のリースリングワインが造られています。大きなワイナリーも多く、洒落たホテルやレストランもあります。リックウィールと比べると大きく、村というより町です。丘の上には古城がそびえており、麓までの斜面もブドウ畑になっています。その辺りが特級畑なのでしょうか?

アルザスは山の中というイメージがあったのですが、見た目にはライン平野というなだらかな斜面にブドウ畑が広がります。が、実際の標高は他の地方よりもかなり高いそうです。ここは野生のコウノトリの巣があって、教会などの屋根に巣がありました。その巣の周りにも電飾が飾られていました。

リボーヴィレに着いた時、念の為に帰りのバスの時刻をインフォメーションで確かめ

ておいたのですが、30分待ってもバスが来ません。もう一度インフォメーションに尋ねにいったら、係りの人も驚かれたようです。良く調べていただくと、年末の為なのか間引き運転されているとの事で、3時間後の最終便までないとのことでした。3時間も待つのもワインボトルの荷物を持って歩くのも嫌なので、タクシーでコルマールまで戻りました。お陰で、バスでは寄れないワイナリーやブドウ畑に立ち寄ることができました。ブドウ畑に青々とした葉は繁っていませんでしたが、綺麗な青空と夕日に輝くブドウ畑の姿はしっかりと目に焼き付けてきました。

ウンターリンデン美術館近くのレストラン「PFEFFEL」に行きました。こちらでは、鮭のシュークルートを頼みました。肉やソーセージと煮込んだものとはまた違って美味しかったです。この店ではなんと7種類もの白ワインをグラス、1/4、1/2、フルボトルと4種類の量でサービスしてくれるのです。2人での食事にはとてもありがたいサービスでした。とても大柄な良く働く娘さんはフランス語、ドイツ語、英語に堪能で、土地柄とはいえ、とても羨ましかったです。

ウンターリンデン美術館は修道院がそのまま美術館になっていて、とても静かでいい美術館でした。「イッセンハイムの祭壇画」は圧巻でした。3重の扉を開くと次から次へと絵が現れます。実際の絵は館員の方が広げて下るのですが、精巧に模倣されたミニチュア版が壁に掛けてあって、それは触れることができて、とても楽しい経験でした。また、当時の修道院での生活がわかるように展示されており、宗教だけでなく、教育・医療などすべての生活を司っていたのだと言うことが、実感できました。

今回も短い旅でしたが、本当に充実した楽しい旅をすることができました。