画家バルテュスのこと(銀座飯田画廊 飯田哲さん)

画家バルテュスのことについて、解説してみます。先ずは、新潮社から出版されている「世界美術辞典」から。バルテュス・・・本名バルタザール・クロソウスキー・ド・ローラ、1908.2.29.生まれ(飯田注:うるう年生まれ)。フランスの画家。パリに生w汲、年生まれ)。1930年代からシュルリアリスムのグループと交わり、不思議な官能性をたたえた白昼夢のような画面で知られる。ほかに、「嵐が丘」の挿し絵などグラフィックな作品も優れているが、作品数は少ない。1961から76年まで、ローマのフランス・アカデミー館長。さて、これで略歴はわかりました。次は日本で行われた展覧会です。

第一回目:1984年、京都市美術館。第二回目:1993年、東京ステーションギャラリー。この二回です。私は後者には行きました。その時に出品された作品の所有者を調べてみると、スイスの個人、パリ・サントル・ジョルジュ・ポンピドウ、ニューヨーク・メトロポリタン・美術館、画家の妻、ニューヨークの画商、となっています。すると、見ることの出来る場所は、ポンピドウ、ということになりますが、現在工事中ですよね?ということは、どこかで偶然に目にする以外には難しいでしょう。 確かに、過去10年くらいの間に、オークションに彼の作品が出品されたのも2回くらいなので、作品点数は極端に少ないと言って良いでしょう。その理由としては、画家に経済的に余裕がものすごくある場合、気が向いたときにだけしか制作をしなくて良いから、ということがあります。おそらく、このケースでしょう。もっとも現在、90歳を超えているので「もう描いていない」でしょう。 さて、ここで彼の作品を目にするチャンスがあります。大変に不謹慎ですが、それは、画家が亡くなったとき、です。まとまった作品を鑑賞するには、もはやこの方法しかないでしょう。もちろん、新聞やテレビでも報道されますので、その時を待つのです。 実物ではなく、書籍でしたら、次のものが出版されています。阿部良雄、與謝野文子共編「バルテュス」、白水社、1986年。金額不明。注文なさると良いかもしれません、どんな作風かがわかります。 ここまでが、この画家に関してのことですが、日本人にとって大変に興味深いのは、彼の妻が日本人である、ということです。1967年に結婚した「節子」夫人です。また、春美さんという女の子がいます。 ここで酒飲みとしてのうんちくを一つ。この画家の妻、節子さんも画家で、彼女の作品がワインのラベルになっています。あの有名な「シャトー・ムートン・ロートシルト(ムトン・ロトシルド)」の1991年です。また、彼もこのワインのラベルを描きましたが、少女の裸体を描いたのでアメリカで発売禁止になってしまいました。一本数万円するので、今のうちに買っておくと良いかも知れません(私は買えませんが)。ついでに書きますが、このムートンのあるボルドー地区は、ワインのランクをここ二十数年、変更していません。最後に変更があった1973年に、このワインは公式の第一級となりました。ロスチャイルド家の系統である、記憶しています。すると、彼らがラベルを描いた縁もわかってきます。