ホテル・バ・ブレオーとバルビゾン近辺の歩き方(飯田哲さんの報告)

ここでは、バルビゾンに関して日本における第一人者、銀座飯田画廊の飯田哲さんにお願いして解説していただきました。

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オテル・バ・ブレオーについて

・・・バルビゾンの中で一番の高級ホテル。と言ってもパリの中級ホテル並みの料金で宿泊・食事をすることが出来ます。間口は狭いですが、奥はとっても広くなっています。ここの最大の魅力は「快適さ」

。フロントやレストランの人たちの対応はとても親切で心に残ります。それでは

、幾つか特徴を挙げてみます。

(1)部屋・・・木造の重厚な玄関(?)を進むとドアがあり、そこが受け付け。チェックインの申し出をするとすぐに係員が来て荷物を運んでくれて部屋へ案内してくれます。私が宿泊したのはアパートのような建物の一室で(それほど広くはありませんでした)デザインがとても洗練されていました。パリの大きなホテルのような「無機質さ」と正反対の雰囲気でした。バス・トイレともに明るく、清潔。ベッドも大きくてふかふか。実際に熟睡できました。

(2)レストラン・・・夕食と朝食。夕食は本格的なフランス料理。ここのお奨めは「ジビエ」。猟が解禁になっていると新鮮な食材があります(鴨やウサギ)。当然ムニュでも良いですし、ア・ラ・カルトでも良いです。時間に余裕があれば、夕方にムニュ・カルトを借りて、研究をしておくとよいでしょう。ちなみに「昭和天皇のムニュ」もありますが、確か量が多かったと思います。チャレンジなさるのでしたら「量を少なめに」と初めに申し出ておくと食後酒までたどり着くことが出来ます。 チーズ・デザートももちろん最高のものが出てきます。次にワインですが、これが郊外のレストランの最高の楽しみなのですが、古いものから新しいものまで、一通り揃っています。ペトリュースやル・パンと言った最高級ワインや五大シャトーのような高価な品を除けば、そこそこの値段で楽しむことが出来ます。例えば、アペリチフはシャンパーニュのハーフを3人で分け、次は白、そして肉料理に会わせて赤、ですとか、シャンパーニュを一本頼んで赤を追加、チーズの時に残りの赤を飲み、飲みきってしまったらカルヴァドスを頼み、「ノルマンディー生まれの傑作は、画家のミレーとカルヴァドス」などというとおしゃれです(ちょっとキザですが)。ワイン選びに迷ったら、ソムリエさんがにこにこしていますので、遠慮なく「選んでちょうだいね」と言いましょう。 とにかく、ここの楽しみの第一は「食事」ですから、昼食を少な目にしてでも、じっくりとそしてたくさん召し上がってください。2・3時間かけるつもりで(夕食の始まりは20:00くらいですので、バーで話をしているのもよいでしょう)いた方がよろしいかと思います。ちなみに到着した時に荷物を運んでくれた人がギャルソン(今はそう言いませんが)に変身している場合があります。

(3)晩鐘・・・18:45だとおもいましたが、隣のシャイイ・アン・ビエールという街から教会の鐘の音が聞こえてきます。ミレーの描いた作品の、画面遠くに見える教会です。耳を澄まして聞かれてはいかがでしょうか?

とにかく、「バ・ブレオー」に宿泊されるのですから、日中歩き回り過ぎないで、ホテルの滞在を楽しまれることをお勧めします。ホテルの庭はとても良く手入れがなされています。プールもあります。宿泊している人にはとてもやさしく接してくれます。パリでは味わえない経験が出来ることと思います。

自転車について

バルビゾンには一軒、自転車を貸してくれるところがあります(金額・条件など不明)。フォンテーヌブローへ自転車で行くのは、お勧めしません。というのは、信号の無い交差点で国道を横断しなければならず、それはとても危険だからです。ほとんどの自動車が時速100kmくらいで走っています。横断中に自動車の姿が見えたら、それはひかれる、ということです。フォンテーヌブローへは、ホテルでタクシーを呼んでもらって、それで行くのがよいでしょう。タクシー代ですが、日曜日に迎車で(日曜日にタクシーを呼ぶと割り増しになるらしいです)4人乗車で180F(これは本年3月26日のデータです)。往復になるとその倍の金額ですが、そうすると結構な金額になってしまいますね。

フォンテーヌブローの見所は何と言ってもお城。その次に庭園。フランスのルネッサンス発祥はここです。なんといってもフランソワ一世がイタリアから芸術家を連れてきて装飾をさせたのですから、それは見事です。ダ・ヴィンチも一時ここにいたはずです。また、ナポレオンがここをたいそう気に入っていました。エルバ島に流される前に皆にお別れの挨拶をしたところがお城の入り口正面の「馬蹄式階段」です。お城には日本語の解説書があります。 天候が良ければ、お城の入り口から「プチ・トラン」が出ています。それに乗ればあらかじめ街の概要をつかむことが出来ます。 お城からそう遠くないところに観光案内所があります。そこにはバスの停留所もあり、確か15:00くらいですが、バルビゾンに行くバスがあります(曜日、季節などでダイヤが異なっていますので、必ず良く確認してください。観光案内所で教えてくれます。バルビゾンには「プラス・ド・ランジェルス(アンジェラス広場)」の停留所に着きます。ドライバーに「バルビゾンに着いたら教えてください」と声をかけておくとよいでしょう。40分くらいです。 フォンテーヌブローはバルビゾンよりもずっと都会ですから(それでものんびりとしています)、ショッピングをするのもよいと思います。

次はお弁当ですが、これはなんともわかりません。しかし、バルビゾンには簡単に食事が出来るところや、パン屋さん、食品店などがありますので、部屋で食べることも出来ます。クレープ屋さんもあります。

フォンテーヌブローの森へはピクニックというよりは、散歩もしくは探検となるでしょう(ここは昨年の12月25日の信じられないような大きな竜巻で、かなりの木が倒されてしまいました。パリやディズニーランドを襲ったハリケーンはフォンテーヌブローの森を通過したのです)。 1、散歩・・・オテル・バ・ブレオーからバ・ブレオーの交差点(そこにはテーブル付きの山小屋風売店があります)くらいまでで、往復30分くらい、途中、ミレーとルソー(ジャン・ジャック・ルソーとは別の人で、画家)のメダル(岩の上にプレートが埋め込まれています)を見るとしても往復50分くらいです。また、面白い形をした岩で「象の岩」というのがあるのですが、そこは往復50分くらいです。森の中の道はとてもすがすがしく、また自然保護地区になっているので、歩くのはとても気持ちが良いです。運動靴で行かれることをお勧めします。

探検

・・・これは3時間くらいかかります。実際に私は森の中の地図を購入し、翻訳してから行きましたが、森の中は山あり、谷あり、パノラマあり、沼地ありでとても面白かったです。しかしながら天候や時刻にじゅうぶん注意をしてからでないと(特に夕方以降は本当の暗闇になってしまいます)、大変な思いをすることでしょう。ですから、お勧めしません。

バルビゾンの街を見物するには、ホテルで聞くのも一つの方法ですが、「ミレーのアトリエ(入場無料)」で聞くのも一つの方法です。そこにはリシャールさんという名物(?)おじさんがいまして、彼は1951年からそこの責任者としてアトリエの管理をしています。フランス語はもちろん、英語も話しますし、片言の日本語も話します。ですからアトリエを一通り見学して、一番奥の部屋で値段の安い複製画などを買って、「バルビゾンについての質問があります」などと言っていろいろと質問をするとよいでしょう。「ガンヌの旅篭美術館」と「ルソーの家(そこに控えめな観光案内所があります)」を見つけることは簡単(大通りにあります)ですが、「晩鐘」に描かれている畑の場所は彼に聞いたほうがわかりやすいです。バスに乗って来た観光の人たちが入ってきたら、落着かないので一旦外へ出て(結構騒がしくなります)、しばらくしてもう一度訪れるのが得策です。