コリウール行き(近藤孝夫さんの報告)

フランスのルシヨン地方のコリウールへ行ってみようと思っていました。ヨーロッパへ行くのは実は初めてなのですが、コリウールの街が雑誌に紹介されておりそれを見て是非、行ってみたいと思ったのです。しかし、雑誌にはペルピニャンからバスが2時間おきに1本出ている、という紹介しかありませんでした。バルセロナから行こうとしているのですが、どのようにして行くのが良いのか?また、コリウールのホテルでは英語はどれぐらい通じるものなのか?とにかく、小森谷さんに聞いてみることにしました。

ーーーー私はバルセロナからフランスのラングドック・ルションに2度旅したことがございます。バルセロナのサンツ駅から、各駅停車に乗り、ポルトボウという駅をめざします。そのまま国境を通過して、フランスのセルベーレという駅で下車します。ここは、何の取り柄もないつまらない景色の駅ですが、ここには税関があり、日本人はフリーパスです。約一時間くらい待つと、やっとナルボンヌ、モンペリエ、アビニヨン方面行きの列車が出発しますから、それに乗ると、15分くらいで、目的地のコリウールに着きます。駅から海岸まではそれほど遠くはありませんので、景色を見ながら歩いていけるでしょう。わたしは、コリウールのホテルには泊まったことがありませんが、有名なところですから、英語はもちろんオーケーでしょう。魚料理がおいしいですよ。ーーーーと言う返事で大体の様子を知ることが出来ましたが、さらに、セルベーレという駅では必ず乗り換えしなければならないのか?また、途中の駅まで急行で行くことも可能なのか、所要時間はどれぐらいかを質問してみました。

ーーーーtalgoという特急がスペインでは走っていますが、コリウールには停車せず、ペルピニヤンまで行ってしまいますから、乗れません。私も、いろいろ検討してみましたが、セルベーレという駅で、次の列車を待つしかありませんでした。バルセロナサンツ駅8:05ーー10:42セルベーレ11:43ーーコリウール12:00ーーーーーという返事。

次に問題になったのは、小森谷さんのホームページで紹介されていた、FAXでのホテルの予約を試して みたのですが、ホテル側からの返事がありませんので、質問してみますと。ーーーーいくら遅くても48時間以内にホテルから返事が来ます。普通は1時間ぐらいで返事が来ます。ーーーーと言う事。そこで、もう一度だけ同じ書面で送ってみた所、無事にホテルから返事が返ってきました!辞書を片手に格闘すると、どうやら予約できた様でした。

いよいよ、出発です。10月24日にKLMに乗って成田発、アムステルダム経由でバルセロナに向かいました。バルセロナの街でガウディーの建築物を見たり、スペイン料理を食べたりして堪能した後、26日にコリウールに向かいました。

11時半頃バルセロナを出発して、フランス側の国境駅セルベーレに着いたのは2時頃でした。セルベーレの駅は両替所も閉まっていて寂しい感じでしたが、インフォメーションは開いていました。インフォメーションのおじさんにコリウールに行く電車の時間を聞くと電光掲示板を指差して、次の電車まで2時間ほど時間があると教えてくれました。駅では次の電車を待っている人が5、6人いるだけで、駅の前にお店があるわけでも無く(後で分かった事ですが、反対側の海側にはお店やホテルがありました。)仕方なく電車の中で出発する時間を待ちました。やがて時間になり電車が動き出し、青い海と白い建物の風景を見ているとすぐにコリウールに着いてしまいました。ホテルの予約が無事に取れているか心配でしたが、ホテルから届いたFAXを見せるとすぐに理解してにっこりと笑顔を返してくて安心できました。早速、ホテルに荷物をおいて海の方へ出てみるとコリウールの町は日本の熱海の様な雰囲気の町でした。シーズンで無い事もあって閉まっている店も多く、少し寂しい感じがしたからなのかも知れませんが。夕飯を食べようと言う事になり海の近くのレストランで御飯を食べましたが、隣の席のパエリヤはとても美味しそうでした。コリウールの町の海岸付近には、10月下旬でも画家が絵を描いていました。上手い!と感心してしばらく見ておりました。10月末のコリウールは日中はポカポカと暖かく、風も無く、穏やかな気候でした。のんびりとする程は時間が無かったのが残念だったのですが、フランスの田舎町を堪能する事が出来て良かったです。実はコリウールからバルセロナへ帰る時にセルベーレ行きの電車が遅れてしまい、セルベーレからポルトボーへ行く電車に乗り遅れてしまったのです。そこで仕方なく(次の電車まで4時間位ありましたので)タクシーを呼んでもらいポルトボーまで行きました。お陰でセルベーレとポルトボーの町並みが分ったのですが・・・ちなみにセルベーレからポルトボーまでは、タクシーで100Fでした。(以上近藤孝夫様の報告)


追記(小森谷)

コリウールはバルセロナと同じ民族カタロニア人が住む(今では、フランスとスペインに2分されていますが)Catalonia地方の一部です。ですから、ピカソなどスペインの画家が、この地に滞在し、風景を描いているのは、当然の成りゆきなのです。バルセロナの空港には、スペイン語とともに、堂々とカタロニヤ語で表示がされています。コリウールで売られている本のなかにも、フランス語とカタロニヤ語とが併記されているものがあります。カタロニヤ語のスペルはスペイン語とは異質で、むしろフランス語に似ています。付近の地形はピレネーの山並みがそのまま地中海に入っていくような形ですから、その斜面を利用したブドーの栽培が盛んで、この地方のワインはVin du Roussillon と総称され、Cotes du Roussillon,Cotes du Roussillon Villages とばれる赤ワインが年間3000万リットルも生産されます。コリウールでは、主として赤ワインで、ロゼワインも少量出来ます。コリウールの年間生産高は100万リットル。カタロニヤの魚料理にはコリウールロゼワインが一番です。イカ、ムール貝、えび料理はもちろんで、スープドポアッソンなどは、とてもおいしいものですが、当地の代表格は、タラ(morue モリュー)の料理です。サフラン風味や、いろいろな味付けで出てきます。この地方独特なワインの飲み方として、porron と呼ばれる水差しのような形のガラスの容器にワインをいれて頭上に持ち上げ、細い注ぎ口からほとばしるワインを空中で口に受けて飲むのです。このように,容器に口をつけないで空中で飲むスタイルは、スペインの革製水筒の飲み方と似ています。porronを買おうかと迷いましたが、旅の途中で壊れそうなのでやめました。