98年末、PARIS   ハンドルネームchiakiさんの報告

98年12月27日に東京を発って、2日にパリから帰ってきました。

母親(66歳)との二人旅行です(注:チアキさんは男性です。小森谷)。 四年ほど前に初めてパリを訪れてよりこの街が好きになり、以後毎年、わずか数日ずつながらも通っています。今回は初めて自分でホテルを手配してみました。

年末のパリは、殆ど毎日雨で良い天気とは言えませんでしたが、思ったより全然寒くなくって、帰ってきてから東京の寒さに震えている、という状況です。

●初日(27日)あちらのメル友と逢いました。

彼は独学で日本語を勉強しているものの、まだ始めたばかりでほとんどわからな

い。こちらのフランス語は発音が悪くてなかなか通じない、で、日本から持参した辞書を互いにひきつつの何とも頼りないおしゃべりでしたが、彼のフィアンセを交えてなかなか楽しい夕食でした。

●二日目(28日)

日本で申込んでいたバス・ツアーの集合場所まで、歩いてどの程度時間が掛かるかを確認のため、シャンゼリゼはロン・ポワン近くのホテルから、オペラ座近くのマイ・バス社まで30分ほどてくてく歩いて、雨が強くなってきたので、近くのJCBのサロンで雨宿り。空港からホテルまでのタクシー料金を払うとき、運転手に「(前回の旅行で手許に残っていた)この200フラン札は古くて使えないから両替しろ」と言われたので、JCBのお姉さんに確認したら、「フランス銀行だけで両替できる」とのこと。「こっちの銀行って、お昼休みがありますよね?」「最近はお昼でもあいてますよ」の言葉を信用してパレ・ロワイヤル近くのフランス銀行まで道に迷いながら(ほんとは迷うほどの道じゃないんだけど)歩いてやっと到着したら、案の定お昼休みで中に入れず、しょうがないのでフォーラム・デ・アールまで歩いておみやげになりそうなものを物色。結局そのときは何も買わず、お昼休みの終わった銀行へ、またてくてく。ドアから一歩中に入ると、日本とは全然違う厳重なセキュリティーにちょっとわくわく。エントランスでおじさんに「古い紙幣を新しいのに替えたいんだけど」「じゃあ、どこそこの窓口へ行って」。駅の切符売り場みたいな窓口でも、やっぱりにっこり笑って「ボンジュール」、無事新しいお札に交換できてホッ。またまたフォーラム・デ・アールまで歩いて戻って、FNACでLoisirの「ピーター・パン」を購入。3巻まではすでに持っていたので、最終巻の4巻と「メイキング本」みたいのを入手。あと、ランボーの詩に絵をつけたものも。サントゥスタッシュ教会をバックに母の記念撮影。ぐるぐるぐねぐね歩きながらチゥイルリー公園の入口のところでリボリ通りに出ると、あそこにそびえるは年末の風物詩、コンコルド広場の大観覧車 La Grande Roue de Parisではないですか。「あれに乗るんだ!」とばかりに、すでにグロッキー気味の母を無理矢理歩かせてまたてくてく。ところが、やっと到着してみると停まっているではないかいな。「なんで?」と思ってよくよく見ると、7時半までだって(ついたのは7時50分頃)。しょうがないので、そのままシャンゼリゼをまっすぐ歩いてホテルに帰艦。こんな時でも万歩計を手放さない母に尋ねると「30000歩」!・・・疲れるはずです。

●三日目(29日)

今日のメインはカルティエ財団美術館の「イッセイ・ミヤケ展」。

さすがに歩くには遠いので地下鉄で。11時頃着、ところが中に入れない。「へんだなぁ」と思って表に貼ってあるポスターを見ると12時からだって。念のために守衛のオニイサンに確認、「ア・ミディ?」「ウィ」「あっちょんぶりけー!」・・・これから美術館などに行く人は、会期と時間をちゃんと確認しましょう。他に何もないので、目の前のモンパルナス墓地へ。途中、多分テレビ番組でしょう、撮影風景に遭遇。だけど、墓地の壁沿いに歩きながらお話をしてた学者風のおじさんを私は知らないので(当たり前だ)、そのまま中へ。もともと入るつもりのなかった場所なので、とりあえず目的もなくぶらぶらとね。たまたま、セルジュ・ゲンズブールのお墓を発見してちょっと感激。そのままずるずると目の前にそびえるモンパルナス・タワーへ。チケットを買て、エレベーターで56階(日本で言うと57階?)の展望台へ、そこから階段で59階へ。だけど、59階って屋上だ。吹きさらしで寒いし柵は低いし・・・。だけどさすがに見晴らしは良かったです。56階にはカフェもあるしおみやげ屋さんもあるしレストランだってある。お時間とご予算のある方はどうぞ。マイ・バス社では、ここのレストランでのディナーを組んだツアーもありましたよ。さて、いよいよ所期の目的、「イッセイ・ミヤケ」へ。だけど、入口で入場料を払おうと100フラン札を出すと、受け付けのお姉さんが受けとってくれない。「このお札は古いから使えない。銀行で両替しなさい」。えっ、だってこのお札で地下鉄のカルネだって、モンパルナス・タワーのチケットだって買ったんだよ?まぁいいや、昨日替えたばかりの200フラン札で入場。展覧会については、興味のある人は雑誌の記事とか読んで下さい。おもしろかったです。・・・結局100フラン札は他のお店では問題なく、手許にあったものは使いきってしまいました。そのあと、凱旋門で地下鉄を降りて、紆余曲折うろうろしながら、途中シャンゼリゼでサンドウィッチを買ってホテルまで徒歩。疲れてもう動けない、という母を一人部屋に残して、一人で再びお買いもの。ポンピドー・センター近くの大好きなお店に行くと、あるはずの場所にお店がないっ。しばらくうろうろして、すぐ近くにそっくりの商品をディスプレィしているお店があったので、ひょっとしてここかなぁ・・・とか思いながらのぞくと、そこでした。話を聞くと、新たにお店を買って場所を移ったのだそう。前のお店は狭くて窮屈だったけど、新しいお店は広くなって、商品のバリエーションも増えてて、ファンとしては嬉しくなりました。このお店の人は、パリにしては珍しくのんびりと話しをしてくれるし、こちらのつたないフランス語を根気よく聞いてくれるので、話しをしやすくてとっても気が楽。商品は手刺繍のテーブル・クロス、ナプキンなど。可愛くて実用的でかさばらず、おみやげにも自分で使うにもオススメです。住所を記しておきますので、機会があればぜひ寄ってみて下さい。

★Majolique★ 85, rue Ville du Temple, 3 区

(いつも行くのはここ。店舗は下記にもある)

  41, rue Dauphine, 6 区
  8 bis, rue Belgrand, 20 区

このあと、パリ・パ・シェールで見つけた近くのお店へ、自分用とおみやげ用にカシミヤのセーターを買いに。こちらでは普通、客が商品を勝手に手に取ることを嫌います(特に高級品は)。お店の人に自分の好みを伝えて商品を出してきてもらいましょう。ただし、納得いくまで付き合ってくれるし、試着もOK。黙って入って黙って出るのは最悪のマナーですから要注意(すでに、みなさんご存知でしょうが・・・)。セーターを二つ買って(一つはプレゼント用にパッケージしてもらって)外に出たらもう真っ暗。どこにも寄らず、まっすぐホテルに帰りました。

●四日目(30日)

今日は一日バス・ツアー。

ホテルから早朝のパリを歩いて7時前にマイ・バス社に到着。だけど、まだ明かりはついてないし、鍵も掛かってる。呼び鈴を押すと、中からお姉さんが出てきて「出発まで中でお待ち下さい」と、中に入れてくれました。私たちの前に二人先客がいたんですけど、彼らはこの寒空に、表でじっと立って開くのを待っていたようです。日本人って、へんなところで律儀だなぁ。外国では、自分にちょっとでも正当性があると思ったら、少しずうずうしいくらいがいいですね。・・・でも、受け付けのお姉さんがフランス人だったら、中には入れてくれなかったかも。そういう場合も、とりあえずは頼んでみましょう。では、総勢37名で出発ー!とは言っても、ほとんどは「右に見えるのは○○城でございます」「左に見えるのが◇◇城でございます」ってなもんで、ガイドのお姉さんは歴史も含めてひっきりなしに解説してくれるんですけど、ほとんど印象に残ってません。お姉さん、ごめんなさい。バスを降りて見学したのはシュノンソー城とシャンボール城の二つ。まぁ、これらについては、ここで書くよりガイドブックや歴史書を読んでいただくとして、中世のお城にはあんまり住みたくないですね、と。あと、大人数が固まってぞろぞろ一緒に動くのって、一歩離れてみるとやっぱり異様だと思います。ツアーに参加しても、知識は事前に本で調べるとかして、当日は中に入ってしまえば集団を離れて勝手に動く、というのがスマートだと思いますが、どうでしょう。修学旅行じゃないんだし。シュノンソーの近くのショップでおみやげのチョコレートを購入。こんなところで買い物をするつもりなどなかったけど、なんとなく覗いてみると、なんだか日本人男性がこの地方の特産品についていろいろ説明してて、「このチョコレートはフランスで一番美味しいチョコレートとして金賞を受賞したものです」とかなんとか言ってる。日本人観光客をバカにしてかかってる口調が気にいらなかったけど、おみやげにチョコレートを頼まれてたし、ここで買っておけばパリで探す必要もないしと思って、おみやげ用に一つだけ買いました。でも、実際に商品の受け渡しをしたのは地元のフランス人の女の子だったから、にっこり笑って「メルシー」は忘れずに。さらに近くのレストランでお昼。しなびた野菜に鴨肉のサラダ、ロワール川の白身魚・バターソース、デザートは定番・ガトーショコラ。誰に聞いても、日常的なレベルなら「魚は日本が一番美味しい」。サービスはお座なりだし、コートを預ければ入口のコート掛けに掛けておくだけだし・・・まぁ、団体客を相手にすればしょうがないよねかな、ということで、あまりよい印象ではありませんでした。パリに戻ったのは夜7時。どこにも寄らずに、帰りましょう。

●五日目(31日)

さて、いよいよ大晦日。今日のメインはシャンゼリゼのカウント・ダウンだけなので、それまでは母に付き合ってのんびりと過ごします。シャンゼリゼを挾んでホテルの反対側のプティ・パレ&グラン・パレの外側をつらっと眺めて、アンヴァリッドの中をぐるっと歩いて、この時点で母はすでにグロッキー。じゃあ、帰ろっか、で帰る途中で偶然見つけたタイ料理屋が結構美味しくて正解。お店の名前は忘れたけど、アンヴァリッド正面を出て左側の信号をわたって、まっすぐシャンゼリゼに向かう途中にあるタイ料理屋さんです。メニューは漢字と仏語と英語。おばさんがしゃべった日本語は「さよなら」だけ。この旅行中、二度目のお昼ご飯でした。母をホテルまで送って、私は再び夕暮のパリへ。パリ・パ・シェールで見つけた雑貨屋さんを覗きに行きましたが、外から見た限りでは聖人像のミニチュアとか、聖書の絵本とか、宗教画のポストカードとか、ようするにそんなものばかり。取り立ててごく普通の日本人が喜びそうなものではないな、と思ったので、素通りして地下鉄の隣駅へほとんど真っ暗な通りをてくてく。いまおもいだすと、結構恐いことをやってますね。時計を見ると、おお、まだ観覧車に間に合うではないですか。これはぜひとも乗らねば、ということで、急ぎコンコルドへゴー!・・・いやー、よかったです。年末にパリを訪れる人は、ぜひ、乗ってみて下い。でも、高所恐怖症のひとはやめた方がいいかも。結構高いし、ちょっとのけぞると、そのまま「あーーー・・・っっっっ」ていうカンジなので。カウント・ダウンは、なんと言うか、とにかく結構早い時間からシャンゼリゼ目指してパリジャン、観光客がぞろぞろと集って、さあ、いよいよ年があけたぞっ、「おめでとう!」「じゃあ帰ろうか」っていう感じでした。もうちょっと長くいれば別な盛り上がり方をしたのかも知れないけど、まわりはみんな2m近くあるような巨人ばかりだし、目つきの悪いのも結構いたから、あんまり長居はせずにとっととホテルに戻りました。こまかいイザコザがあちこちであったり、足下で爆竹が鳴ったり、シャンペンの飛沫をかぶったりと、まぁ、そんな程度なもんですか。でも、来年はきっとスゴイんでしょうね。12時半頃ホテルに戻って、入口を入って「bonne annee!」と言うと、レセプションに交代で入っている黒人のいかついおじさんが、にっこり笑って可愛らしい声で「bonne annee!」と返してくれる。こういうのは、やっぱり小さいホテルならでは、という感じがしますね。

●最終日(元日)

荷物をまとめてチェック・アウトして、呼んでもらったタクシーを待つ間にレセプションのお姉さんとちょっとおしゃべり。「ゆうべ、シャンゼリゼに行ったの?」「うん、行ったよ。楽しかった。観覧車にも乗ったよ」「え、観覧車に乗ったの? 何時頃?」「6時半頃」「それはラッキーだったわね」「すごくステキだった。すごく高かったけど」「そう、高いのよ。わたしは恐くて乗ったことないわ」(これは高の話し。無料で乗れます)ところでこのホテル、チェック・インの手続きって、してないんですよね。到着した日にレセプションで名乗って、カギを渡されてそのまま。たとえ友人でも外国人を泊めたらパスポート番号とか控えて、いつからいつまで宿泊したとか、届け出なくちゃいけないんじゃなかったっけ・・・? ホテルはそんなこと、しなくていいのかな。こんなホテルに泊まってみたいというアナタ、住所をお教えいたしましょう。

 ★HOTEL d'ALBION★

 15, rue de Penthievre, 75008 PARIS

 tel.; 01-42-65-84-15

 fax.; 01-49-24-03-47

 Web; www.hotelalbion.com

ホテルの内容はWeb.ページを見ていただくとして、予約はfax.の方が確実です。

fax.でのホテルの予約の仕方は、ナツメ社から出版されてる「フランス語の手紙の書き方」という本に、例文がたくさん載っているので、参考にするといいと思います。あと、カードはVISAかMasterがあれば大抵のところは大丈夫。思いの外使えないのがJCB。日本人がたくさん来るようなお店ならJCBでイケルんだけど、今回はバス・ツアーを除いて全滅でした。ポイントを貯めるチャンスだと思ってたので、ちょっと悔しい・・・。ドアには目立たないようにではあれ、JCBのステッカーが貼ってあっても、いざ使おうとすると、「他のカードはないのか」と言われる。セーターを買ったお店では、JCBは一応使えるけれども「bizarreだ」と言われました。直訳すれば「奇妙」「変な」「おかしい」ということだけど、まぁ、一般的ではないということでしょう。AMEX は、お店の負担する料率が高いので結構嫌われてるというのはよく知られてますね。JCBのユーザーとしては頑張ってほしいところだけど、とりあえずはしょうがないですね。パリは、何度訪れても、その度に何かしら面白いことに遭遇します。