コート・デュ・ローヌ〜プロヴァンス〜カシスの旅(瀬尾祐子さんの報告)

この度、イタリア〜フランスをレンタカーでまわってきました。

去年と多少重なる地域もありましたが、海の幸、山の幸あり、そしてそれぞれの地域のおいしいワインを堪能してまいりました。

今回、イタリアからフランスの国境を越えたのは、トリノの北西、フレジュストンネルでこのあたりのこの季節の情報が日本になく、ちょっと心配でした。(道路の凍結や降雪など)でも通過した当日は朝から晴れて青い空が広がる中、白く輝くアルプスから続くの山を横目に見ながら無事にフランスへ行くことができました。

その日はコート・デュ・ローヌの中で、濃厚な白ワインで知られるコンドリューの地元に宿泊し、コンドリューの街やE.ギガル社のあるアンピウスの街をうろうろし、E.ギガル社も予約して見学してきました。このコンドリューもアンピウスもN84という国道(?)沿いの小さな街で歩いて一周してもあっという間のほんとに小さな街でした。この街道沿いからちょっと入ったところには大小様々なドメーヌが点在しているようですし、街道から見えるところにぶどう畑が広がり、ローヌのワイン街道と呼ばれる感じがひしひしとしています。 しかし、ブルゴーニュ地方のように広がりのある風景ではなく、片側は大きなゆったりとしたローヌ川が見え、もう片側はまるで川の土手のような急斜面にぶどう畑がのしかかってきています。また、その二つの街に関しては、カーブのような酒屋は1〜2軒あるばかりでブルゴーニュのような街にカーブがあってワイン好きは酒屋めぐりがたまらないといった風ではないです。レストランもたくさんはないですし。

コンドリューではちょっときばってミシュランの一つ星つきレストランのあるローヌ川沿いの宿、『オテルリー・ボウ・リバージュ』に泊まりました。料理は星付だけあってソースがいかにもの正統なフランス料理でしたが、ローヌの川魚がうまく料理してあり、フランスの技をみせていただいた感じです。(しかし、いかんせんこの前日までイタリアのピエモンテのこれまたおいしいレストラン併設の宿で、今が旬の白トリュフをこれでもかってくらい堪能させてもらって食べ過ぎで胃の調子がいまひとつだったのがとても残念)

E.ギガル社はアンピウスの街の中心から歩いて2分の街外れ、前述の街道沿いのコンドリューに近い側にさわやかなピンクの外壁で威風堂々登場です。ギガル社は街道と民家をはさみギガルと書かれたぶどう畑と向かい合わせであります。倉庫らしい門もぴったり閉じているし、磨りガラス風の扉もぴったりしていて横のベルをならすのは怖いかも、とつい引いてしまいますが、予約の時間なのでベルを鳴らし、おずおずと扉を開けると中はサンルームのような明るいモダンなオフィス。しかも近所の方も気軽にワインを買いにきている感じ。カウンターの中の方に片言の英語で予約していることを告げるときびきびして溌剌とした男性がやや早口の英語で工場の中からヴィンテージカーブまで約1時間半程度かかって案内してくださいました。 いやー、しかしギガルはもう完全なオートメーション化でコンピューター管理されている一種の工業製品と見まがうばかりでした。採取されたぶどうをブランド別に品種のブレンドをキーボード上で管理し種とったり、しぼったりの様々な工程もコンピューターで管理され、ステンレス槽やたるの貯蔵の管理もばっちりでした。出荷する際のボトリングやラベリング、箱詰めも完全オートメーションでちょっと日本人の目からみると、なんとなく興がそがれる感もあります。しかし、その後、ふるーいヴィンテージワインの貯蔵庫はさすがのワイン王国、雰囲気満点です。 さらにテイスティングもカーブ内でさせてくれたし、97年物は樽から直接スポイトでとったものをいただくことができました。 最後におみやげを買いたいと申し出ると本日付けのプライスリストを出してくれて、コンドリューを1本おみやげに購入しました。ただし、ここは販売所ではないのでその日の工場で出荷しているワインしか購入できないらしく、購入したコンドリューもコンピューターで入力するとラベリングしたばかりのものを工場の入り口で渡してくれました。見学は団体でも予約受け付けしているようですが、2人づれの個人客にも無料で丁寧な説明をしてくださりとてもよかったです。

その後、プロヴァンスのリール・シュル・ラ・ソルグという街で2泊しプロヴァンスらしい、小さな街を巡ってきました。ただし、この季節はかなり寒いですね。観光客もドイツ語や英語を話す方々を見かけましたが、みなさんリタイアしてゆっくりしている老夫婦が多く、若い旅行者はあまり見かけませんでした。

宿は街からかなり離れたところにあり、着いた日は夕方で暗くなっていたのもあって探すのに一苦労してしまいました。しかし、広い敷地で居心地よい部屋と親切なマダムがアットホームでよかったです。このプロヴァンスの街でこのあたりの名物料理、内臓をつめたソーセージのグリルに挑戦してみましたが、やはり日本人には好きと嫌いの意見がでそうな・・・。というのも、ホルモン系の香りがひろがるので、うちのだんなのように大阪育ちでホルモン焼きを食べなれているとかなり違和感なく食べられるといってましたが、食べなれていない私は、しょうゆをかけるとおいしいかも、と思ってしまいました。

最後に、マルセイユ郊外のカシスという街へ。小さな港街ですが、生産量はあまりないけど辛口の白ワインと海の幸がおいしいと聞いたのでいってきました。あと、ブイヤベースでも有名です。夕食にはブイヤベースではなくスープ・ド・ポワソンをたのみ、アイオリソースとかりっと焼いた薄切りバケットを浮かべていただきました。この他、いわしの塩焼きやムール貝をエスカルゴのように焼いたものなど、新鮮な魚介でシンプルな料理を堪能しました。カシスというワインはあまり日本には入ってないようですが、この海の幸にはとてもあっていて、夏だったらさらに、くいくいいけそうです。この地域はリアス式海岸になっていてすぐそばの岬がとても高い、切り立った崖になっていて車で途中までいってみましたが、ガードレールもなく道路の向こうは海という状況に高いところが嫌いなだんなはびびってしまい先にはいけませんでした。