
バスク旅行 その2.サンジャンドリュズ
8月14日(木)(その2)サンジャンドリュズSaint jean de luz
1時30分駅前ホテルBestWestern Hotel
Colbertにチェックイン、地の利の良いこのホテルは人気で、インターネット予約で最後の残り1室でした。荷物を2個置くと少し狭い部屋ですが、窓か
らは駅舎越しに明日行く予定のリューヌ山の雄大な姿がパノラマで見える静かでとても良い部屋です。私達がサンジャンドリュズを訪れたのは今回で3度目で
す。

人気のある町で、1度目は宿が取れず、バイヨンヌに泊まって、電車でサンジャンドリュズまで往復していました。2度目は、唯一空いているのは海岸の中心部
に在るタラソテラピーを併設したホテルHelianthalで、少し部屋代が高いけど、そこに宿泊しました。そのホテルでは海の景色を見ていましたが、今
回のホテルからは山の景色が眺められてこちらも良い。この街の良さは、浜辺に行くにも、港に行くにも、買い物に行くにも徒歩で15分以内に行ける足回りの
良さです。海水浴場は両端が長い防波堤で囲まれているので波が穏やかで子供にも安心で多くの家族連れが訪れています。街には、沢山のレストラン、ブッ
ティックが有り、市街に大きな建物のマルシェ市場が有り、地元の漁港で上がった新鮮な魚が、数え切れないほどの豊富な種類で販売されています。魚には名札
が付いて店頭に並べられていますから、名前に対応する実物が見られ、まさに生きた魚図鑑と言えるほどです。もちろん新鮮な野菜、山バスクからのチーズ、ガ
トーバスク、肉類も並びます。このマルシェで売られている素材の豊かさは、フランスの中でも特筆ものでしょう。このような環境下で、どこのレストランでも
新鮮な素材を使った料理が美味しくて、しかも安い。というわけで、夏場はサンジャンドリュズに人が集まり、ホテルが満員になるのもわかります。
さて、ホテルにチェックインして部屋にはいると、そろそろ午後2時に近く、部屋に備え付けのポットでお湯を沸かし、インスタントコーヒーを作り、早速、エ
スプレットで買った白い円筒形でその上に赤いエスプレット唐辛子粉が振りかけてある山羊のチーズをパンに塗ってたべると、もう最高に美味しい昼食になりま
した。最初にすることは、駅に行ってフランス国鉄SNCFのインターネットで予約した切符、座席指定券のメールをプリントした紙を窓口に見せ、クレジット
カードを添えて、乗車券を発行してもらいます。(予約の際にクレジットカードで支払い済みですから、窓口ではもう支払いは有りませんがカードは確認されま
す)
ここフランスでは、予想通り先客がぐずぐず会話をしていて、なかなか順番が回ってきません。(ですから、私は当日ではなく、早めに駅に行くことにしていま
す)。10分くらい待って切符を手に入れました。窓口は寝ぼけた駅員で、予約内容が、ちゃんとプリントしてあるのに行き先を読み間違えしたりして、スムー
ズにいきませんでした。でも、ここはフランスですから、怒らない怒らない。
ホテルの外に出て地理感を取り戻すために街を歩いて廻りました。先ずはインフォメーション、ホテルの裏手3分ほどにあるマルシェに突き当たったら右手に行
くとすぐにoffice de tourism(インフォメーション)があります。街の地図plan de
villeをもらいましたので、これで自在に歩けます。インフォメーションで今夜の催しを調べると、pelotaペロタというバスクの球技、と市内の教会
でバスクの男性コーラス、マンドリン演奏などの音楽会があります。ペロタは前回訪れたとき観たので、今夜は男性コーラスのチケットの方を買いました。会場
のEglise
St-Jean-Baptite教会は街の中心部にあり、教会の中を拝観してから、横道のレストラン街を行くと途中に有名なマカロンの元祖Maison
ADAMがありました。店内にはマカロンの他にフランスパン(バゲット)もありましたので、両方買いました。

そこから3分位歩いていくと、もう海に出ました。浜辺では曇り空で涼しいせいか、泳いでいる人よりも、砂浜に寝そべっている人が多い。日本では35℃の猛
暑ですが、この地は例年よりも冷夏だそうで最高21℃です。
浜辺を取り巻く遊歩道を海を見ながら右手に歩いていくと、Helianthalホテルの前に出ます。今夜は音楽会があるので、午後9時までには会場に入ら
なければなりませんから、レストランで夕食をとるには時間がありません。もっと簡単に食べられるものにしなければ。確かこのホテルの裏の大通りにタパスで
評判の店が在るはずです。うろうろ歩き回って、ついに黄色いオーニングのレストランとバルが併設された、OLATUA
30,Boulbard Thiersを発見しました。BAR~TAPAS
~PINTXOと書いてあります。タパスTapasは酒のおつまみ、つき出しのこと、ピンチョスPinchosはツマヨウジに刺したつまみで、いずれもフ
ランス語ではなくスペイン語です。このお店はバーとレストラン部とに分かれていますが、時間のない私達はBARの方に入りました。

いよいよタパスなる物を体験するチャンスが来ました。午後7時頃、先客が2〜3人、店内の空き樽に座っておしゃべりしながらアルコールを飲んでいます。カ
ウンターにはハンサムなギャルソンがいて、どれでも好きな物を取っていいよ、と云ってくれました。カウンターに並べられた小さく切られたパンを台にして楊
枝の刺さったソーセージの小皿、鰯のマリネがパン台の上に楊枝でさしてある小皿、ファオグラの入った瓶を頼んだら付け合わせに薄切りパンと酢漬けの青トウ
ガラシを8本大きな一皿に載せてテーブルまで届けてくれました。どれも美味しくて、特にフォアグラは瓶丸ごとですからボリューム満点、初めて食べる付け合
わせの酢漬け青トウガラシは辛みが少なく絶品で新しい発見です(後日、市内の郷土みやげ店で青トウガラシの瓶詰めを買い求めた程です)。ここはBARです
から、アルコールを注文しなければと、私は酒が飲めないので、連れ合いの分として生ビールune Pression
(プレッシヨンで通じます)一杯、とグラスワイン一杯を取りました。もう十分満腹したので、席を立ってカウンターに行ってみると、今度はチョコレートムー
スが容器に入って並べられています。これもまた、言い表せないくらいの美味しさでした。それもそのはず、隣に併設されたレストランはゴーミョーのお墨付き
なのです。ギャルソンが壁の扉からレストランに行ったりBARに戻ったり、兼務しています。
午後8時、私達が店を出る頃になるとBARは混み合ってきて、立ち飲みに客で一杯。
美味しいタパスに満足して会計に行くと、2人で食べてビールも込みで、トータルで20.5ユーロでした。こんな夢のような安くて美味しいお店OLATUA
が現にあるのです。ビクトルユーゴ通りを進んで、大きな交差点にぶつかったらそこからティエール大通りに左折して5分位いくと通りの右手にOLATUAが
あります。
ゆっくり散歩して、サンジャン教会St-Jean-Bapyisteに時間の余裕を持って入ったつもりでしたが、教会の中はもう空席が数えるほどしかあり
ません。急いで中段の端の席に座りました。先ずはマンドリン演奏で15人ほどのメンバーが次々と美しい曲を奏でます。彼らは祭壇の前の床で座して演奏しま
すので、聴衆の頭に隠れ、数人の奏者しか見えません。マンドリン奏者達が中央の通路を通って退席して、続いて両袖から、ぞろぞろとおじさん達が現れ、今度
は祭壇の上、奥の方まで立位で並びました。総勢50人ほどで今度は全員よく見えます。

その歌声は抜群のハーモニーを奏で、澄んだ歌声が教会内に響き渡ります。本当に教会の音響効果は抜群で、うっとりと至福の時が流れます。バスクの歌は、言
葉が分からなくても心地よく、バスク人男声に感激しました。前の席のずぼらなおばさんが時々鼻をかむのが気になりましたが、楽しい夜でした。
目次に戻る(矢印をクリック)