クリスマスローズ のある公園 ( Q&A )
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栽培管理 Q & A
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A. 全般
- 1.クリスマスローズはどんな植物なの ?
クリスマスローズは、カラッとした涼しい晩秋のような季節が大好きな多年草で、太い根が地下深くに伸びるので、乾燥に強く、かなりの寒さにも耐えることができます。
言い換えると、じめじめした蒸し暑い気候は息苦しくて、病気にも罹りやすく、死ぬくらい嫌いです。
- 2.クリスマスローズの生育期間は ?
クリスマスローズは9月中旬から翌年の5月下旬までが生育期間で、開花は3月上旬から4月中旬頃まで続き、その後新葉が地下部から勢いよく伸びて展開します。梅雨の頃からは半休眠状態となり夏の暑さを耐え忍びます。
生育期間中は、肥料も水も日当たりも必要ですが、休眠期には肥料は厳禁で、水も極力減らし、直射日光も避けます。
- 3.挿し木や株分けで増やせるの ?
挿し木は出来ません。株分けは5年以上育てた大株の鉢植えならば可能ですが、思ったほどうまくいかず、お勧めしません。種で増やすことをお勧めします。
- 4.花の見ごろはいつですか ?
開花は3月上旬から4月中旬頃まで続きますが、花の特徴が最もよく表れるのはその花の開花から1週間程度です。
その後も開花し続けているように見えるのは、花びらに見えるものが実はガク(葉の変形)であるためいつまでも散らないからです。八重花の内側の花びらは、ガクではなく本来の花や雄しべが変形したもので、しばらくすると散ってしまうことが多いです。
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B. 置き場所、植付け場所
- 1.どんな場所に置けば(植えれば)よいの ?
夏は日陰で、冬に日が当たる所が最善です。
落葉樹の下が最適ですが、冬(生育期間)に日光がよく当たる所を第一優先にします。その場所が 夏に直射日光が当たったり高温になるならば、「よしず」などで遮光したり、風通しを良くしたり、避暑対策をします。
鉢物は鉢底の通気性を良くするために、直に地面(特にコンクリート)に置かずにブロックなどで鉢底に隙間を作ります。
年間を通して、赤外線の多い西日には当てないように気をつけましょう。ほとんどの植物は西日を嫌います。反対に、紫外線の多い朝日は、植物にとっても動物にとっても有益です。
- 2.鉢植えか地植えかどちらが良いの ?
生育環境(上記)が良ければ地植えがベストです。
鉢植えは地下部の生育環境が制約されるので、それを補うために人の手間がかかります。特に水分管理(水やり)が大変です。
- 1.水はいつやるの ?
生育期(10月〜5月)の水やりは朝に行います。
鉢植えは表土が完全に乾いたら(葉がしおれ始めたら)たっぷりとやります。地植えは自然の雨だけで充分です。
鉢植えは、春(一部秋)に新葉が出る頃は普段以上の水分を必要としますが、新葉は水分が足りていても高温でもしおれることがあるので、加湿には注意しましょう。
- 2.休眠期(7〜9月)の水やりはどうするの ?
夏場(7〜9月)の水やりは夕方に行います。
間隔をあけて、乾かし気味に管理し、根腐れさせない管理が大切です。葉水のみで済ませることも有効です。
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D. 培養土と植替え
- 1.鉢植えの土はどんなのが良いの ?
生育中の根は、土中の間隙にある空気中の酸素を吸収して活発に呼吸をしています。
土中の間隙が小さく、いつまでも古い水が停滞して乾かない排水の悪い土では、酸素の供給が妨げられ根腐れします。このようになる前に植替えが必要です。
通気性が良くて保水性のある土を用いることが、鉢植えの基本です。赤玉土6、完熟腐葉土3、軽石1、肥料などを良く混合して使います。鉢は深鉢で底穴の多い通気性の良いもの(菊鉢など)を使います。
- 2.植替えは毎年するの ?
地植えした株の植替えはお勧め出来ません。
若い苗は成長が早いので、9月と3月の年2回、一周り大きい鉢に植替えます。
鉢植えの3年株は年1回、4年以上の株は2年に1回程度、秋に一周り大きい鉢に植替えます。
古い土を半分程度落として腐った黒い根を丁寧に取り除いてから、新しい土に植替えます。根が廻っていて固くなっている場合は、鉢を外した後、根鉢を横に寝かせて上から抑えつけながら、根っこごとゴロゴロと転がしていると、少しづつ根が解れてきます。無理に根を広げて傷つけないようにしましょう。
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E. 肥料
- 1.どんな肥料があるの ?
肥料の主要成分は、窒素、リン酸、カリの3つです。窒素は葉や茎を育て、リン酸は花や実を育て、カリは根を育てます。
肥料には有機質肥料と化成肥料があります。有機質肥料は菜種油粕や骨粉、鶏糞など、微生物に分解されてから効くので、最初の効きが悪く1〜2か月かけてゆっくりと効きます。
- 2.どんな肥料を、いつ、どのくらいやるの ?
肥料を与えるのは、生長の盛んなときだけです。
肥料が無いと植物は育ちませんが、多すぎると根を痛め枯れてしまいます。肥料は少しづつ切れ目なく効かせるのがコツです。やり過ぎに注意しましょう。
クリスマスローズでは、春と秋に固形油粕を置肥えしますが、6号鉢で2個、7号鉢で3個、8号鉢で4個程度とします。化成肥料などの速効性の肥料は苗の時以外は使いません。
休眠明けの10月〜開花までは、リン酸成分中心の肥料(骨粉入り固形油粕等)を、3〜4月初めには新葉用に窒素分主体の肥料(通常の固形油粕等)をやります。
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F. その他の栽培管理
- 1.葉はいつ切るの ?
4月になると地下部の生長点から一斉に若い葉が勢い良く伸び出してきます。この新しい葉で作られる栄養分によって、根茎や根が充実し、株が生長していきます。
夏を越した葉はその基部に花芽をはぐくみ、花芽の成長(膨らみ)と共に倒れてきます。冬に入って倒れてきた葉はその役割を終えたもので、いつ切っても構いません。
未開花株や幼苗の葉は、株を充実させるために下葉以外は切らずに残します。開花株で冬に入っても真っすぐ立っている葉は、2〜3枚を残しても構いませんが、花芽の日当たりを良くするために、お正月の頃に全部の葉を地際部から切り取ります。
- 2.葉が枯れてきたのですが病気でしょうか ?
葉先から枯れてくるのは、日照りによる日焼けや乾燥がほとんどです。心配いりません。
手のひら型の葉の小葉の1枚だけが全体に枯れるのは、折れや傷などの物理的な枯れで心配ありません。下葉全体が枯れてくるのも寿命で問題ありません。
梅雨時の高温多湿で株元から全体がしおれて枯れてくるのは、菌による病気です。抜き取って捨てます。跡地には殺菌剤を散布して、排水を良くする工夫をしてから、秋に新しい株を高めに植えてください。
- 3.花はいつ切るの ?
地植え数年以上の生育旺盛な大株ならばそのまま自然に任せても良いのですが、ほとんどの株では株の充実をはかるために、種が充実する前(4月初め)に地際部から切り取るのが良いでしょう。どうしても花を長く楽しみたい場合は、全ての花のさや(種子が育つ袋)を摘み取って、花びら(本当はガク)だけを残せば株の消耗を防げます。
- 4.去年は沢山咲いたのに今年は少ないのですが ?
要因は色々あると思いますが、要は葉の付け根に花芽が出来なかったことが原因です。
去年に比べて日当たりが極端に悪くなった。
鉢植えの植替えも施肥もしなかったため、根詰まりと肥料不足で葉の数が少なかったり葉が小さかったりした。
葉は十分あったが秋の早い内に窒素分の多い肥料を沢山与えたため、花芽になるべき芽が葉芽になってしまった。など。
- 5.良い花なので増やしたいが株分けすれば良いの ?
株分けは5年以上育てた大株の鉢植えならば可能ですが、思ったほどうまくいかず、お勧めしません。種で増やすことをお勧めします。育ってきた子供のうち何株かは親に近いものが出来ます。
- 6.苗を購入したのですがそのまま育てていて良いの ?
ホームセンターなどで販売されている苗は、すべて根鉢(根が鉢底にびっしりと回っている状態)ができていて植替えが必要です。購入した時期にかかわらず、すぐに一周り大きい鉢に植替えましょう。若い苗は成長が早いので、秋9月と春3月の年2回、定期的に一周り大きい鉢(ポット)に植替えるのが栽培のコツです。
開花株を購入した場合でも、すぐに一周り大きい鉢に根鉢を崩さずにそのまま植替えておきます。その年の10月に本格的に根をほぐして植替えると良いでしょう。
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G. 種取りと種子保存
- 1.種子はどのようにして採るの ?
開花した花をそのままにしておくと、自然に莢が膨らんで種子が実る株(一重咲きの株等)と、人工的に受粉(めしべの先端に花粉を付けること)しないと種子が実らない株(八重咲きの株等)があります。確実に種子を得るには受粉をします。
開花(受粉)後、約2か月ほどすると莢の中の種子が実り、天気の良い乾燥した日に莢が割れて種子がこぼれてきます。
種子をこぼさないためには、莢が膨れてきた頃(開花後1か月の頃)にお茶パックの袋を莢に被せてホッチキスで止めておきます。
クリスマスローズの種子は莢からこぼれた直後は丸々としていますが、4〜5日経つと乾燥して痩せてきます。乾燥した種子は2〜3年は発芽しないと言われています(実際翌年は発芽しません)ので、莢から種子がこぼれだしたらすぐに莢ごと切り取り収穫します。
- 2.収穫した種子はどのように保存するの ?
収穫した種子は、莢やごみを取り除いてお茶パックに入れたまま、乾燥しないように湿った土に埋めておきます。この土は乾燥させないように管理します。
クリスマスローズの種子は、そのままではすぐには発芽しません。自然状態では、種子が湿った状態で夏の暑さを経た後、冬の低温に遭遇して初めて発芽が可能になります。その場合、発芽は2月から3月頃になります。
- 3.発芽を促進させる保存方法は ?
収穫した直後の種子は、発芽抑制物質を含んでいて、そのままでは発芽しません。
人工的に発芽を早める保存方法は、種子が湿ったままの状態で、20℃以上の温度に2ヶ月間、その後5℃の低温に2ヶ月間遭遇させると発芽が可能になります。この場合、発芽は11月から12月となり、自然状態よりも2〜3か月早く発芽することになり、その分生育も早まります。
収穫直後(5月中下旬)から7月末まで、自然の気温下で土の中に袋ごと埋め込んでおき、乾燥させないように管理します。
7月末に土から取出して袋ごと水洗し、ビニール袋に入れた湿らせたバーミキュライト(叉は水苔)の中に入れて軽く封をします。このビニール袋ごと冷蔵庫の野菜室に2ヶ月間保存しておくと、発芽が始まり白い根が見え始めます。この種子を土に播きます。
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H. 種まきと発芽までの管理
- 1.種まきの具体的な方法は ?
発芽促進処理をした種子は、9月下旬〜10月上旬に4号ビニールポットに播きます。
4号ビニールポットには、多少の肥料分を含んだ用土(注)を6〜7分目入れ、その上に新しい赤玉土小粒を1cmほど敷いて軽く水をやっておきます。
(注) 赤玉土小粒6と完熟腐葉土(粉末状態)4をよく混合し、液肥(1,000倍)で加湿したもの)
この上に種子を10粒ほど広げて置きます。その上に赤玉土小粒を1cmほど覆土して軽く押さえ、しっかりと水やりします。
種の種類が違えば、たとえ1粒でも必ず別の4号ポットに播きます。播種した種の名前を書いた(鉛筆書き)ラベルを立てます。
用土に黒土などの細かい土を用いると表土にコケが生えてきて、発芽不良や過湿の原因になり管理が難しくなります。
- 2.播種したポットの置き場所は ?
播種したポットは、日当たりの良い暖かい場所で乾燥しないように管理します。
播種後発芽まで(1〜2カ月)は10〜20℃とやや高めの温度で発芽を促進し、発芽後は5〜15℃と低めの温度で管理します。発芽後、多湿で温度が高いと腰折れ病が発生し易くなるので、高温(20℃以上)には注意が必要です。
ビニールポットは底穴が1つしか開いていないので、置き場所の状態によっては排水が良すぎたり悪くなったりするので、平らなザルなど排水の良い均一なものの上に並べると、その後の水管理が楽になります。
- 3.ポットの水管理は ?
播種したポットは毎日看ます。乾燥は厳禁で、完全に乾かしてしまうと、もう発芽しません。
発芽時に表土が乾燥していると種子の表皮が乾いて取れなくなり、マッチ棒のようになって双葉が展開できなくて生育が止まります。双葉が完全に展開するまでは表土を乾燥させないことが大切です。毎日、表土にサッと水をかけるとよいでしょう。
- 4.種まきの鉢は何でも良いのでは ?
播種に用いるポットは、小さすぎると生育環境が厳しくなり、管理が大変難しくなります。1〜数粒播く場合でも4号ポットを使うと良いでしょう。大きい浅鉢に沢山の種子を播くのは、水管理は楽になりますが、鉢上げ時に根が絡んで切れ易くなります。
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I. 発芽後の管理
- 1.発芽後の置き場所は ?
十分に日光に当てます。日当たりのよい所へポットを移動してでも太陽に当てます。ポットに日が当たるとその部分の根の生育が促進するので、時々ポットの向きを変えます。
双葉は太陽電池パネルとして、この時期の唯一のエネルギー製造元です。根から吸収する肥料などはエネルギーではなくエネルギーを造る原料です。この原料と太陽の光を基に葉でエネルギーが造られます。
苗の成長は双葉の面積に比例しますので、発芽後1年間は双葉の役割は絶大です。そのためこの時期は双葉が健全に生育するように全ての管理を行います。肥料のやり過ぎ、気温の上げ過ぎは、双葉をダメにしてしまいます。急がずじっくりと成長を見守りましょう。
- 2.発芽後の水やりは ?
控え目が原則です。表土が完全に乾いてからたっぷりとやります。1回にやる量を減らすのでなく、やる間隔を開けます。(場合によっては1〜2週間に1回のこともあります。)
- 3.発芽後の肥料は ?
「薄いものを控え目に」が原則です。双葉が展開した時点で1,500倍から2,000倍程度の液肥(3成分均等のもの)を水代わりにたっぷりとやります。本葉が1枚展開してきたら1回目と同じ濃度の液肥をもう一度やります。葉色がしっかりしていれば元気な証拠です。
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J. 鉢上げとその後の管理
苗床から掘り上げて、初めてポットに1本植えすることを「鉢上げ」と言います。環境の変化に敏感な時期なので、丁寧にやさしく扱います。とくに根を乾かさないように注意します。
- 1.鉢上げの時期は ?
本葉が平均1枚展開した頃に行います。この時期には根も枝分かれして長く伸び、地上部に比べて驚くほど長く成長しています。発芽が遅れて本葉がまだ展開していない(双葉だけの)苗も、3月中旬になれば全て鉢上げします。
- 2.鉢上げの用土は ?
植付ける用土はあらかじめ多めに準備しておきます。
細かくした完熟落葉堆肥3割と赤玉土小粒6割、黒土(または田の土)1割をよく混合し、液肥(3成分均等の1,000倍液)で保湿して、乾燥しない状態で保存したものを用います。化成肥料などの顆粒の肥料は使用しない方が安全です。(植え痛みの原因になります。)
- 3.鉢上げの手順は ?
鉢上げする苗は、あらかじめ(2〜3日前から)用土を十分に乾かしておきます。
指の間に苗を挟み、ポットを逆さにひっくり返して土を崩し、根を傷めないように1本づつばらして並べ、乾かさないように根に湿った土を被せておきます。
3号ビニールポットに上記の用土を半分ほど入れ(ポットの縁に沿って斜めに入れると植付けが楽になる)、ほぐしておいた苗を端から1本づつ優しく葉をつまんで取り出して、根を丁寧にポットに入れて、残り半分の用土を入れます。このとき苗を植える深さに注意して、双葉が分かれている基部が土の表面に少し出るように植えます。土は軽く押さえる程度とし、強く押さえつけてはいけません。植付け後は十分に水やりします。
苗を扱う場合、茎(一生もの)は持たないようにします。双葉(1年もの)をつまんで取り扱います。
- 4.鉢上げ後の置き場所は ?
植付け後は、暖かい日の当たる軒下などで霜を避けて管理します。
無暖房のパイプハウスやガラス室など(狭いものは高温になるので不可)があれば更に良い条件が確保出来ます。
- 5.鉢上げ後の管理は ?
鉢上げ苗の生育適温は5〜15℃です。昼間は20℃程度まで上がっても構いません。
極端に寒い夜(気温がマイナス4℃以下)は、暖房の無い屋内に入れたり(翌朝10時までには外に出すのを忘れないこと)、防寒のためのシートを被せたりします。
- 6.その後の苗の管理は ?
気温が上がり出す3月からは株も元気になり、新しい葉が伸びてくるので、マニュアル(栽培管理のページ参照)に従って育苗管理を行います。
苗は成長にともなって根詰まりして来るので、9月と3月の年2回、順次大きいポットに植替えます。
夏を越した3号ポットの1年苗は、9月に入ると新しい葉を伸ばし始めるので、9月中〜下旬に4号ビニールポットに植替えます。
冬を越した4号ポットの2年苗は、3月に入ると根の張りも盛んになり根詰まりして来るので、下旬までには5号ビニールポットに植替えます。
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