X'mas in Paris   松岡 由吏(ゆり)さんの報告

フランス歴は、エアーチケットの安くなる寒い、寒い真冬狙いの3回目でございま す。1回目は大学の卒業旅行でヨーロッパ23日間旅行のうち3日だけパリに、2回目は5年程前にパリとリモージュ、ベルギーへ、そして今回98年12月19日から23日までのX'mas直前にパリを訪問しまし た。旅のお相手は仏語の読み書き少々のお嬢で、まったく仏語のできない私の謎の OL2人組み旅行です。パリの前にドイツのミュンヘン、ニュルンベルグでクリスマス市を廻る全く個人旅 行でした。多少の英語とお嬢の段取りで、なかなか快適な旅ができたと思います。私は相当の食いしん坊なので、食事担当でした。今日はとりあえず高級レストラン紀行をお話しましょう。

高級編は東京からe-mailとfaxで予約を入れておきました。

一つは『アラン・デュカス』モナコに3つ星レストランを持ち、ジョン・ロビュション引退後に引き継いだパリのレストランは初年で3つ星get!!かくして彼は6つ星を現在保有中なのです。ちなみにdinnerは2ヶ月先まで予約で一杯ということで、今回はlunchを予約。そういえば2、3年前に料理の鉄人の特番にもでてて優勝したんだっけな?それとも道場さんに負けたんだっけかな?とにかくうっきき!!

もうひとつは『ピエール・ガルニール』

彼はフランス中部の田舎街に3つ星のオーベルジュを持っていたのですが、バブルの崩壊と共に倒産。失意の頃、料理の鉄人の特番に出演しそれを機に再度やる気をだして復活!!1昨年ぐらいにパリにレストランを開き、堂々の3つ星デビューを飾った人です。作り出す料理はかなり大胆で奇抜とか盛り付けが素晴らしかったのと、野菜を上手につかっていたのをTVで記憶してました。

ではその感想。

12月21日 12:30から アラン・デュカスにて1階の入り口のwaiting barがいきなりゴージャス。キラキラではなく、シックだけどゴージャス。ところがここで配の日本人4人組みと遭遇。私の名前を告げ、コートを預けると何やらエレベータへ案内され乗り込む。フランス語でいきなり『ようこそ』を凄く丁寧に長く長く話し掛けられた2人は、にっこり微笑むだけ。エレベータを降りると、天井が恐ろしく高い、壁に有名なだまし絵がある部屋に通されました。このだまし絵は、壁面がすべて本棚に見えるように描かれた代物で、本だけでなく調度品も描かれています。美しいというより、大きさと遊び心に圧巻という感じです。当然謎のアジア女性2人組みは窓際に通されることもなく、入り口から2番目の席へ。と、と、ところが!!入り口に一番近い暗い席には、これまた日本人若者3人組み。年の頃は20代前半、3人とも今風のスーツ(ちょっと体にFIT気味で、スカイブルーのシャツに黄色の幅広ネクタイって感じ)を着込み背中を丸めちょっとオドオドしてるのです。ああ、やっぱり級店は日本人に侵されているのかって感じですよ。彼等のうち1人はフランス語が達者なようで、ギャルソンともコミュニケーションしてました。でも、席が暗いせいか妙にこの3人は暗いのです。さてさて我々はといえば、一応2人とも飲めない口ですがシャンパンを頂き、期待のメニューへ!!

たしか英語のメニューがあると聞いていたのですが、無い。

結局よく分からないのでセット・メニューに。 一つは5つの味が楽しめるトライアルコース、もう一つはトリフ尽くし。あれれ?ガイドブックにはランチは480F 860Fの2コースあるってかいてあったけど、トリフのコースが860Fとはちょっと安い気がする.あれれ?実は私のメニューには値段が書いておらず、お嬢のだけ書いてありました。 彼女は一目みるなり、トライアルコース。 トリフはお買い得だからシェアしたかったんだけど、まあシェアするのもなんだからまあいいか。いえ、いえ違います。今日はX’MAS直前の特別の週ですよね。そうですX’MAS価格なのです。お一人様960Fもしました。

メニューは下記の通りです。

アミューズ : きのこのスープカプチーノ仕立て 多分セップ茸だと思うのですが、表面を泡立てていて美味でした。前菜 : フレッシュ・フォワグラの冷製 トリフソースがけガラスの正方形のお皿に盛られ 手のひら大のフォワグラはいきなり圧巻!!

スープ : キャビアのせ帆立貝のスープ仕立て 生の帆立にキャビアをのせ、ちょっぴり生クリームをかけてあり、このまま食べるのかとおもいきや翡翠色の暖かいスープをかけ、半生状態を頂くというもの。実は上にキャビアがのっているだけでなく、間にもサンドしてありこれが微妙な塩加減でGOOD!! 魚料理 : 白身魚のポアレおいしかったけど記憶に無い。肉料理 : 子羊のロースト 付合わせについているお野菜が甘酸っぱくって、 多分羊も蜂蜜とか果汁とかをつけていてちょっと甘酸っぱい。そして驚くべくほど柔らかい、臭みも無い。 私としては野趣溢れるジビエを食べたかったんですが…デザート : お嬢 ブラマンジェ、キャラメルアイス等々の冷たい白いデザート、私 マンダリンオレンジを薄皮のまま火を通してあり、バニラアイスとオレンジシャーベットの盛り合わせ レストラン名入りビターチョコレート3種、 5種類ぐらいのプチフールデザートについては実はオレンジシャーベット系が苦手な私としては選択MISS、今一つのお味でした。何故かといえば、デザートメニューを説明しにきたギャルソンに英語で説明しろと頼んだにも関わらず、 奴は半分はデザートについた名前を復唱するのみ、ちっともわからん。もう勘で選んだのが失敗でした。 嫌いなものでも、何といっても一皿が大きいから…。途中隣の席にアメリカ人夫妻が登場。 彼らもメニューを見て何を頼んでいいか解らず、英語での説明を頼んでいました。 そうだよね、聞いてみないことにはわからん。 彼らは私達の頼んだのと同じものと、トリフコースを頼み、テーブル越しに2人でァーンてやってました。旦那は面白い人始終アメリカン・ジョークを連発し、相手が反応するまで繰り返すというさんまちゃんみたいな感じ。私的にはビバリーヒルズ青春白書(*1)のブランドンのパパ似な感じ。*1NHK 土曜日11:45から放映中 奥さんは目も鼻も口もでかい!!そして顔もでかい。シャローン・ストーンになりきれなかった、ビバリーヒルズ青春白書のドナちゃんて感じ。どうもDINKSらしく、最初は仲良しでしたが、仕事がらみのお金の話になると険悪になってました。旦那がたまにギャルソンにうけなかったジョークに私達がにやりと笑うと『そうか英語わかっちゃう? どうだそうおもうだろう!!』って感じで話しかけられました。 彼女はルイ・ヴィトンが大好きで、バックは買ったか?ときかれたのでNOというと、どうして!!超かっこいいのに!!とのこと。 君たちはバブルの絶頂期でも、日本は今最大の不況なんだよ!! アメリカ人だってブランド好きなんだ、とおもいつつ、彼女が持てばさまになるよね、とおもいました。 そう、あの暗い3人組は料理毎に写真をとってました。 ちょっとお友達になって、とった写真を送って貰いたいって感じでしたがお嬢の機嫌が損なわれそうなので我慢しました。 前述の年配4人組みはどうやら、在住の人とそれを訪ねてきた人らしく、 流暢な仏語でギャルソンとメニューを検討し、アラカルトからチョイスした模様。 一つだけ解ったのは、豚の膀胱に鳥を丸毎いれボイルするという、アラン・シャペルのスペシャリテを注文してました。 ちょっと通な方々で、是非こういうお知り合いを作りたいと思いました。

全体的においしい、おいしい、盛り付けも斬新。 お料理は味かしっかりしている割りには、あっさりと頂けました。 量的にもデザートを除けば、ちょうどいいぐらいの一皿一皿でした。(普通の女性にはちょっと厳しいかも、私はそんじょそこらの男性並みに食するので)でも、お昼から2万円は高すぎですよ。 サービスは良いけれど、所詮フランス語も喋れない2人組みの女性にはちょっと手を抜いている勘が否めません。

そして最後に特筆すべき事は、アラブ系だと思うのだけどいかにもマフィアって感じの集団が入店しました。 男性、女性各々6,7名で、服装がいかにも、って感じでした。男女に分かれてテーブルを囲み、絶え間なく煙草を吸って部屋中真っ白になるほどです。彼等は一応別部屋になっているのですが、扉がしまっているわけでもなく、様子が伺えるのです。おかげて店中のギャルソンが彼等にかかりっきりになり、途中謎の日本人OL2人組みの面倒をみてくれなくなりました。それさえ無ければサービスは満点に近かったのに…ちょっと残念。

ということで、翌日に控えていた『ピエール・ガルニール』は予算の都合上、CANCELすることにしました。 私としてはこちらのレストランに興味があり、楽しみにしていたのですが、 まあこの次のお楽しみにしておきましょう。今回はフランスのルレ・エ・シャトー協会というところのHOMEPAGEから情報をGET 便利なので見てみてください。

http://bol.jmscom.co.jp/rc/rc.html

それではパリ高級レストラン紀行はこれにてお終い。

次回中級レストラン紀行をお楽しみに…。